自動翻訳電話は電気羊の夢をみるか?
『自動翻訳電話』が出来る、というニュース。
携帯電話で、通話を翻訳してくれる
NTTドコモの新サービス。
とりあえず『試験』として、
日英韓の3ヶ国語で9日から無料スタート。
通話を音声認識して、文字化してそれを翻訳して
また音声にする。
当然、タイムラグがあるんだろうが
『電話』と言うからには、会話に耐えるレベル
なんだろうか。
すげえ。と思ったが、
これ、一体どんなシチュエーションで使うんだろう。
プライベートで、電話するほどの仲であれば、
自動翻訳の音声で会話なんかしたくない。
観光で使うのは役に立つのかも知れないが
相手も同じサービスに入っていなければ
対応できない。
ビジネスで使うとしても、
仕事なんて、かならず上下関係があるんだから、
客先への電話で、このサービスを使うのは
『私、馬鹿です。』というようなものだ。
しかし、そんなこと言うのは野暮なんだろう。
ガキの頃、『国連総会では、出席者の発言が
同時翻訳される』と聞いた事がある。
その時は、『国連すげ―』と思ったが、
なんのことはない
数十人のオペレーターがいて、
同時通訳しているだけなのであった。
そもそも、そんなことをしなくても
国連大使なんて、外交官の中でもトップクラスなので
あいつらは、平然と3ヶ国語くらいしゃべれる。
今回、NTTが始めるサービスのすごいところは、
そういうヒューマン、というか泥臭いというか
人間の手を介しない『自動翻訳』である、
というところだ。
いずれ世の中、
そういう方向に進んでいくんだろう。
割り切れば、言葉なんて道具なんだからそれで
いいと思う。
そして、こんな『道具』が発達していけば
いま、日本のガキどもが小学校でやっている
『英会話教育』なんて必要なくなる。
外人の英会話教師は、
全員失業でざまあみろだ。
発言小町で
『私、在米20年だけどニッポン人が言う
「ガソリンスタンド」なんて
世界じゃ通じません。馬鹿ですねぇ。ニッポン人。
ステイツでは「ギャス・ステイション」ですねー』
なんて、得意そうに言う馬鹿もいなくなる。
イギリスじゃ、そんな田舎言葉は通じなくて
「ペトロ―ル(ペトロリアム)・ステーション」だし
そもそも、困った顔で『ガソリン、ガソリン』
といえば、かならず案内してくれるって。
将来、英語を学ぶのは、
『シェークスピア文学の本質に迫りたい』
という学者と、ピロートークが必要な売春婦
だけになってくれたら、
どれだけ地球が平和になってくれることか。
昔、とある国で道に迷って地元のおばちゃんに
『ここはどこだ?』と聞いたことがある。
こっちの英語力もひどいが、相手もしゃべれまい。
そもそもこの国の言葉は、英語とはちょっと
違っていて当然私はわからない。
だから地図を広げて、指差してくれって
ボディートークで頼んでるのに、
そのおばちゃんは、猛然と母国語で
しゃべり出した。
地球上に、その言語しか存在しないかのように
ぜんぜん地図なんか見ないで、
灰色の瞳でまっすぐにこちらを見つめて
まくし立てる。
すごく親切な人なんだな、ということは
伝わるんだけど
ごめん、全然わかんない。
『バス』という単語が何度も出てきたので、
おそらく
『あんたが乗ったバスは、ここが終点だから
どこそこで別のバスに乗り換えなさい』といった
内容だったらしいのだが、そういう複雑な事
じゃなくて
ここは、どこだ?
地名を言ってくれたら、まだ助かるのだが
なんだか複雑な内容を、延々と喋り続けるので
親切はありがたいが、参ってしまった。
外国人観光客が珍しくない街なのに…
しかし、この電話が普及したら
そんなこともなくなるのかも知れない。
そしていずれ、各国版が出るようになるのだろう。
あれはあれで、いい思い出になったが…
『ねーねー、これかわいー。』
『いくらかなあ―。』
『えーと、ハウマッチ?』
『……』
『だめよう、フランス語じゃないとおー。』
『あ、じゃあ、この翻訳電話であんたの奴に
かけるから…』
『それをこの店員さんに聞いてもらえば。』
『あーそうかあ。えーと、「いくらですか?」…』
『Combien ça coûte?』
『!!!…Mais mille euros…』
『お、びっくりしてるわよ。』
『ねえ、ねえ、なんて言ったの?』
『1000ユーロだって。』
『もっとまけて、って言ってよ。』
『Et moins cher.S'il vous plaît.』
『Depuis les produits de luxe deviennent
meilleur marché.』
『なんか長いことしゃべりだしたわよ。』
『なんて?』
『高級品だから、安くなりません、って。』
『デラックスってフランス語だったのね…』
『500ユーロって言いなさいよ。』
『cent cinq euros.S'il vous plaît. 』
『…costume de singe jaune.Bienvenue à la maison…』
『なんかつぶやいてるわよ…』
『なんだって?』
『イエロー・モンキーには似合わねえ。
家に帰りな。って。』
『……』
『……』
『なんだとこのちび。』
『Shit Court man.』
『まずいまずいまずい、訳してる。』
『Out!Piss off!』
『きゃー。』
『なんて言ったの?あいつ…』
『出て行け、って。』
『べんりね―、翻訳電話…』
では、『今日の電話羊。』
すごいだろ、毛も電話のコードなんだぜ。
フランス語翻訳は、Google翻訳さん。
フランス語なんてわからないので、苦情は受け付けません。
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コメント
今回の話も勉強になり
また笑わせてもらいました
ありがとうございます
フランス語のやりとり
爆笑でした^^
投稿: れい | 2011年11月 5日 (土) 06時44分
関西のお笑い芸人を起用して、
ドコモのiモードサービスがこんなに迅速である、と
数年前にCMをしていましたが
未だに遅く、いらいらしております
至便性を考慮すればスマホの時代なのでしょうが、
所有する友人の横で見ていると
よほど気が長い人でしか、使えそうもありません
十分な環境整備されなくても功を焦り、
とりあえずリリースしている感が否めませんが
数年を経過しても改善されない市場に
電力会社のような胡坐体制を感じてしまいます
それでも使わなければならないので
目をつぶることにしております A^^);
投稿: FREUDE | 2011年11月 5日 (土) 18時31分
れいさん ありがとうございます。
翻訳機を通して、値切り交渉という事が
ほんとうに起こりそうな気がします。
喧嘩も起こりそうですが
翻訳しながら喧嘩したら間抜けですけどね。
FREUDEさん ありがとうございます。
たしかに、『とりあえず出しとけ。』
っていう感じは強いです。
『先発メーカー』として
名前を売りたいんでしょうが、
実体が伴うかどうかは…
投稿: natsu | 2011年11月 9日 (水) 18時51分