公園の灰皿撤去とキャリー・ネイション
公園でも たばこは吸っちゃいかん、というニュース。
東京都北区の児童公園に設置されていた灰皿が
『子供が受動喫煙の被害を受けた』という
訴訟をきっかけに撤去されるのだという。
公園だから屋外である。
いったいどこで吸え、と。
ついこのあいだ
分煙ですらない。
店内完全禁煙である。
居酒屋は困っているそうだ。
そりゃそうだろう。
そのうち、あらゆる店が禁煙になるという。
パチンコ屋など大反対しているんだそうだ。
そりゃそうだろう。
ちなみに私はタバコを吸わない。
3年前にやめた。
タバコは健康に悪い、とは思う。
そしてタバコの煙から小さい子供を守りたい、という
親の気持ちはわからんではない。
しかし、
遊具のそばに灰皿があるんなら移動すればいい。
撤去って言うのはあんまりじゃないか?
こういうかさにかかったような
『何でも禁煙 』という風潮は嫌いだ。
キャリー・ネイションというひとを知っているだろうか。
禁酒法前夜に活躍した狂信的な活動家である。
まさかりを持って酒屋や飲み屋に入り込み
棚にある酒瓶を片っ端から割ってまわる、という
過激なおばさんだった。
Wikipediaのすばらしい肖像写真をどうぞ。
左手にに聖書
右手にまさかり
もちろん、襲撃のたびに逮捕されるのだが
たくさんの賛同者も得た。
このまさかりおばさんを先頭に
多くの女性信者が賛美歌を歌いながら、
酒場に侵入して狼藉の限りを尽くした。
そして、彼女の運動もあって 死の8年後に
天下の悪法、禁酒法ができた。
このおばさんの困ったところは、
自分の行動を『まったく正しい』と思っていたところで、
酒は人間を狂わせ、
酒場は未亡人を作るところである、と
街中でも拘置所でも 講演でも雑誌でも
あらゆる機会にアジテーションを続けた。
壊された飲み屋の中には『宣伝になる』、といって
『襲撃』を喜んだ奴もいたから、このおばさんの影響力を
過大に考えてはいけない。
そして、彼女がのぞんだ禁酒法は わずか15年足らずで
なくなるのだが、
禁煙運動のほうはなくなりそうもない。
禁煙運動の話に
まさかりおばさんを例に出すのには
反発するひともいるだろう。
『あたしは灰皿や自販機を壊したりしないわよ』と
でも『禁煙・嫌煙』ってのが
金科玉条のようになってるのはどうかなあ。
繰り返すけど、私はいまは
タバコは吸わない。
でもむかしは吸っていた。
20年前なんて土建屋のオフィスは
煙もうもうだったのだよ。
それがいまや、
列車や飛行機はもちろん
駅の喫煙コーナーも無くしますよ。
不特定多数がくる施設は全館禁煙です。
くわえタバコなんてもってのほか。
あげく、公園でも吸っちゃだめってのはどうだろう。
マナーを守ろうが分煙しようが
家の外で吸っては駄目だ、と。
あんたの健康の事も考えて言ってやってるのよ。
『吸いにくい環境作りは、
やめたくてもやめられない喫煙者を救うことにもつながる』って
『月刊「禁煙ジャーナル」』という冗談みたいな名前の
まず 喫煙者が読むことはないであろう雑誌の
編集長おっさんが言っておる。
よけいなお世話だ。
クリーンも健康も結構だけど、
ちょっと極端じゃないか?
理想を信じるのはいいんだけど
それの実現のためにどんどん行動が加速していく、
というあたりが
ネイションおばさんの時代に通じる物があるような気がして
気持ち悪い。
『禁煙に関して日本は欧米と比べて遅れてる。』
なんていうのも ちょっと待て、と。
30年前の欧米でトレンディだったのは
『反原発』だったのだぞ。
いまや『環境のために』原発を作る時代じゃないか。
ちょっとは落ち着け、と思うだけです。
では『今日の一枚』
ザ・矛盾
今年はこういう記事を書かないって言ったのに。
そして、例によって言葉が足りない。
うーん
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コメント
今回も爆笑しました
でも
キャリー・ネイションって女性
こわすぎます
すごいですね
最後の写真
素晴らしい矛盾を現していますね
そして、こういう記事を書かれる
natsuさんを尊敬しています
これからもどうぞよろしくお願いします
今回もありがとうございました
投稿: レイ | 2010年2月28日 (日) 20時44分