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2012年3月 3日 (土)

トヨタの選択と集中

スバル、軽自動車事業から撤退。

(読売の記事)

 

     

 

 

 

 

スバルは富士重工業の自動車部門のブランドで、

元は中島飛行機

戦闘機や爆撃機を作っていた。

 

それ故に、戦後は飛行機の生産などできなくなって

在庫の爆撃機の尾輪を使ってスクーターを作った、

というのが、スバル創業の伝説。

 

 

 

なんだかできすぎた話だが、

同じく敗戦国の西ドイツでも、メッサーシュミットが

ミニカーを作ったりしている。

 

0000_1955_messerschmitt_kr200  

1955年 

メッサーシュミットKR200

ムツゴロウみたい

 

 

 

富士重工も1950年代に

国策であった国民車構想に応えて乗用車を開発した。

それが、引用した記事に写真付で出てくる『スバル360』。

1958年のことだ。

 

 

0000_360  

 

てんとうむし

 

 

 

 

360ccというのは、『国民車』を定着させるために

税金そのほかで優遇してあげよう、ということで

通産省と運輸省が作った『軽自動車』の枠。

 

 

いまTPPで文句をつけられている奴だ。

 

 

 

 

もっとも、オート三輪全盛の1950年代に

四輪の軽自動車を作ることができたのは

スズキとスバルだけだった。

 

大衆車、というカテゴリーがなかった時代、

小型なサイズの割に高性能だったことも併せて、

きらめくように眩しい存在であったらしい。 

 

『らしい』という伝聞形になっているのは、

さすがにリアルタイムではこの車を知らないのだ。

 

 

 

 

1970年まで生産されていたそうで、

累計生産台数39万台というのは

国内専用車であったことや、当時の日本の貧しさを考えれば

破格の生産台数だと思うけど

フォルクスワーゲン・ビートルの2150万台と比較すると少ない…

 

70年代に町中で見かけた記憶もあまりない。

走ってはいたんだろうが、

高度成長時代の中、急速に忘れられていったのも事実だ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバルは、スバル360の成功以降 四輪メーカーとなり

軽自動車は、自動車事業の主軸のひとつとなる。

 

もっともフルラインを作るだけの体力はなかったので

ほかには、ボクサーエンジンの四輪駆動車を作った。

 

ずいぶん、またニッチなところを狙ってきたなあ、と思うのだが、

インプレッサなどは、WRCラリーで大活躍である。

 

453pxpetter_solberg__2006_cyprus_ra  

ボクサーエンジンというのは

水平対向エンジンのこと。

 

世界でこの型式のエンジンを

作っているのは、スバルと

ポルシェとホンダだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例によって前置きが長くて申し訳ないが 

 

今回のニュースはいったい何だ、というと

スバルが軽自動車の生産を止める、ということ。

 

 

 

一企業の商品ラインナップの変更なんか

どうでもいいじゃないか、と思う。

 

 

しかし、これが全国ニュースになっている理由のひとつは

あの、『スバル360』のメーカーが…

ということらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、もう一つの理由は、

『軽自動車は大人気なのに、何故止める?』

という素直な疑問。

 

不景気のおかげで、低燃費と低価格が受けて軽自動車は大人気。

2011年の販売台数は、

普通乗用車(3ナンバー)が14万台。

小型乗用車(5/7ナンバー)が16万1千台

それに対して

軽自動車(4ナンバー)は18万6千台だ。

 

 

 

 

それなのに、何故…

というのが今回のニュースの意味。

 

 

 

 

 

 

 

『軽自動車生産中止』に付いての富士重工業のコメントは、

『経営資源の選択と集中を図るため。』とのこと。

 

なにを捨てて、なにを選択して集中するか、

というとこういうこと。

 

 

0000_sumber 

 

取捨 

 

 

 

 

 

0000_86  

 

選択

 

 

 

 

 

 

