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2010年5月29日 (土)

iPadの登場と製紙会社の憂鬱

iPad発売から10年たった将来の、製紙会社の会議室。

 

 

    

 

 

 

 

『…専務、続けてくれ』

 

『はい、我が「超日本製紙」の生産量は2020年度の1年間で

2割の減少となりました。』

 

『…むう。』

 

『ご存知のように

紙の生産量の1/3は塗工用紙、つまりカラー印刷用紙。

1/3が新聞や一般書籍などの用紙。

残りが包装紙や衛生用紙、プリンター用紙です。』

 

『どれも駄目なのか?』

 

『はい、携帯やiPadの登場でカラー印刷が激減しました。

タウン情報誌、ファッション誌の紙媒体はほぼ壊滅です。』

 

『JRの車内吊広告もなくなりましたし、街でも動画広告が増えて

ポスターも遠からず半減するでしょう。 

カラー印刷で生き残っているのは専門雑誌と

カレンダーだけです。』

 

『自動車誌なんかはだいぶ廃刊しているらしいじゃないか。

建築専門誌も部数を落としていると聞くぞ。』

 

『あとは、えーとあの エロ本なんかも、駄目ですね。

iPadでもパソコンでもエロ動画が見られる時代ですから。

カレンダーも便所の中まで貼っているのは高齢者だけです』

 

『…うちの田舎がそうだな。』

 

『新聞も、もう紙で読んでいるのは高齢者だけです。

少子化のせいで新聞配達員が確保できません。

宅配制度そのものが崩壊しつつあります。』

 

『エコ、とかのおかげで包装紙も全滅です。』

 

『…社長にはご報告が遅れたんですが、

「グリーン・シェパード」という団体から脅迫メールが来ています。』

 

『…脅迫?』

 

『はい、森を食い尽くすお前らは許せない。

倉庫丸ごと燃やしてやる。

「人間なんて大嫌いだ」と。』

 

『あいつら、ほんとにやりかねないですよ。』

 

『冗談じゃない。倉庫には山ほど在庫があるんだ。

紙屋が火をつけられたら末代までの恥だぞ。』

 

 

 

 

 

『…なにか、明るい話は無いのか?』

 

『書道ブームのおかげで、半紙の生産がここ10年間で

20%の拡大です。』

 

『しかし、あれは元が小さいだろう。』

 

『衛生用紙の消費が伸びています。

少子化にもかかわらず紙おむつの消費は伸びています。

ウォシュレットが普及してから

むしろトイレットペーパーの生産は伸びているんです。』

 

『ほう…』

 

『花粉症の普及で、ティッシュの生産も急増です。』

 

『普及?』

 

『日本なんかでは「花粉症市場」はもう飽和点に達していますが

去年あたりから、中国人が

猛烈な勢いで花粉症にかかり始めました。』

 

『あの不潔な国でか?』

 

『日本だって1970年代までは、

環境はほめられたもんじゃ ありませんでした。』

 

『いろんな意味で「先進国」というわけだな。』

 

『ティッシュ以外にも、マスクがあります。

空調や掃除機のフィルターといった環境機器のパーツや

生理用品やフェイスパックなんかの化粧用品まで含めれば

健康関係の紙製品というのは宝の山です。』

  

『「エコ」にうるさい連中も「健康」には口を出しません。

あいつら頭が悪いから、

「健康のためなら地球が滅んでもかまわない」

くらいのことしか考えていないです。』

 

『しかし、ティッシュなんか中国のほうが安く作れるだろう。』

 

『共産圏のトイレに入ると必ず切れ痔になる、

という伝説を忘れたんですか?

やわらかさ、肌当たりのよさ、ティッシュだけでも

中国の品質は日本に10年以上遅れていますよ。』 

 

『なんだか自分が島耕作になったような気がするよ。』

 

『とにかくこれからの製紙業の将来は

ティッシュやナプキンなど、高機能で差別化を図れる製品に

シフトする方向に進んでいくのではないか、と』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…毎朝、刷りたての新聞を開いて うわーっと広がる

あの、インクの香りがすきなんだ。

新刊の本を買って、のりの効いたページの

指を切りそうなあの角が好きなんだよ。』

 

『…社長?』

 

『それが鼻紙とナプキンだけ作れってか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(フィクションですよ。念のため。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

iPadごときを過大に評価してはいけない、と思う。

大きさも重さも中途半端だ。

ゲームができる、楽器が弾けるなんていう

おもちゃのような機能もどうでもいいと思う。

なんでNHKまでニュースで流すのだろう。

 

書籍や雑誌も、いまのところ日本でのコンテンツは

たいしたことは無いらしい。

 

 

しかし、そうはいっても 

将来その中心にiPadがいるかどうかは別にしろ

『書籍の電子化』というのは

もう、止められない流れなのだろうな。

 

 

うーん。

 

 

出版社は紙媒体からの転向を図っているらしい。

しかし、製紙業界だけじゃなく

印刷、製本、という業界は大変だ。

 

そしてなにより書店という存在は

どうなっていくんだろう。 

街から本屋がなくなるのは寂しいなあ。

 

 

何より本が無くなるのは、寂しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では『今日の一枚』

 

 

 

 

 

 

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死ねばいいのに

 

 

 

 

 

新作をiPadで販売すると発表したミステリー作家 京極夏彦。

先覚者か裏切り者か?

 

 

 

 

 

 

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