電力不足にはボルタ・海水電池発電所だ。
『こんにちは。
今日の「ニュース特集 噴飯本舗」は、
神戸市のポートアイランド、
旧コンテナ埠頭からお届けします。
ここに、夏の電力危機を解決する新発電所が
できたそうです。
ご案内をしてくださる、関 雷太所長です。』
『どうも。関です。』
『イいやあ、しかしすごい光景ですねえ。
数十基の巨大なガントリークレーンから、
たくさんの板がぶら下がっています。』
『ははは…』
『所長、この板はなんですか?』
『1トンの鉛の板と、やはり1トンの
マグネシウムの板が
交互に一万枚並んでいます。』
『ははあ、それで色が違うんですね。
これをどうするんですか?』
『クレーンでもって、
このまま海に浸けるんです。』
『それで電気が起きるんですか?』
『ボルタの電池ですよ。
中学校で習いませんでしたか?』
『……』
『……』
『…よくもまあ、毎日毎日ろくでもないことを…』
『はい?』
『あ、いえ。それでこれでどのくらいの電気が?』
『これで、1万KWの電気ができます。』
『…計算してなんかいないくせに…』
『はい?』
『あ、えーと金属がイオンになって溶け出すことで、
電気が起きる、と。』
『ははあ、勉強しましたね。』
『しかしこんなにたくさん枚数がある理由は?』
『電圧を上げるためです。
枚数を増やしていけば、
下手なダムよりたくさん電力が起こせます。』
『はあ…』
『しかも、鉛とマグネシウムの板の表面積が
広くて、鉛とマグネシウムの距離が近ければ
電力量が増えます。』
『金属板の枚数が多ければ電圧もふえる。と』
『逆に電圧を簡単に下げる方法もありますよ』
『どういうことです?』
『遠くまで送電する必要がなければ、
直列にしなきゃいいんです。
配線を変えるだけで
1000kw発電所10基にすることも簡単です』
『あ、変電所がいらないんだ。』
『ね?いいアイディアでしょう。』
『しかし長くは使えないでしょう。』
『2.3週間だったら持ちますよ。』
『…だから、計算してねえだろ?…』
『はい?』
『いえ、しかし、その程度の時間のために
こんな巨大な装置を作るなんて
無駄なんじゃあ…』
『馬鹿野郎っ。』
『ひっ。』
『関電の需給状況が逼迫して、でんき予報が
いよいよ危険になったら、
じゃぶりと浸ければいいんです。
あくまでも緊急用ですよ。』
『はあ、それで普段は海から上げておく。と』
『そのための巨大クレーン群です。』
『しかしそれでもいずれは、
駄目になるんでしょう。』
『そうなったら、
表面を削っちまえばいいんです。
表面から溶けるんだから。』
『それでこんなに肉厚なんですね?』
『クレーンで陸に降ろしてサンダーがけすりゃ
また使えますよ。』
『あ、そこでもクレーン…』
『表面を荒らして表面積を増やせば
次からは電圧も上がります。』
『……』
『どうしました?』
『所長っ。私は感動していますっ。』
『あ、いえいえ。』
『いつもいつもいつもいっっっつも
ろくでもないアイディアを書き散らかしてきた
この日記が、初めてまともなことを…』
『へへへ…』
『失礼な態度、すいませんでしたっ。』
『あ、いやあ…』
『ただ、問題もありましてね…』
『なんです?』
『鉛は有毒物質で、
マグネシウムは可燃物なんてす。』
『へ?』
『雷とか落ちたら、
燃えちゃうかも知れないなー。』
『待て待て待て待てっ。』
『それさえ解決したらいいアイディアなんだけどなー』
『所長っ。』
『しかも、マグネシウム1万トンなんていくらするんだろー…』
『どこ行くんですっ。』
『…うーん…』
では、『今日の一枚。』
実はすでに、
緊急用の
海水ライトと発信器。
漂流した海で、あなたを助ける。
救急ボートに積んで、避難信号を出します。
未使用の場合、耐用年数は20年以上。
緊急用なら、
こんなくだらないアイディアも『あり』じゃないか?
決して未来には結びつかない技術けど。
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