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2010年8月30日 (月)

10式戦車でなにがやりたいのか?

陸上自衛隊の富士総合火力演習が行われた。

(時事通信のニュース)

 

 

    

 

 

今年からUSTREAMで実況していたらしいが、知らなかった。

 

 

 

 

せっかくなので、去年の演習の様子を。

 

 

 

 

 

 

かっこいー。

 

 

 

 

 

 

 

これだけの火力があれば、

マッカーサーの上陸など許しはしなかったものを。

 

8月30日はマッカーサーがコーンパイプくわえて

厚木に降り立った日、でもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『日本戦車は弱かった。』ということは

第二次大戦までについては、みんなそう思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

司馬遼太郎はそう言っていた。

 

 

 

『日本陸軍の失敗』はたくさんあるが、そのうちのひとつが

これほど筆の立つ人を

弱体の戦車科に配属しちゃったこと。

 

 

 

結果として

司馬遼太郎は大きな戦闘に参加することはなかったのだが

装甲をやすりで削ったりしながら

常に自分を包み込む『死の機械』について考え続け、

 

戦後、筆を尽くして日本戦車を罵倒する。

 

 

 

 

 

 

いわく

装甲が弱い。

大砲が短くて威力がない。

なにより、数が少なくて話にならん、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それらはすべて正しいのだが

全部の原因は『日本が貧乏だったから』ということにつきる。

 

 

 

数がたくさん揃えられないのはもちろん

サイズの大きい戦車が作れなかったのは

道路も鉄道も港湾も貧弱だった日本では

大きな戦車を作ったところで輸送ができなかったからだ。 

 

 

輸送しようと思ったら

道路は崩れ、トンネルにはぶちあたり、

橋は落っこちてしまう。

 

港で荷役しようと思っても

何十トンも吊れるクレーンは、ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この呪縛は、戦後日本が初めて開発した61式戦車でも同じで

小型化をするために中途半端なものになってしまった。

 

000type61_4

 

よわいよっ

 

 

朝鮮戦争で日本駐留の米軍がいなくなってしまったために

急遽作られたのが警察予備隊で後の自衛隊。

とりあえず米軍のお下がりを貰ったが

自前の戦車が必要だ、といって作られたのが61式。

 

共産革命がまじめに心配された時代で

治安維持も重要な要素だったから

『全土に展開できること』が重視された。

 

そのために幅3mという、『列車に乗せるため』の

当時でも無茶な要求が出されてこんなものになった。

 

 

 

 

 

 

その後、冷戦が進むと戦車の威力は増大。

戦車で大事なところは大砲と装甲だから

世界中の戦車はどんどんと、大きく重たくなっていっった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで日本は『機甲部隊を全土に展開すること』を

あきらめて74式戦車を開発する。

 

000type74

 

かっこいい

 

 

 

基本的に『北海道限定』ということで作られたこの戦車は

初めて世界水準に達するとともに日本車らしく

可変油圧サスペンションなどの高度な仕掛けを持ってた。

 

 

こいつの お披露目の時

全速力で走りながら、主砲をぶっ放す74式に、

外国の観戦武官が腰を浮かして目をむいた、という。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後開発された90式も基本的には同じコンセプトで

北海道に集中して900両をそろえる、と。

 

000_type90

 

50トン越えちゃいました。

 

 

 

内地の人間、特に関西人が勘違いするのが

『北海道って広いけど、大阪の2倍くらいと違う?』

と思っている、ということ。

 

『函館なんて札幌の隣町やろ? 八尾とか布施と同じやろう。』

と思っていたら250kmも離れている。

 

『宗谷岬はちょっと遠いかなあ』と思いつつ

『白浜よりちょっと遠いくらいやろ。』程度に思っている

おばさんはたくさんいると思うのだが、

じつは400kmも離れている。

 

 

 

この広い北海道に900両の戦車を貼り付けたのが

冷戦時代の自衛隊。 

 

 

 

 

 

 

 

 

血迷ったソ連が上陸してくれば殲滅してくれる、と。

 

守備側が900両の戦車戦なんて

ここはクルクスかアルデンヌか、と。

 

堂々戦車戦を戦ってやる。というのが

ついこの間までの自衛隊の基本戦略。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『将軍たちは、常に前の戦争の準備をする。』という

有名な台詞があるように自衛隊は

戦前には持てなかった機甲戦力を目指して戦車を育てた。 

 

 

 

 

 

 

でも冷戦も終わったし、

74式も更新しなきゃいけないし、せっかくなら、

今時の『かしこい戦争』に対応できるような

新式戦車を作りたいなあ、と。

 

 

 

それでもう、『北海道限定』の縛りをはずそうじゃあないか、と。 

それでできたのが『10式』。来年度から実戦配備が始まる。

 

000type10

 

44トンになりました。

 

 

 

90式が50トンを超えていたのを44トンにしました。

主砲は120mmで同じだから、これはすごいよ。

 

とにかく、小型化しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで、やっと今日の話題。

『戦車』って必要か?

