銭湯であった怖い人
銭湯が好きだ。
学生の頃から、
初めての町で見つけた銭湯に入るのが楽しみで
車には、常に『お風呂セット』があった。
今日のは実話だ。
ただし学生の頃の話だが。
その人に出会ったのは
新神戸にあったくたびれた銭湯だった。
昼下がりの時間でほかに客はなく、
ひとりで体を洗っていると、
ガラス戸を乱暴に開けて人が入ってきた。
よく見えないが、おっさんだ。
このおっさん、かかり湯もせずに湯船にザボンと入った。
乱暴なやつだなと思いつつ
それでも無視して体を洗っていると、
たばこのにおいがする。
なに?
このおっさん、湯船に入りながら
タバコを吸っているのである。
さすがにこんな人は見たことがないので
初めて振り返った。
おっさんは、タバコをほんの2.3服吸うと
ぽおんと洗い場に放り投げた。
いちいちやることが乱暴なのだが
そんなことよりも私の目はおっさんの体に
釘付けになった。
背中一面に彫り物。
まあ、それだけなら驚かない。
銭湯めぐりをしていれば、この手合いは珍しくない。
それよりもこの人
背中に横一文字の刀傷があるのだ。
脊椎カリエスの手術痕かと思ったが
絶対違う。
縫合痕がないし、
いやいやそんなことじゃなく、
大体どんな下手な医者でも
背中を横断するような傷は作らないだろう。
これは怖い
みちゃいけないっ、と思いつつ
どうしても眼がそらせられない。
おっさんは、そんな私に一瞥もくれず
タバコを吸い終わると体を洗いもせず、
ざばあっと湯からあがるとそのまま出て行った。
滞在時間1分
神戸のことだから、
日本最大の某団体の構成員の方かもしれない。
『一仕事』終えて、汗を流しにきたとか。
こえー
いやいや、背中に刀傷があるってことは
逃げるところを切られた訳で
実は弱虫なんじゃないか?
いや、そんな理屈じゃどうにもできないよ、
あの怖さは。
今日ひさしぶりに銭湯に行ったので
銭湯についてのよもやま話をいくつか書こうかな、
と思ったけど、最初の話題が重たかったですね。
書いた本人が胸焼けしてます。
パトラッシュ、ぼくもう疲れたよ。
じゃ、また
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