B-1グランプリ必勝法
B-1グランプリが開かれている、というニュース。
『B級グルメ』を競うB-1グランプリ。
まだ5回目だが、既に大変な知名度。
去年優勝した、『横手焼きそば』は
30億円以上の経済効果を出したのだそうだ。
一昨年優勝した、『厚木シロコロホルモン』は
名前を商標登録していて
『本物』以外がこれを名乗る事は許さない、という。
『B級の本物 』?
B-1グランプリの投票の方法はちょっと変わっていて、
観客が気に入った料理の投票箱に
食べ終えた箸を入れ、その重さで競う。
粋、だと言える。
しゃれっ気があっていいな、とも思う。でも
きたねえな、とも思う。
『…というわけで、来年は我が町もB-1グランプリを獲りたい。』
『もちろんです。町おこしのためにもなんとかしろ、と
町長からもきつく言われています。』
『去年の「睾丸コロッケ」は旨かったんだけどなあ…』
『投票してくれないと、どうにもなりません。』
『そこで、だ。発想の転換をしようと思う。
本数を数える訳じゃないんだから、
箸自体を重くしちまえば勝てねえか?』
『…不正はやめてくださいよ…』
『ふふふ、そんなことはせんよ。
これが、今年のメニューだ。』
『…シチューですか?
ずいぶんまた、もっちゃりとした…』
『ふふふ、このメニューの秘密については
開発に協力してくれたT大の山田先生に話して頂こう。』
『あ、どうも。山田です。高分子化学が専門です。』
『化学の先生がどうして…』
『えーと、審査に使われる割り箸はですね、
しごく一般的なね、杉のね、木材な訳です。』
『……』
『木材ですからね、汁物であれば染みるわけです。
その分重たくなるわけです。』
『…なるほどぉ。』
『ことしもね、焼き鳥とか、いなり寿司とか
つまんで食えるようなもので出場しているチーム、
ありますけど、あれ、絶対に勝てません。』
『…浸みないから?…』
『そうです。どれだけ浸みさせるか、
これがね、ポイントにね、なると思うわけです。』
『…うーん…』
『私のね、研究室でね、この杉に浸透する
もっとも適した油、というのを研究しましてね。
それでね、ついにね、完成した、と。』
『…ほぉ…』
『それがこの、超超浸透性食用油
R-28号というものです。
これに木材を浸けると2、3秒で内部にまで浸透します。』
『…さすがT大…』
『これだけで、3割方重量が増えますね。』
『…でも、シチューにしたのは?…』
『そうです、シチューってのは、この、とろみをつけますね?
小麦粉を炒めたりしてね、つなぎにする訳です。
これもね、このR-28号で炒めると、
この、箸に絡みつくくらい粘りが出る、と。
歯でこそげ落とそうったってね、
そうはいかない頑固さです。』
『なるほどぉ…』
『余計重たくなる訳か!』
『食べ滓がついてても不正じゃないもんなあ!』
『実験してみましょう。このね、ルーにね、割り箸を入れて
5秒ほど浸けて引き上げます。
そうすると、もうね、こうやってルーがべっとりとつく、と。』
『…おぉ…』
『重さを量ってみましょう。ほらね、元々のね、
割り箸の重さの2倍になりました。』
『おおーっ』
『これで、半分の得票でも勝てるっ。』
『わかってくれたかね…』
『すばらしいです会長っ。』
『試食させてくださいっ。』
『おお、いいともいいとも。』
『どおだね?』
『…すごく、どうも、…』
『味付けについてはまだ未完成だ。
君たちの意見も入れて完璧なものにしていこうっ。』
『…いや、味付け以前に食感が…』
『のどに張り付いちゃって…』
『フルマラソンのあとに飲む「おじや」みたいな…』
『率直な感想を言ってくれっ。
うまいのか、不味いのかっ?』
『不味いっす。』
では『今日の「目的と手段」 』
いまの冷蔵庫はこんな事ないよね。
昔は、『霜取り』っていってねえ…
なんとかアンテナ代わりに…
なるとは思えない。
そうか、そうか…
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コメント
箸のくだり
爆笑しました
ショートショートで本が出せそうです
最後の写真
「来いよアグネス!」
これを書いた店員を見てみたいです
投稿: レイ | 2010年9月19日 (日) 14時34分
レイさんありがとうございます。
今年の優勝は「甲府鳥もつ煮」
だそうです。
あの、たれに秘密があるんだと思います。
あのポップ、
本当にアグネスが来たら
どうするつもりなんでしょう。
投稿: natsu | 2010年9月19日 (日) 23時07分