 

 

 

 

 

 

 

90式は、名前が示すように1990年に兵器になったのだが

当時の日本はバブルで泡まみれで

900両くらい あっという間にそろえてやるぜっ、と

いっていたのが『バブルがはじけて』できなくて

定数800両のうち90式は341両しかない。

 

残りは74式で、いくら何でも40年前の型のこの戦車が

過半数以上あったら北朝鮮を笑えない。

 

 

 

 

 

あたらしい中期防では

『戦車自体、800両から600両に減らす』、といっている。

その場合でも、10式戦車を360両作ることになる。

 

 

 

2013年度の調達価格は一両あたり9.5億円だそうだが

たかいなー。

 

 

 

 

 

 

 

それはともかく、軽量化したとはいえ、この戦車で

日本全土をカバーできるんだろうか?

 

 

兵器なんて、使わないに越したことはない。

だから、いまでも世界最強の90式を更新して

配備される10式は、それだけで『抑止力』になると思うけど、

それでいいのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10式戦車の展示走行(今回の演習のものではありません)

 

 

 

 

 

 

かっこいー。

 

 

 

 

 

 

 

でも、新開発の戦車の主砲が従来の90式と同じ、とは

どういうことか?

重量を減らして、いままでと同じ大砲を抱えるということの

無理はわかっているけどね。

 

しかし、

これ以上強力な武装が主流になったらどうするつもりか?

 

 

冷戦終了後、世界の新式戦車の開発競争のスピードは落ちた。

10式は、その中で注目の登場なのである。

 

これが将来の世界戦車のスタンダードなのだろうか。

 

 

大丈夫か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いまのところ、

日本への強襲上陸できる能力を持っているのは、

ロシアと韓国と中国くらい、と要するに

北朝鮮以外の全部なのだが

 

まあ、ここ10年くらいは戦車戦をやるほどの喧嘩することは

ないだろう、と思う。

 

 

 

 

 

 

だから、北海道限定の縛りをはずしたのはいいんだけど

離島に上陸されちゃった時に、空挺部隊が

エアボーンできる軽戦車、とかそんなのも必要だよねえ。

 

街中でゲリラ、っていうのは日本では考えにくいんだけど

化学防護車や野外炊具車なんていうのも

もっとたくさん要る。

『防衛』とは戦車だけではないぞ。

 

000suihann01

 

『炊飯1号』くん

 

 

 

欲しいけど、貧乏だから数がそろわない、

というのならば帝国陸軍とかわらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

勘違いしないで欲しいのは

戦車が要らない、といっているのではないと言うこと。

 

 

 

10式戦車が指し示す、

将来の防衛のスタイルがよくわからない。

 

『北海道にソ連軍が来たらたたきつぶす』という

冷戦時の決意と配備はそれなりに勇ましかったが

『全土に展開できる10式戦車』で

なにをやりたいのかよくわからない。

 

 

 

 

かっこいいだけでは困る、と思うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では『今日の三枚』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司馬遼太郎も乗っていた、97式戦車

000_type97

 

 

 

 

 

 

事実上これが第2次大戦中の日本の主力戦車。

通称『チハ車』 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソ連の戦車、T-34

000_t34

 

 

 

 

 

 

 

写真のスケール以上に実際の寸法は違っていて

チハよりもT-34の方が5割方大きい。

 

 

 

 

 

 

 

ドイツのタイガー戦車。

000_tiger

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なるべくみんな、人間が乗っている写真にしました。

 

この3車種が同じ戦場で相まみえる事はなかったけども

出会っていたら大きさや威力は当然、違う。

スケール感を比べながら見てください。

 

 

 

 

 

 

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コメント

「マッカーサーの上陸など許しはしなかったものを」
吹き出しました
素晴らしいセンスですね

戦車って単純にかっこいいですね
子供の時にプラモ作ってましたが
今からでも面白そうです

「タイガー戦車」!
何かの映画で見ましたが
べらぼうに強かったです

投稿: レイ | 2010年8月30日 (月) 20時19分

チハたんは、開発当時はそれが世界の主流だったので、別に弱かったわけじゃありません。

ソ連は異常でしたが、それでも1942年におけるT34の総数なんてたかが知れてました。

ドイツも50ミリ砲の3号戦車が主力だったし。

技術な工業力より砲兵と戦車科の対立ってのが大きかったようですよ。


それと、現在どこも120ミリ砲以上の戦車砲は作ってません。
50トンや60トンクラスで水平にぶっ放せるのは120ミリ、125ミリクラスが限度だからです。

それに最近は砲弾の改良で口径を増やすことなく威力を増すことが可能ですから。

投稿: ぬくぬく | 2010年8月30日 (月) 21時45分

レイさんありがとうございます。
戦車かっこいいですよねえ。
去年の『そうかえん』の動画
防衛省のHPにあったんですがほれぼれします。
タイガー戦車と書くとなんだか魔法瓶のようですが
めちゃくちゃ強かったらしいです。でも負けた。
ソ連と戦車戦をやらなくてよかったですな。
プラモは根性がないので続かなかった記憶があります。
プラモ屋のショーウィンドウに展示してある
『作品』を毎日眺めてました。
 
ぬくぬくさんありがとうございます。
確かに97式も機械としては優秀だった
らしいですね。
でも、戦車の歴史は砲と装甲の
追いかけっこです。
APFSDS弾が登場した時、
この競争は終わるかと思われましたが
終わりませんでした。
日本は砲をそのままに車体を小さくする
という選択をしましたが、そうであれば
車体をそのままに砲を大きくする、
ということも可能なはずです。
大丈夫でしょうか?日本。

投稿: natsu | 2010年9月 1日 (水) 22時44分

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