採血と看護婦と私
病院で採血してきた。
私の血管は、繊細な神経とおなじく ずいぶんと細いらしい。
採血というのは、二の腕をゴムでぎゅっと締めてから
肘の内側を指でまさぐって血管を捜しだして針を刺す。
しかし、いつまでも指でまさぐりながら
『あれー、細いですねー。』
といわれたことが何度かある。
新人の看護師さんだと、
時間がかかるのは恥だと考えるのか、先輩に怒られるのか
焦っている様子がわかって、可笑しい。
ただし微笑ましくても、大抵彼女たちは下手くそなので
痛い目に会うのはこっちだ。
割に合わない。
逆に ベテランの看護師さんが
指を当てた時、一瞬だけ『おや?』という表情を浮かべ、その後
素知らぬ顔をしながらも 指だけは素早く動かして
針を突き立てると 今度はゆっくりと注射器の内筒を引く。
処置が終わった後、初めてちらりと視線を向けて
にやりと笑ったりする。
その『どや顔』 を見ると、なんだかすがすがしい。
『ぐっじょぶ』という気分になる。
大きな病院だと、
こういったバトルもほぼ無言で行われるのだが
今日行った病院の看護婦さんは賑やかだった。
『はーい。採血ですねー。
腕まくってこの台においてくださーい。
あー左ねー。
はーい、ちょっとごめんなさいねー。(ゴム巻いてる。)
じゃあ、親指を握って、ぎゅってして下さいねー。
ぎゅうー。 (声に出していっている。)
あら、
あらあらあら、細いわねー。
ぱん、
ぱんぱんぱん。(勝手に人の肘をたたいている。)
あらー、でないわー。
ぱんぱんぱん。
ぱんぱんぱんぱん。(ええかげんにせえよ、おばはん。)
右でもいいかしら。(もう駆血帯をはずしている。)
右が利き手? いいわよね。(なにもいってない)
はーい、親指握って。
ぎゅうー。
あら、あらあらあら。
細いわねー。(右だけ太い人なんていないと思うぞ。)
ぱん、ぱんぱんぱん。(たたいてる。)
ぱんぱんぱんぱん。
うーん。(まさぐっている。)
やっぱり左でいいかしら。(え゛?)
はーい、親指ぎゅうー。
うーん……
うーー……
うーん、ここで採れるかしらね。
…
… (採血中。)
…
今日はお休みなんですか? 』
まあ、こんな看護婦さんもおるわなあ、
と、妙に感心して帰ってきました。
では『今日の一枚』
痛くない、痛くない。
いたいわっ
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