雪が降るなら笠地蔵
2月29日は、関東地方を中心に東日本で雪。
神戸では、昼間コートも要らないくらい暖かかったから
『都内では凍った路面でこんな事故が…』なんていうのを、
全国ニュースのトップで言われると、意外な気がする。
雪が降るってわかってんだから、
チェーンが巻けない奴は運転するなよ…。
2010年、エジプトのカイロで雨混じりの雹が降った。
その程度の寒さでも凍死者が三人出たそうである。
1969年には、『エジプトの歴史始まって以来初めて。』
という降雪があった。
『エジプトの歴史始まって以来』だから、これはすごいぞ。
皇紀2672年の日本よりも、
おそらくは10倍くらいの歴史の中での『初めて』で、
凍死者数十人という大災害になった。
その時の積雪は3cmだったそうである。
私も千葉生まれだから、
今回の関東での雪の騒動を、あまり笑う気になれない。
関東地方は確かに雪が降らない。
雪はおろか、冬になると雨も降らない。
私が通っていた中学校は高台の上にあった。
真冬の晴れた朝に西の空を見ると、
東京湾の彼方、水平線よりも遙か上に
富士山の八合目から上の部分が見えた。
七合目から下は、空気がよどんでいて見えないのである。
『今日は富士山が見えるかな?』と廊下から見渡すと、
ほぼ毎日見ているくせに、想像を超える上空に、
小さな小さな白い三角形が見えた。
いまは空気がきれいになっているから、
もう少し山裾まで見えるかもしれない。
関東地方のあちこちに、『富士見』という地名があるわけだ。
だから雪なんか降ったら大変だ。
校庭が白くなると、ガキどもは大喜びで雪だるまを作る。
ところが、降ったところでせいぜい数センチだから
雪だるまは、大きくなると茶色くなる。
校庭の土が表面に付いちゃうわけです。
で、こどもって馬鹿だから、お互いに大きさを競って
相手の雪玉が大きいと、キックして破壊する。
割れた雪玉の断面は、校庭の砂のおかげで
バウムクーヘンのようにきれいな縞模様になっていた。
踏まれていない雪面があると、
ちょっとした植栽の中なら入っていって足跡をつける。
傘の先で文字を書く。
処女地を犯す快感、
というのをこどもが覚えるのは、こんなことかもしれない。
『ということでな…』
『明日は、関東でも暖かくなるそうですよ。
ろくでもないことを言ってもだめです。』
『でも、ことしは豪雪だ。
まだ東日本では雪が降るかもしれん。』
『…まあ、ね。』
『笠地蔵をつくろう。』
『ほう…』
『もうすぐ 3.11。
豪雪でもすでに数十人の死者が出ている。
鎮魂のために、日本中のお地蔵さんに笠をかける運動、
というのをやろう。』
『珍しくまともなことを…』
『ふっふっふっ…』
『それだけですか?』
『そこで我々は、
「鎌倉の大仏・笠かけプロジェクト」を…』
『待て待て待て。』
『サブタイトルは「その時、大仏は泣いた…」』
『こういう中途半端にリアルなことを書くと
実行しようとする奴が出てくるからやめようよう…』
『だってあいつだけ野ざらしで
かわいそうじゃん。』
背中から見ると
すごく寂しそうな鎌倉の大仏
『奈良の大仏は、大仏殿に納まってぬくぬくとして、
年末には「御身拭い」なんていって
きれいにしてもらってるのに…』
『鎌倉の大仏にも、大仏殿があったらしいですよ?』
『うそっ。』
『じゃあ、淡路島の「世界平和大観音」に笠を…』
『あれは触ると倒れるから
ほっときなさい。』
では、『今日の大観音。』
淡路島在住者が、『ああ、あれね…』と言って
かならず口を閉ざす世界平和大観音。
プロポーションとか
いろいろと間違っている。
足許には博物館があった。
首の籠は展望台。
1982年 竣工。
1988年 オーナー死去。
2006年 相続した妻も死去。施設閉鎖。
2007年 競売にかけられるが応札なし。
2008年 債権会社破産。
2012年現在 もう何が何だか…
本気で倒壊する危険があるらしいんだけど
こういう廃墟は、誰が『権利』を持っているかわからないので
手を出せずにいた。
さすがにいまは、行政も何とかしようとしているらしいんだけど
こんどは『誰が金を出すんだ?』
ということで話が進まない。
津波よりも確実な危険がここにある。
仏の顔に三度笠
国定忠治ゆかりの寺にある、
三度笠に合羽姿のお地蔵さん。
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