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2012年3月 5日 (月)

こどものために二重国籍

まずは、これを読んでください。

(読売新聞 ヨミドクター) 

 

 

 

 

 

日本人では、母として初の宇宙飛行士となり

41になって第二子を出産した山崎直子さんのインタビュー。

 

 

 

 

何か不自然なところを感じないだろうか?

 

タイトルで言ってしまっているので、

結論を引っぱっても意味がないのだが、

私が引っかかったのが、ここの部分だ。 

 

 

0000yamazaki 



(クリックで大きくなります。)

 

 

「はい、アメリカで産みました。

いろいろ考えたんですけど、アメリカで生まれれば、

子どもが成人するまで日米の二重国籍が認められるということが、

一番大きな理由でした。というのは、私たちが

ビザの問題ではすごく苦労しているからなんです』



 

 

 

 

 

馬鹿か、お前は?

 

 

 

 

 

 

 

多少解説がいるな。

国籍というのは地球のどこかで生まれる以上、必ずついて回る。

日本だと『血統主義』といって父母いずれかが日本人でないと

原則として日本国籍は認められない。

 

ところがアメリカは『出生地主義』といって

アメリカ国内で生まれた子供であれば、

父母が外国人でもアメリカ国籍を得る権利がもらえる。

 


Yahoo知恵袋なんかだと、国籍と市民権を勘違いしてる人が

得意気に解説してたりしていて笑止なのだが、

原則としては旅行者でももらえる。



アメリカ国内でひりだしてしまえば

親は強制送還されるが、こどもには認められることがあった。

 

 

 












表現が上品じゃないが、こんな制度になっているのは、

イギリスの法律が大陸法と異なっていたのもあるが、

アメリカが『移民の国』だから。 

肌の色や言語、宗教、民俗習慣では  

アメリカ人の定義、なんてできないのである。 

対して日本は、『単一民族』でよそ者を嫌うので血統主義である。 

 

 

 

そこで、こういう『日米二つの国籍』というガキが生まれる。 

 

もちろん日本は、二重国籍を認めていないので、

22歳を超えた時点で多重国籍を持つ者は

どちらかを選択しなくてはいけない。 


  

山崎さんが『子どもが成人するまで』といっているのは

つまりそういうことだ。

 

 

 

 

 

 

国籍ってなんだ? 


      

 

     







地球上に生まれて暮らす以上、かならずどこかの国民である。

国籍があれば、

教育福祉保険衛生といった公共サービスが受けられる。

投票や言論、自由であることといった権利も主張できる。

 

 

そのかわり、

納税や勤労、兵役という義務も果たさなければならない。

『兵役逃れ』のために日本国籍を主張する人までいる。

(山崎家は、知らん)

 

       

      

 

 

現実にはそうはいかなくて

『無国籍者』という人がいる。 

           
     

           
『ふっ。俺に興味を持つなよ。』なんて

ゴルゴな人もいるが、

『無国籍者』の大半は、内戦や貧乏など、政府の無能によって

所在が把握できなかったり、

公共サービスが与えられなかったりする人たちだ。

 

      

日本が、未成年に限って『二重国籍』を認めているのは

『無国籍』になることで、教育や医療などで

不利益を受けるこどもが生じないようにするためだ。

 (ただし、日本国籍を選択しただけではアメリカ国籍を

放棄したことにはならない)

べつに山崎某のガキの進路を案じてのことではない。

 

 

 

 

 

 

 

テストの点数はいいんだろうが、

法律の趣旨というか、

法の精神をまるっきり理解していない。

 

 

 
          

さすがに宇宙で着物を着ちゃう女である。 






ナショナリズムというものを、

これほどまっすぐに勘違いしている人が

日本人女性の代表として宇宙で寿司を食うなよ。 

 

0000_nihon     

ISSの中で、着物を着て

野口さんと寿司を握る山崎某

ザ・国辱

 
          

 

 

      

これを載せる読売も悪い。
 

 

 

 

研究者として、彼女や旦那が二つの国の間で

ビザの取得などで苦労したのは事実なんだろう。

 

こどもを授かったときに、 

『同じ苦労をさせたくない。』と思うのは勝手だが 

それは、こどもを二重国籍にする理由にはならない。

 

 

 

 




国籍は贈り物じゃないんだ。
        

 

 

 

『親からの愛情』、みたいな
 

のほほんとした文章になっているのが、ものすごく腹立つ。 



またこれで、数少ない女性読者を敵に回したと思うが
 

国籍は親が選んで与えるようなものじゃないんだ。

 




 

 

そして、この読売の記事を

おせんべかじりながら読んでいるおばさんの大半が

『へー、旦那さんはアメリカ人じゃないのに

こどもはアメリカ人?へー…』 

と言っているに決まってるということは覚えておけよ。 

 

 

 

馬鹿野郎っ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日の一枚。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういう意味で、山崎某のこどもと、全く逆の境遇で

