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2012年3月18日 (日)

エンサイクロペディア・ブリタニカと赤髪連盟

友人シャーロック・ホームズを、とある日に訪ねたことがあった。

すると、ホームズは妙齢の女性と話し込んでいた。

頭髪が碧色だったのを覚えている。

 

「おや、もしかして仕事中だったかな。私は奥で待つとするか。」

 

「まあ待ちたまえ。この紳士は長年、僕のパートナーでして。」

女性は、申し訳程度の会釈をしつつも、私を疑わしげに見る。

 

 

「恐縮ですがミクさん、もう一度、聞かせてくださいませんか。

友人であるワトソン博士が初めの辺りを聞いてませんし、 

あなたの口からできるだけ伺っておきたいと思うからです。」 

 

 

私は友人を倣って依頼人の素性を想像するべく観察してみた。

しかしながら、何も見えてこなかった。 

どこをどうしても、ごく一般的なコスプレ娘である。  

ややだぶついた灰色のノースリーブのベスト。

 
くたびれた感じの黒いミニスカートをはき、

腿までの長いストッキング… 

 

 

そうして観察しても、結局わかるのは、

燃えるように碧色の髪と悔しげで不満そうな表情だけだった。   

 

私の視線に気づくと

シャーロック・ホームズは笑いながらかぶりを振るのであった。 

 

「いや、なにもわからない。  

この方が過去、手先を使う仕事をしていらっしゃらないこと。 

フリーメイソンの一員でいらっしゃること。 

中国にもいらっしゃったこと。――  

これだけははっきりとわかるのだが、後はわからない。」 

 

 

ホームズの台詞を聞くと、  

ミク氏は椅子からすっくと立ち上がり、 

新聞を片方の人差し指で押さえたまま、 

目をわがパートナーの方へ向けた。 

 

 

「ど、どうしてそのことをご存じなんですか、ホームズさん。」

ミク氏は驚きのあまり、言葉を口に出す。

 

「袖です、あなたの。右の袖周りが大きいでしょう?

右手を使って仕事をしていない、ということです。」

 

「ああ、さすがに評判の通りだ。一目で素性を言い当てる。

恐ろしい観察眼の持ち主だ、と。

そのうえ 困った人の相談にちゃんと乗ってくれるとも聞きました。

是非私の相談を訊いてください。」

「たいへん賢明です。」 ホームズはミク氏にそう答えた。

 

 

「これです。これが事の始まりだったのです。 

自分自身でご覧になって下さい、ホームズさん。」

 

 

 

私は新聞を受け取り、次のように読み上げた。

 

碧毛連盟に告ぐ―米国ペンシルヴァニア州レバノンの

故イズィーキア・ホプキンズ氏の遺志に基づき、

今、ただ名目上の尽力をするだけで

週四百ポンド支給される権利を持つ連盟員に、

欠員が生じたことを通知する。 

碧髪にして心身健全な21歳以上の市民は誰でも資格あり。

 

 

私は、この奇怪極まる広告を二度読み返した。

「……意味がさっぱりわからん!」

口をついて出たのは、こんな叫びだった。

 

 

ホームズはくすくすと低い声で笑い、

椅子に座ったまま身体を揺すった。 

 

 

 

 

『赤髪連盟の話を思い出さないか?』

 

『なんだっけ…』

 

銀行の隣にあった、儲からない赤髪の親父がいる質屋から

地下トンネルを掘って、

金貨を盗み出そうとした怪盗ジョン・クレイの事件さ。』

 

『ああ、あれか。夜中にピストルを持ってこい、

というから驚いたよ。』

 

『ふふふ。あのときクレイは

質屋の店員として潜り込むのには成功して

トンネルを掘り始める。』

 

『うん。』

 

『ところが無趣味な親父が一日中店にいるのが邪魔だった。

何とか親父を店から外に出したい。』

 

『それで「赤髪連盟」を思いついたんだったな。』

 

『アメリカの赤毛の大富豪が「赤髪の遺伝子を残すために」 

というんで、その莫大な遺産を 

すばらしい赤髪の持ち主に金を寄付したい。』

 

