振り上げた拳と尖閣諸島と金門島
こじれる尖閣諸島問題。
閣僚級交流停止、万博への学生招待中止、
訪日自粛要請、SMAP公演の募集中止。
北京政府はこの騒動をどこで収めようとしているのだろう。
端緒になった漁船と巡視船の衝突は
北京が意図した事じゃなかったかも知れない。
しかし尖閣諸島周辺の日本領海内には100隻以上の船が
違法操業をしているのが常態化していたという。
いずれ、こういう事件が起きる事は予想されていた。
それなら、もう確信犯じゃないか。
北京だって、この騒動を押し通すのは無理がある、
と思っているんじゃないかなあ。
いかに軟弱な民主党政権も、この問題で引く事はない。
それだってわかっているのだ。
でも、ガス田や海軍進出の問題もあるから
とりあえず、拳を振り上げておこう。
なあに、ニッポンは代表選で、わたわたしているし、
なによりニッポンの裁判所は甘いから
シーシェパードの船長と同じで、
有罪になっても、執行猶予がついて国外追放だ。
船長が帰ってきたら、凱旋将軍のような扱いはせず
小金をつかませて黙らせてしまおう。
といったストーリーを考えていたような気がする。
シーシェパードの、あのハゲの船長の名前なんて
もうみんな覚えていないでしょう。
裁判ではしおらしくしてたけど
やっぱり捕鯨船は妨害するよ。
中国としては、だから、
文句なんて、言える時にいっといたほうがいいんだ。
くらいに思っているんじゃないか。
でも、おそらく北京にとって意外だったのは
日中の世論が過剰に反応した事。
反日デモ、くらいは予想していただろう。
Googleだって閉め出した国だ。
ネット世論なんて北京が操縦していると思っていただろうが
いまの過激な反応は予想外じゃなかったか?
しかも まずい事に、いま万博やってんじゃん。
田舎の日本人学校への投石くらいだったらいいけど、
万博会場で中国の『愛国者』と
日本人と喧嘩を起こしたりされたらかなわない。
日本の反応も意外だったろう。
まさか、連日トップニュースで扱われるとは
思っていなかったんじゃないか?
いま、北京の切なる願いは
『頑張れ、押尾。』 だろう。
クスリが欲しければ差し入れてやるから、
裁判所で一暴れして
トップニュースを持って行ってくれないかなあ、と。
中国人は面子にこだわる。
これは世界的に有名なのだが、
それ故に、喧嘩の収め方が下手くそだ。
かつて金門砲戦、という紛争があった。
大陸から、ほんの数キロしか離れていないのが金門島。
1958年にここをめぐって起きたのが金門砲戦。
清が滅んだあとの中国は国民党が支配していた。
しかし共産党が生まれると、喧嘩ばかりした。
日本が大陸に出張っていた頃には『敵の敵は味方』
という事で共闘していた。
アメリカも国民党を支援していたのだが、
つきあうほどに、国民党は腐敗していてどうしようもない。
日本が降伏してしまうと、呆れ果てたアメリカは中国から撤収。
国民党は共産党と内戦を戦い、ああっという間に
大陸から追い出される。
しかし農村出身の共産党は陸では強いが、
海軍を持っておらず、揚子江さえ泳いで渡った。
一応『戦勝国』として日本海軍の駆逐艦とかで
武装していた国府軍には海では手が出せない。
それでも、海南島や、大陳島など大きな島には
ゲリラを送り込んで『解放』していくのだが
国府軍も福建省周辺に上陸作戦を繰り返した。
その時の基地のひとつが金門島。
中共軍からしたら腹立たしい存在である。
ここなら大砲が届くから、秘かに重砲を運んで
圧倒してしまえ。というので始まったのが金門砲戦。
秘かに大砲を集めて、敵を圧倒。というのは
中共軍の常套戦術で、既にホー・チミンが1954年に
ディエンビエンフーでフランス軍を打ち破っていた。
初日に6万発を打ち込む、という猛烈な砲撃。
二〇三高地ならその日のうちに落ちるほどの砲撃で
短期決戦を狙ったのだが国府軍もよく抵抗。
さらに中共の予想外の事態が起きる。
アメリカが第7艦隊を送り込んできたのだ。
一度は国民党を見放したアメリカだったが
朝鮮戦争で中国が参戦してくるといまさらながら
こんな事に気がついた。
『このままでは
ユーラシア大陸が真っ赤に染まる』
日本の敗残艦隊を集めた台湾海軍に勝てない中国海軍が
日本を破った第7艦隊に勝てるはずはない。
それがいまや、
海上自衛隊に喧嘩を売るようになったとは
中国海軍も生意気になりましたな。
紛争拡大を恐れたソ連も