我が事務所は、トヨタからもスバルからも

仕事なんかこないだろう、と

割り切ってしまえば、こんなものだ。

 

広告で食っている新聞やテレビでは

決して書けない真実がここにある。 

 

 

 

 

 

 

 

実際、最後のサンバーをラインオフした大田工場は

中島飛行機以来の本社所在地で

B29の標的だったこともある由緒ある工場なのだが

この春以降、トヨタ86(ハチロク)用に切り替えられる。

 

 

 

 

 

その一方、スバルブランドの軽自動車は消えなくて

これはダイハツ工業に作ってもらう。(OEM生産)

 

なんだかわかりにくいが、ダイハツはトヨタの子会社

スバルもトヨタと提携しているのだ。

 

 

 

 

 

 

完成車を一から作れる民族資本のメーカーが

7つも8つもあるのは先進国では日本だけで、

中小規模のメーカーは

国策によって、いろいろと離合集散を繰り返してきた。

 

スバルの場合、

日産と提携し、海外ではいすゞと提携したがいずれもふるわなかった。

ところがバブルで復活して、そのとき調子に乗って

アルシオーネなんていうバブル車を作って大失敗して

自ら首を締めた。 

 

 

0000_alcyone2 

安物のアメ車みたいな 

アルシオーネのバックビュー

インテリアはもっと変。

 

 

 

もちろん、富士重工は私ごときが『中小メーカー』、

というのは畏れ多い大企業なのだが

自動車の生産台数でいえば、やっぱり真ん中よりも下だ。

 

 

 

 

 

 

 

従来までGMと提携していたのだが、

それをトヨタに乗り換えたのは2006年。

 

 

トヨタの戦略は、トヨタ本体としては

プリウスなどボリュームゾーンの乗用車と

レクサスブランドで高級車も作る、ということ。

 

 

その一方、軽自動車はダイハツ、

トラック・バスは日野、と振り分けた。

 

 

0000_contessa  

 

日野コンテッサ

 

 

 

 

 

いまは、バスやトラックの専業メーカーの日野自動車

いまから50年前、こんな かっこいい車を作っていたのだ。

 

日野自動車がトヨタ傘下に入るのは1966年。

コンテッサの生産中止は1967年だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、改めて今回のニュース。

 

 

 

トヨタとしては、もう軽自動車メーカーは要らない。 

子会社である、ダイハツに『経営資源』を集中する。

普通の乗用車も、プリウスでやる。

富士重工と同じ時期にいすゞ自動車とも提携関係を結んでおり

商用車も完璧だ。

 

(スバルといすゞは、トヨタとの提携以前から協力関係にあった。)

 

 

 

 

 

それなら、スバルを買った理由はなんだろう?

 

スバルから『軽自動車部門』を引きはがして

普通乗用車も作らせない。

と考えていた事は間違いない。

 

 

 

世界レベルのボクサーエンジンと

4WDの技術だけくれ、と。

 

 

それを求めた訳だろう。

 

 

 

 

 

 

何故か?

 

 

 

 

 

 

 

この車が作りたかったからだ。

0000_86_3   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

できればスバル得意の4WD技術を盛り込みたかったらしいが

大人の事情で断念した。

 

 

この車は、おそらく売れないだろうが

そのためにスバルを切り離すようなことはしないでくださいね。

いずれ本格スポーツカーを作ってください。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、車一台作りたいがために、よそのメーカーと提携して、

伝統ある軽自動車から撤退させてしまう、というあたり、

ビジネスゲームってすごいね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日もいすゞ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いすゞ自動車は、かつてはこんなかっこいいCMで

乗用車を売っていた、

 

 

 

 

 

 

 

その後、2002年に乗用車から完全撤退。

2006年にトヨタと資本提携。

いまは、トラック・バスの専業メーカーである。

 

 

すっかり演歌になっちゃって…

 

『みなぎる力、ぶるんぶるんぶるん。』って…

 

 

 

 

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