『クレイの仲間に見事な赤髪がいたんだったな…』

 

『そうさ、そいつが面接官になって

広告のおかげで集まった数千人の赤毛を面接した。』

 

『でも、本命は赤毛の質屋で決まりだった。』

 

『…北から南から髪の毛が赤いという男がみんなシティへ

てくてくと行進していくんでさあ。わら色。レモン色、

オレンジ色、アイリッシュセッター色、レバー色、粘土色

ありとあらゆる色合いの赤毛がおりました…

って言ってたな…』

 

『赤毛だけでもそれだけの種類があるんだなあ。』

 

『そうさ。だからこの「赤髪連盟」という

冗談みたいなシチュエーションがリアリティを持った。』

 

『ヨーロッパ人っていったいなんだろう…』

 

『そして、この貧乏質屋はめでたく採用されて、でも、

採用って言ったって店にいないようにするのが目的だから、

やらせる仕事がない。しかたなく、

エンサイクロペディア・ブリタニカを筆写させた。』

 

『窓際族のいじめみたいだ。』

 

『でも、本人はまじめで、一週間かけて

Aの項目を移し終わるところまで行ったらしい。』

 

『一週間かけて

「A」が終わらないのか?』

 

『そうさ。だから、エンサイクロペディア・ブリタニカってのは

分厚い本の代名詞だったんだ。』

 

『日本でも、昭和40年代には

「百科事典を飾る家」ってのがあったな。』

 

『しかし、そんな間抜けな仕事に釣られる奴がいるんだなあ。』

 

『まったくだ…』

 

 

 

 

 

 

 

『……あの…』

 

 

『おお、これはミクさん。失礼しました。  

いらっしゃったことを忘れていましたよ。』

 

『私がご相談したいのも、まさにそのことなんです。』

 

『ほう…』

 

『その「碧髪連盟」の仕事も

エンサイクロペディア・ブリタニカのコピーなんです。』

 

『…ほほう。』 

 

『わ、私も何か犯罪に巻き込まれるんでしょうか?』

 

『それはラッキーですよ。』

 

『どういう事です?』 

 

『エンサイクロペディア・ブリタニカは 

書籍版の出版をやめて、 

すべてインターネットの  

電子版に移行するんです。』 

(ロイターの記事へのリンク)

 

『……』

 

『iPadでも持って行けば 

あっという間に 

AからZまでコピペできますよ。』 

 

『でもそれじゃあ、毎週もらえるはずだった4枚の金貨がっ。』

 

『……』

 

『……』

 

『あの、いいかな、ホームズくん。』

 

『なんだい?ワトソン博士。』

 

『そうやって、

「赤毛連盟」が青空文庫に入ってるからって  

まるまるコピペしたら、この日記のhtmlが 

めちゃくちゃになってるんじゃないのか?』 

 

『あっ、こらっ。』

 

『現在、鋭意復旧作業中です。

お見苦しいページがあるかと思いますが  

気長にお待ちください。』

 

『もとから内容が見苦しいじゃねえか…』

 

『こらっ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日の「赤毛の日」。』 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎年9月、オランダで開かれるRedhead Day。  

0000_red_hair_day 

 

かわいー

   

 

 

  

 

コナン・ドイルの小説とは関係なく、オランダの画家

バート・ローヴェンホルスト(っていう訓みでいいのかな)君が

心酔するクリムトロセッティ のような

赤い髪の毛の女性を描きたいなあ、

ということでモデルを募集したのが始まり。 

 

 

 

 

15人の募集に150人が集まった。  

そのときの記念写真。 

Rh2005 

  

2005年 

 

 

 

全員が緑色のTシャツを着ているのがいいね。

 

 

 

これが年々大きくなっていって、楽しい。 

Redheadday3_3 

 

 

2007年

 

 

 

 

 

 

2008_4 

 

 

2008年 

 

 

 

 

 

今年も開かれるそうなので

赤毛に自信がある人はいってみたらどうでしょう。

 

公式HPへのリンクを張っておきます。

(Roodharigendag へのリンク (中は英語です))

 

 

 

 

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