生を受けたひとがいる。

 

 

 

つまり、『二重国籍』がとれたのに、 

周囲がそうならないように粋な計らいをしたしてくれた、 

という不思議な経歴の持ち主が、この方。 

 

0000_pricess_margriet
        
       
      

 

 

 

      

オランダの  

ベアトリクス女王の妹君  

マルフリーテ王女










      

 

1943年、ナチスに占領されたオランダから、

王位継承者のユリアナ王女(当時)が亡命していた。  

 

彼女はカナダでめでたく懐妊される。 

そのときのこどもがマルフリーテ。 

 

 

 


 

 

ここで問題になったのが、

『生まれてくる姫の国籍をどうするか?』ということ。        
  

 

母国オランダは『血統主義』だが、

亡命先のカナダは『出生地主義』だったのだ。

 

 

 

このままでは姫君が二重国籍にっ。 

 

 

 

  

 

別に、二重国籍でも構わないような気がする。

 

二重国籍だと王位継承権を失う、というが 

オランダ人もそこまで野暮じゃなかっただろう。

 

 

 

 

 

ところが 

この時、カナダ政府は粋な決定を下す。 

『オタワ市民病院の産科病棟を一時的に治外法権にする』と。
 

 

「The maternity ward of Ottawa Civic Hospital

was temporarily declared to be extraterritorial. 」

(Wikipediaから抄録)

一種のしゃれだと思う。

 

その証拠に、引用したカナダ政府の声明のどこを見ても、

オタワ市民病院の産科病棟を

一時的にでもオランダ領にする、とはひと言も書いていない。

 

単に、治外法権 (extraterritorial.)とする、としていただけ。 

オランダ、カナダ以外の第三国が介入することはないから 

こんなもの、ただのしゃれである。 

 

 

 

 



両国民も好意的に受け止めた。
 

 

ユリアナ王女は戦後帰国すると、

カナダに毎年10000個のチューリップの球根を贈った。  

 

オタワでは、いまでも5月にチューリップフェスティバル 

というのが開かれる。

 

 

 

 

 

しかし改めて、この人やチューップフェスのことを調べたら

あらゆるサイトが、すべてこの『オタワ市民病院の治外法権』

の話を載せているのに驚いた。 

 

戦後、イギリスの法改正によって再び彼女の国籍は 

奪われそうになったから、  

リンクしたWikipediaの記事を読むと、この人の一生は 

国籍騒ぎだけか?という気さえしてくる。

 

 

 

写真で見るように、かっこいいおばさんで、

大学在学中に旦那さんと知り合い、23歳で結婚している。

 

 

 

 

 

 

国籍ってなんだろうね?
      

 

 

         
      

 

 

 

 

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コメント

はじめまして。
気になった箇所があったのでコメントさせていただきます。
オランダのマルフリーテ王女の件ですが、「オランダは二重国籍を認めていない」のでカナダが治外法権を認めたと言われています。
二重国籍=生意気という感覚があまり理解できません。
現実的に「国籍がある=教育福祉保険衛生といった公共サービスが受けられる。投票や言論、自由であることといった権利も主張できる」という部分は例えば日本に永住権があれば日本人以外でも受けられるサービスも混じっており、実際両親のどちらかが出生届けを提出すれば「無国籍」にはならないと思うのですがいかがでしょうか。

以下Wikipediaより
>>オランダは二重国籍を禁止しており、また「王位継承者はオランダで誕生した者に限る」という法律が存在したため、マルフリーテのオランダ国籍と王女としての資格が喪失されかねない事態に陥った。そのためカナダ議会は、ユリアナたちが滞在している病室をオランダの治外法権区域とする特別法を可決し、マルフリーテの権利を保護した。

投稿: りか | 2013年1月31日 (木) 17時14分

りかさん、ありがとうございます。
返事が遅くなって申し訳ありません。
 
「二重国籍=生意気」と書いたつもりはないんですが、そう取られたのなら、そこは謝ります。
 
中段の『例えば日本に永住権があれば日本人以外でも受けられるサービスも混じっており、実際両親のどちらかが出生届けを提出すれば「無国籍」にはならないと思うのですがいかがでしょうか』という部分はおそらく在日の方を想定してのことだと思いますが
それは大変な誤解です。日本では永住権と国籍は全く別のものなのです。本人が選択して帰化しない限り、『永住権のある外国人』というのは日本に存在し続けるのです。
 
マルフリーテ出生当時のカナダはイギリス連邦の自治国で法律もそのまま使っていて、大陸法と異なる法体系を採っていました。
オランダが出世地主義で王位継承者に関して
まさか亡命先で王女が生まれる、
という想定をしていなかったからで、
だから、これは両国の洒落です。
 
そんな眦を決したような勢いでかかれなくても、と思います。

投稿: natsu | 2013年2月23日 (土) 20時49分

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