失敗した発明
今日は蒸気機関車が発明された日。
1804年2月21日、貨車と客車を引いて公開走行をしたため、
この日が蒸気機関車発明の日、とされている。
発明したのはイギリス人でトレビシックというおっさん。
このときの汽車は、機械として問題があっただけでなく
なによりもレールが鋳物で、もろくて使い物にならなかった。
スチーブンスン父子が改良して作った、1829年のロケット号が
実用機関車の第一号とされている。
鋼鉄製のレールができるようになるのはさらにそのあと。
レールについてはトレビシックさんの責任はないと思うのだが、
彼は、早々に汽車の実用化に見切りをつけてしまう。
そのかわり、遊園地に数百メートルの円形のレールを敷き
『Catch me who can 』(できるもんなら捕まえてみな)という
ふざけた名前の豆汽車を走らせ、金を取って人を乗せた。
どうも、山っ気が多い、というか
せっかちな人だったようだ。
豆汽車はそこそこ客を集めたが
所詮、『お猿の列車に毛が生えたような』代物である。
たいしたもうけにならなかったばかりか、
やっぱりレールが鋳物だったので
結局は壊れてしまい、
トレビシックは多額の負債を背負う事になった。
その後南米に渡り、
本来の仕事であった鉱山技師として成功するのだが、
現地で起こった戦争に巻き込まれて、
無一文になってしまう。
貧民窟で病に臥せっていたトレビシックを
抱きかかえるようにしてイギリスに連れて帰ってきたのは
鉄道の技術指導のため南米に渡っていた
スチーブンスン(息子)であった。
なんだかできすぎているが、有名な話ではある。
パイオニアは、必ずしも成功者にはなれない。
スチーブンスン父子が偉くて
『お猿の汽車』に走った トレビシックがお馬鹿さん、
なんていう つまんないこと言うつもりは絶対にない。
『鉄のレールに鉄の車輪では滑って使えまい』という時代の発明だ。
先見性はすばらしい。
先が見えすぎるから、
見切りをつけるのが早かったのかもしれない。
たとえば『発明王』エジソンは
自らの発明の利益を守るために
商売敵と、えげつない訴訟合戦や
ネガティブキャンペーンをやった。
そういう事は もっとガキどもに教えるべきだと思う。
『主婦のアイディアで年商1億』なんてのを
TVが取り上げるのも よけいな話だ。
パイオニアになるのは難しく、
成功するのはさらに難しい。
トレビシックさんの人生には
いろいろ考えされられることが多いのだが、
とりあえず、
成功者にはなれなくても、
パイオニアにはなりたい。
と思うわけです。
いまのところ
何かになれる見込みはまったくないけど。
うーん
では、『今日の動画』 ヒストリーチャンネル『失敗した発明』
『空飛ぶ自動車』
『空飛ぶ円盤』
『原子力自動車』
『放射能パンツ』
『煙のでないたばこ』…
軍や大企業が全力で挑戦して失敗した発明の数々。
44分もある長い動画なのでお暇なときにどうぞ。
間違いなくおもしろいので、ぜひ。
かゆいところを座標で指示できるTシャツはいいよな。
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コメント
とても良いお話をありがとうございます
感動しました
パイオニアになるというのは難しいですし
成功者になるのはホント・・・
とりあえずなんか頑張ってみます
動画は今度、じっくり観させて頂きます
楽しみです
投稿: レイ | 2010年2月21日 (日) 19時20分
レイさんありがとうございます。
何かの分野のパイオニアになるってのは
どうしたら良いんでしょう。
さらに成功者って。
うーん
投稿: natsu | 2010年2月22日 (月) 22時09分