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2011年10月30日 (日)

熱帯で打ち上げる理由

ロシアが南米、仏領ギアナから人工衛星を打ち上げた、

というニュース。

(朝日新聞の記事へのリンク)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんで、ロシアのロケットをフランスで?』

 

ギアナには、ソユーズを打ち上げられる発射台がある。』

 

『ロシアとフランスってそんなに仲がいいんですか?』

 

『仲がいいとか悪いとかとは違う。

このニュースの背景には、それ以外の、

大人の事情があるような気がする。』

 

『大人の事情?…』

 

『まず、いまロシアが使っている宇宙基地は「借地」にある。』

 

『…はい?』

 

『ソ連時代から、バイコヌール基地ってのがあるんだけど

いまはカザフスタンの中にある「ロシアの飛び地」だ。』

 

『正確に言うと「租借地」ですね。』

 

『91年のソ連崩壊は、あの国の宇宙開発関係者にも

全く予想外だったらしい。

なにしろ、宇宙ステーションにいた飛行士が

「地球の外で祖国崩壊を知った」

というくらいだ。』

 

『宇宙開発なんて、最高の国家機密なんだから、

準備しろよって思いますけど。』

 

『まあ、大事なものは持ち出したんだろうけど。

なにしろ国がでかいから、セバストポリ軍港とか

ほかにも取り残されちゃってどうしよう、って場所が出来た。』

 

『困ったもんです。』

 

『バイコヌール基地も、カザフスタンとの間で

「居座るんなら金払え」ってことでだいぶ揉めた。

水道を止められちゃう、という

ガキの喧嘩みたいな騒ぎにまでなった。』

 

『いまは?』

 

『94年に20年間有効の租借協定をつくって

年間1億1500万ドルで借りている。』

 

『円高だから90億円くらいですな。』

 

『で、20年じゃ短いぜっていう事で、協定は延長されて

いまんとこ2050年まで借りられることになっている。』

 

『じゃあ、いいじゃないですか。』

 

『といったって、

いつまでも外国に宙基地を置いとくわけにも行かない。

って事で、2015年オープンを目指して

ボストチヌイ基地ってのを作り始めた。』

 

『2015年、ってもうすぐですぞ。』

 

『当然、間に合いそうにない。』

 

『まあ、ロシアらしい、というか。』 

 

『今回のニュースの底にある、

一つ目の理由が、これだ。

 

『ぜんぶ海外で打ち上げ?』

 

『ほんとは、ボストチヌイをオープンさせて

2020年にバイコヌールは閉鎖するはずだったんだけど、

とても出来そうもない。』

 

『カザフスタンとの共同基地になるっていう噂もありましたな。』

 

『軍事衛星を海外から打ち上げるわけに行かないから、

国内基地は必要だけど、間に合わないし

商業衛星は海外で打ち上げようぜってのが、

今回のニュースじゃなかろうか。』

 

 

 

 

 

 

 

 

『しかし、ロケットの発射台まで作ってあるんなら

相当前から準備していたんでしょう。』

 

『だから、もうひとつ理由がある。』

 

『借地問題以外にも?』

 

『ほんとをいえば、あの寒い国で

どかどかロケットを打ち上げるなんて、

不経済なんだ。』

 

『そうなんですか?』

 

『地球は自転してるから遠心力が使えるように

どこの国も、なるべく赤道に近いところに発射基地を作る。』

 

『日本は種子島ですよ?』

 

『沖縄返還前だったからな。

しかし、いまロシアが作ってるボストヌイ基地は北緯51°で

択捉島よりも北だ。』

 

『えーと、バイコヌールで、やっと稚内くらいですかね。』

 

『そこにいくと、仏領ギアナは北緯5°だ。

商業衛星にはこっちを使おう、って

考えてたんだろうな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しかし、そんなことをいうんなら、

いまの日本最南端はどこです?』

 

『えーと、沖ノ鳥島だな。』

 

『じゃあ、そこに、ロケット発射基地を作りましょうよ。』

 

『アホか、あんな小さな島に。』

 

00000000000000000000000000000000000  

 

日本最南端の『島』

 

 

 

 

 

『真ん中の黒いのが「島」?』

 

『まあ。そうです。』

 

『それをこんなふうにして守っている、と。』

 

 

00000okinotorishima  

チタンの網で囲い

周りにコンクリートの護岸を

作りました。

 

 

 

『で、これがなによ?

こんな所にロケット基地なんか作れないぞ?』

 

『中国だったら、いくらでも海上基地を作りますよ。』

 

『…ああ』

 

『例えば、赤瓜礁。』

 

 

0000akaurisyou   

1980年代の

南沙諸島、赤瓜礁

 

 

 

 

0000akaurisyou2最近の赤瓜礁。

港はもちろん、

軍隊は駐屯してるし

民間人も住んでます。 

 

 

 

『しかし、あんな島にロケット基地なんか作ったら…』

 

『領土権が確固たるものになります。』

 

『しかし、ロケットってのは

打ち上げの時に爆発することもあるんだ。』

 

 

 

 

バイコヌール基地でのロケット打ち上げ失敗の模様。

 

 

 

『発射台の上で爆発した例もある。』

 

 

000000000000000000000000000000000_4  

 

スプートニクショックで

焦ったアメリカが

打ち上げようとして大失敗した

ヴァンガードロケット

 

 

 

『そんなことになったら、沖ノ鳥島

吹き飛びますね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日のロケット。』

 

 

 

 

 

 

バイコヌール基地から打ち上げられる

ソユーズ。

00000soyuz   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソユーズは宇宙船で、打ち上げロケットはR-7というのだが

基本設計は60年前。

 

裾の広がった独特のスタイルは

ロケットか束になっているから。

 

推進器単体の推力にこだわったアメリカに対して

成果を急いだソ連は

『非力なエンジンを束にする。』という方式を採った。

 

結果的には、アメリカに先んじることが出来、

スプートニクを挙げ、

ガガーリンを打ち上げた。

 

 

 

 

手塚治虫の漫画に出てくる『未来のロケット』というのは

実は、このR-7ロケットをモデルにしている。

 

手塚漫画が描く未来は

すばらしい空想の極限、だと思っていたのだが、ロケットに関しては、

これの写しである。

そう来たか、ってくらいに『ソ連』だ。

 

ガキの時は『未来の技術』と憧れたのだが

なんのことはない、1950年代のものだ。

 

手塚治虫は特にそうだが

一般にも科学最先端に関して『ソ連がすごい。』という時代が

あったらしい。

 

そして、手塚治虫の時代から50年経っても

使われているあたり、

ちゃんと『未来技術』なのがすごい。

 

 

人間の想像力って、案外手許にある。 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ギアナか。 

 

0000guyane  

 

 アフリカじゃなくて

 南米にあります。

 

 

 

 

 

仏領ギアナは、「海外県」なので「植民地」ではない、

というのが建前。

しかし昔は金が出て、いまはロケット基地があるので

フランスは手放すつもりはない。

 

そこに入ってしまえば、シェンゲン協定のおかげで

フランスばかりか、EU入り放題である。 

だから、密入国が絶えないらしい。

 

 

000000000000000000000000000000000_3  

これは、

ギアナじゃないけど密入国で

EUに侵入しようとした奴。

 

 

 

南米の熱帯にフランス領があるので

なぜだろう、と思ったらロケットのせいでした。

 

なんか変だ。 

 

 

 

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