『ええ加減にしときや。』と忠告したらしい。
並の国際紛争ならここで終わるのだが
終わらないのが、中国の不思議なところ。
上陸作戦はあきらめたが
砲戦については『断固として続ける』と。
理由は『面子』、である。
砲撃で島民を殺したりしたら、それでまた紛争になるので、
月・水・金の午後4時間、と『可燃ごみ』の収集日
のような『日程』を決めて砲撃した。
そんなんだったら空砲でいいじゃん、と思うのだが
これも『面子』によって実弾を撃ち込んだ。
島民は、砲撃の間隠れていて終わると砲弾殻を拾いに来る。
一応は大砲で特殊鋼だから溶かして叩けば
切れのいい包丁になる。
従っていまでも、金門島の『名産』は包丁だ。
そして、この馬鹿馬鹿しい『砲戦』は
共産党中国とアメリカが国交を結ぶまで
21年間続いた。
けんかっ早いが、幕の引き方を知らない。
やっかいな国だぜ。
『広瀬艦長っ。作戦海域への到着は
○七三○の予定でありますっ。』
『うむ、ご苦労。
しかし、沈めるための船を運ぶ、なんてのは
面白くないだろう、杉野ぉ。』
『沈むのでありますか?』
『うん。最初はな、中国人から金を取って
船をぶつけさせるっていうイベントだったんだ。』
『…はあ。』
『いちいち巡視船とかに当てられたら
おたがいめんどくさいからな。
だから廃船予定の船を日本が用意して
「100トン以下の木造船」に限って中国人から
金を取ってぶつけさせるようにしたんだ。』
『金を払うんですか?』
『金払ってでもやりたい、ってやつがたくさんいる。
旭日旗の船に突撃、
っていうだけで盛り上がるらしいよ。
政治家やタレントや、いろいろいるらしい。
ぶつける船をわざわざ新造する連中もいるそうだ。』
『日本のメリットってなんです?』
『商売さ。
船はどうせ解体予定のものだし、最近のくず鉄市場の暴落で
こっちの方がはるかに金になる。
最近じゃ、ただ沈めるんじゃつまらない、魚礁にしようって事で
この船にもいろんながらくたが積み込んであるぜ。』
『船を運んだあと、われわれはどうするんです?』
『海保のヘリが迎えに来てくれるよ。
中国船が来る頃には無人さ。』
『沈めるのはどうするんです?』
『一番金を出したスポンサーが『突入』したあと
リモコンで花火と共に『轟沈』させる。
絶対に安全なミッションだよ。』
『艦長っ。2時の方向に不審船っ。』
『なに?』
『ものすごいスピードで近づいてきますっ。』
『発光信号を打てっ。停船させろっ。』
『不審船から閃光っ。』
どーーーん
『右舷水線部で爆発っ。猛烈な浸水ですっ。』
『総員退艦っ。』
『広瀬艦長っ。急いでくださいっ。』
『艦橋にいた杉野がおらん。衝撃で飛ばされたかっ。』
『いけませんっ。艦長っ。』
『杉野ー。杉野はどこだーーー』
では『今日の三枚。』
金門包丁
包丁の材料
東京・万世橋にあった
広瀬少佐と
杉野兵曹長のモニュメント。
撤去されて今はない
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コメント
金門包丁。一丁欲しな~。
やっぱり、ド~ンとした、最後まで切り切れないナマクラなのでしょうか?
投稿: 生禿 | 2010年9月23日 (木) 01時26分
同じく金門包丁、ひとつ欲しいです
料理は好きですが
中国人の料理はできません A^^);
モラルがオプションの国なので
これからどうなるのだろう、と嘆いております
投稿: FREUDE | 2010年9月23日 (木) 09時38分
生禿さんありがとうございます。
まあ、メイドインチャイナですから。
ただ砲戦が終わってもう30年以上経つのに
『材料のストックはまだある』
のだそうです。
FREUDEさんありがとうございます。
なんでも売ってるAmazonも
覗いてみたんですが、ありませんでした。
この『騒動』の落としどころについて
北京も一応考えているはずだと
思うんですけどねえ。
ごり押しが通ると思ってるのか?
投稿: natsu | 2010年9月23日 (木) 18時31分
出遅れました~><
勉強になります。
地検が中国人船長を釈放して
ますます事態の成り行きが、
わけのわからないことになってきましたね。
娘のスカポンタスが11月に中国に修学旅行に行く予定なのですが……この調子だと行き先を変えざるをえませんね。
投稿: fullpot | 2010年9月25日 (土) 07時25分