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2012年1月 2日 (月)

世界で最初の初日の出

太平洋の島国、サモアが日付変更線の位置を変えて、

『世界一早く初日の出を拝める国』になった、というニュース。

(朝日新聞の記事へのリンク)

 

 

0000samoa_2 

 

今回登場する

国や島の皆さん

 

 

 

 

 

 

 

『日付変更線』というのは、

そこをまたぐと日付が変わるという線。 

 

その線を西から東に向けて越えると一日戻り

西に向けてまたぐと一日進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキの頃は、この理屈がわからなかった。 

 

 

『八十日間世界一周』という小説がある。

『海底二万里』などで有名な、ジュール・ヴェルヌの傑作だ。 

 

金はあるけど、暇だ。という19世紀のロンドンの金持ちクラブで

『どうだい?80日で世界一周が出来るだろうか?』

ということが賭になって、

『それならやりましょう。』と

フォッグという人物が名乗りを上げる。

 

彼は、全財産の半分を掛け金に、半分を旅費に充て

つまり負ければすってんてん、という状況で

ロンドンを旅立つ。

 

Wikipediaにかなり詳しいあらすじが載っているのだが

この小説だけは、抄訳でなく全編を通して読んで欲しい。

 

従って、結末は言えないのだが

とてつもないどんでん返しがあって、

その理由は彼らが東回りだったから。

 

 

 

しかし、幼少のみぎりだった私が、そのことに納得できるまで

しばらく時間がかかったのは、ここだけの秘密だ。

 

 

 

 

 

 

 

緯度、というのは赤道があるから争いようがなかったが

経度の基準をどこにするかでは、

イギリスとフランスが揉めた。

 

結局フランスがメートル法をとり、

イギリスが経度の基準をとった。

 

腹を立てたイギリスは、未だにヤード・インチなんていう

尺貫法以下のローカルルールを採用しているのだが

時刻の基準は、世界的にイギリスのグリニッジ天文台。

 

そうなると地球の裏側に『日付変更線』を敷かないといけない。

 

イギリスの反対側は、ほぼ太平洋だったので

19世紀的には都合がよかったが

そこにもやっぱり陸地や島がある。

 

太平洋の島国が独立するようになると

『同じ国で日付が変わるのは困る。』という理由で、

『そんなら、あんたたちが都合のいいように決めていいよ。』

ということになった。

 

 

従って、ずいぶんとねじくれ曲がっている。 

 

0000date_line 

 

 

 

 

 

日付変更線2011

すでにサモアの変更線は

新しくなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

変でしょう。日付変更線。

ベーリング海峡を通すために曲げられていたり 

ニュージーランドを迂回するために

ずれているのはわかるんだけど、 

 

なんだよ。キリバス。

 

 

太平洋のど真ん中に、

陰茎のごとく勃起している変更線がキリバス

 

独立前はギルバート諸島と呼ばれていた島で

この名前の方が、日本人にはなじみがある。

マキン、タラワといった太平洋戦争の激戦地だ。

 

 

 

キリバスというのはろくな産業がない。

 

唯一の産業が、海鳥の糞で出来た燐鉱石だった。

この辺、地球最低の三流国家ナウルと似たところがあるのだが

ナウルよりもかわいそうなことに、

1970年代に鉱山を掘り尽くしてしまった。

 

頼りは観光だけ、ということで日付変更線をねじ曲げ

『地球で一番早く日付が変わる国。』

として売り出そうとしたのが1995年。

 

2000年と2001年の『ミレニアムイヤー』の初日の出は我が国で

という大キャンペーンをやろうとし、ご丁寧に、

国土の東端の島の名前を『ミレニアム島』に改名した。

 

期待したほど、観光客は来なかったらしい。

少なくとも日本から行こうとしたら直行便はないので

フィジーか

ニュージーランドのオークランドを経由して、

週何回かのローカル便に乗らねばならず

そもそも、日本からフィジーへの直行便はない。

ヒストレラビラのような国だ。 

 

 

 

 

キリバスの話ばかりになってしまったが、

サモアというのも、あんまり恵まれた歴史は持っていない。

とにかくこのあたりは、ヨーロッパから見たら地球の辺境。

これは地理的な事実なのでサモア領事館の人から

怒られる筋合いは、ない。

 

 

 

 

 

しかし、歴史の実際も『辺境』扱いだった。 

 

最初にやってきたのは宣教師だった。

ただし、こいつらもろくな連中ではない。 

 

宣教師どもがサモアの島々の内紛に乗じてほとんど

島々を分割しかけた時代があった。

 

その後、ドイツやイギリス、アメリカが乗り出してくる。

といっても国家レベルではなく、山師のような連中が

小さな島々の陣取り合戦をした。

この争いの結果、

今回ニュースになった西サモアはニュージーランド

東サモアはアメリカが支配する、ということになった。 

 

 

ニュージーランドの統治、というのがわかりにくいが

要するにイギリス支配下ということ。  

 

イギリスという国の嫌らしいところは、

『7つの海を支配した』とか憎体なことをいうくせに

植民地の内部で差をつけたこと。 

つまり、植民地にヒエラルキーをつけて格差を与えた。

 

 

もう、地球の果てだから、連邦の自治領である

ニュージーランドのそのまた保護国で、

第一次大戦後は委任統治領って扱いだったわけで、

それは一体なんなんだよ。

 

 

 

 

 

そして国連が、国際連盟から国際連合になると信託統治に移行。

めでたく独立したのが1962年。

 

