尾道 大和湯
では、
せっかくなので
印象に残った銭湯をご紹介しましょう。
まずは、尾道にあった
『大和湯』。
残念ながら20年ほど前に銭湯としての
営業はやめた。
ただしこの銭湯の幸せなところは
その後、カフェ&土産物屋として生き残り
尾道の名物となったことだ。
でも私は、ここが現役の銭湯であった頃に
訪れたことがある。
今の大和湯をたずねても
そう思うだろうが
この銭湯は、商店街にに面して、ある。
本当に目の前に商店街があるのだよ。
そして街中に建ってるだけあって
銭湯としては非常に狭い。
だから、風呂に入ろうと思って
木戸口を開けると、いきなり
着替えている親父の尻があるのでした。
普通、靴を脱ぐ土間があって
うまく視線をさえぎるようなつくりにしてある
のだが、ここは土間も狭すぎて
洗い場と商店街をさえぎるのは
暖簾だけなのでした。
(女湯のほうは
脱衣場の中に衝立があったようだが)
町の人も心得ていて
だれも気にしちゃいねえ。
尾道は観光都市だが
この商店街は
地元密着の店が並んでいて
この風呂に喜んでいるのは
観光客だけでした。
私が風呂に入った当時、
結構たくさんお客さんが
入っていたと思う。
大和湯改め『喫茶ゆーゆー』は
銭湯当時の脱衣箱や
洗い場が残されていて非常に楽しい。
そしてこの脱衣箱が
すばらしいハイテク箱だったのだ。
初めて大和湯に行ったとき
まず、当然服を脱ぐ
一 十一 廿一などと
大きく漢数字が書かれたかっこいい脱衣箱に
入れるが鍵がない。
普通は木の札やアルミの札を使った
鍵があるはずでしょう。
別に鍵なんかかけなくてもいいし、
まあ、そういう店か、と思ったが
番台のおばあちゃんに聞いたら驚いた。
鍵がない、とかではない。
そんな原始的なシステムではないのだ。
何と、この銭湯では脱衣箱の鍵を
番台で制御するというシステムを
もっていたんである。
『何番の鍵を掛けてくれ』
と番台のおばあちゃんにいうと、
なにやら操作盤をいじってくれる。
すると箱のほうでかちゃっと音がして
鍵が掛かる。
これはすごい。
この自動施錠システムに感動して
調子に乗って何回も何回も
『やってくれ』とおねがいしていたら
『ええ加減にしいや。
40個の箱のうちもう3つしか反応せんのや』
と、おこられてしまった。
『壊れても直されへんねん』
ともいっていた。
今の店にも脱衣箱はあるようだが
あの自動施錠システムはないだろうな。
まず、番台がないし。
いまでも残っていたら、
ちょっとした文化遺産だと思うのだが残念だ。
(もちろん喫茶店なのでだれも脱ぎませんが)
こんな箱を見たのはここが初めてで
よそで見たことはない。
店の人にあのすばらしい脱衣箱の話をしたら、
知らなかったらしく 感心されてしまった。
脱衣箱の話ししかしてないが
洗い場も狭い割りに
2種類くらいの浴槽があったように思う
何よりも明るくて気持ちのいい銭湯であった
店番の人が知らないのもどうかと思うが
ここは、かつて
日本一面白い銭湯だったと思う。
では、『今日の一枚』
『すごくかっこいい鉛筆』
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