ずーっとニュージーランドの支配下にあったんだから

日付もその通りにすればいいのにと

今回のニュースを見ると、思うのだが

なぜか独立当時は、そうしなかった。

 

 

 

 

朝日の記事は遠慮がちに書いているが

1950年代は、アメリカとのつきあいが大きかったのだ。

 

もっとあからさまにいうと、

サモアの近所にあるクリスマス島(※)というところは、

アメリカとイギリスの核実験場だったので

この辺の島には、だばだばと金が落ちた。

 

 

 

※インド洋にあるオーストラリア領クリスマス島とは別。 

現在はキリバス領。

 

 

 

大気圏内での核実験が禁止されると

東サモアの戦略的価値はなくなり

いまや、東サモア人は海外に住むサモア同胞の送金と

アメリカからの年金で食っている。

 

かような次第で西の方のサモアとしては、独立なんかしちゃったし

近隣であるニュージーランドやオーストラリアとのおつきあいを

大事にせねばならなくなった。 

 

今回の『日付変更線の変更』、はそんな理由。 

 

 

どうも『日付変更線』というのも大変だ、というニュースでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ということでですね…』

 

『却下だっ。』

 

『…まだなにも言ってないのに…』

 

『どうせ沖ノ鳥島の西側に日付変更線を引っ張ってくるとか、

そんな下らない話だろうっ。』

 

『…ちっ。』

 

『いい加減、読者の方も飽きてきたはずだ。

そもそも、こうやって外国の話題といえば

大使館の人が怒りそうな話ってのは、いい加減に…』

 

『そこでですね。』

 

『まだ言うか?』

 

『明石の天文科学館のところまで日付変更線を

引っ張りましょう。』

 

『はい?』

 

『だから、海の中に日付変更線があるからつまらないんですよ。』

 

『いや、つまらないとか面白いとか、そういう問題じゃ…』

 

『だけど、陸続きで日付が変わったら

観光名所になると思いませんか?』

 

『…そうかなあ?』

 

『変更線を飛び越えて、

「昨日・今日遊び」ってのが出来ます。』

 

『新年の時には、変更線をまたいで

「年を跨ぐ男」なんてのも…』

 

『ね?面白いでしょう。』

 

 

 

 

 

『でも、ややこしくないか?』

 

『そうですか?』

 

『TVで「プレゼントの応募はお葉書で。今日の消印有効です」

ってのは、明石に関しては、どうなるんだ?』

 

『明石の人は翌日までOKです。』

 

『めんどくせー。』

 

『逃亡犯が「ふっふっふ、今日で俺は時効だぜっ。」って言っても、

日付変更線の向こう側に蹴り飛ばしたら

まだ逮捕できます。』

 

 

 

 

 

 

 

『はあ…』

 

『なんです?』

 

『つまり、今年もこの調子でいくわけだな?』

 

『はいっ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日の「エロマンガ島」。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太平洋の国々、というか島々のヨーロッパ人との出会いは、

あんまり幸福な事例がない。

 

サモアの近所にあるバヌアツの

エロマンガ島という、中学生大喜びな名前の島で

宣教にやってきたウィリアムスという人が

人食い人種に食われたりしている。

 

 

 

つきあいの始まりは不幸だったのだ。

実際、サモアに関しても、ヨーロッパ人は

『未開な土人』に関して、あからさまな警戒をする。 

 

さらに、武器を売りつけて土地を買収していき

結局は支配していく。

 

 

 

 

エロマンガ島におけるウィリアムスに関する

Wikipediaの記述はヨーロッパ人に偏りすぎだ。

 

よそ者が嫌われるのは、現在の発言小町に至るまで

時代を超えて、全世界に共通なこと。

それを、『キリスト教をもたらしてやったのに食べるなんて。』

というのでは、シーシェパードと変わらない。 

 

 

食われたウィリアムスという男は

地元の男を通訳にしようとして拉致した上で

エロマンガ島に上陸する。

 

ところが、ざまあみろな事に食べられて

拉致した男たちは逃げてしまった。

 

2009年に、エロマンガ島の住人と

ウィリアムスの子孫が仲直りするというくだらない儀式があった。 

そのときの写真がこちら。

 

 

0000eromanga 『ウィリアムさんを

食べちゃってごめんよう』

というエロマンガ島の皆さん

 

 

 

 

0000eromanga2 エロマンガ島の土人どもに

キリスト教の福音を伝える

食われる直前のウィリアムス

 

 

 

画面をクリックすると拡大するので見ていただけるとわかるが、

左上に『BBC』というクレジットがある。 

 

『ああ、映像著作権があるんだな。』とか

つまんないことを気にするよりも、

イギリスという国は、

170年たってもこういう放送をするのだ。

ということを、心にたたき込もうぜ。

 

 

 

 

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おこられませんように」カテゴリの記事

コメント

えっと。なんか現地の方が腰折れ状態で
新年早々、勝手にアタマに来ます。
鯨を食うのは文化だと公言している手前、言います。
あなたたちは人間を食ってもいいと思う! 
ひとを食うのはもっといい! 

ああ……松の内なのになんということを(笑)。

投稿: fullpot | 2012年1月 3日 (火) 17時08分

fullpotさん ありがとうございます。
 
この、エロマンガ島の人たち
ちょっと誤りすぎですよね。
この『儀式』自体も
『演出』だと思うんです。
 
あんまり一方的な正義を
振りかざされるとへそが曲がります。
『正義』じゃなくて
『観光』のためだったりしたら
もっと腹立たしいですね。

投稿: natsu | 2012年1月 6日 (金) 22時49分

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