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2012年7月 3日 (火)

合法生レバー・ラプソディ

『…ということで7月1日から生レバーは

ご禁制になった。』

 

『ええ…』

 

『生レバーを出す店は懲役刑だっ。』

 

『韓国にいけば、いまでも合法ですよ?』

 

『……』

 

『……』

 

『そういうことを言われると、

ここから先の話がやりにくいんだが。』

 

『関空からソウルまで1時間でっせ。』

 

『でな?なんで生レバーがいけないんだ?』

 

『あ、無視した。』

 

『ウィルスだけなら冷凍して殺せばいいんだよ

サーモンみたいにルイベにすればいいんだ。』

 

『食中毒があるからでしょう。

病原性大腸菌O-157が出すベロ毒素が

原因ですな。』

 

『で、毒素が出ていたら

O-157を殺しても中毒は防げない、と。』

 

『そこでですね…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『では、「終局のメニュー」側から

発表していただきましょう。』

 

『われわれが用意したメニューはこれですっ』

 

『山岡くん。これは生レバーじゃないか』  

 

『ええ、私たちはレバーは生でこそ終局だ、

という結論に達しました。

しかし食中毒を起こしてはなんにもならない』

 

『そうだぞ。いまはご禁制の品だっ』

 

『ですから、安全のために

徹底的な事前の検査を行いました。

ご協力いただいた、

T大の山田先生にご説明していただきます。』

 

 

 

 

 

 

『あ、どうもね。お久しぶりです。

まずわれわれはね、

検体になるレバーを薄くスライスしてね

顕微鏡でO-157の有無を確認しました。』

 

『いや、顕微鏡じゃ見えないでしょ?』

 

『しかし気合いでみればわかります。

私は500gの生レバーのために

1000枚の検体を検査しました。

これで検出されなければ、

確率的にも感染の危険は非常に低いと…』

 

『…うーん』 

『力ずくの検証法はともかく、疫学的手法

という意味では評価できるよな…』

『…そうか?…』 

 

 

 

 

 

 

『うわははははは。』

 

『あ、貴様は海原ユー山。』

 

『いかに検査しても病原菌の危険を

完全に排除できないのならそんなものは

論外だっ。

貴様は「食」においてもっとも大事な

「安全」をないがしろにしているっ』

 

『くそっ。自分だって、最初の頃の巻では

「生の脳みそ」とか、

マンソン条虫がいそうな危険なものを

客に喰わせていたじゃないかっ。』

 

 

 

0000manson

爬虫類経由で、

哺乳類にも寄生します。

これは成虫。

 

 

 

 

『とにかくっ。』

 

『…ひっ。』

 

『ここにわしが用意した生レバーがある。』

 

『…食べていいのか?……』

 

『……』

 

『おいっユー山っ。これは「安全」なのか?』

 

『そういう質問には答えられないなあ。

7月から禁止されたのは「他人への提供」だ。

自己責任で喰うなら違法じゃないんだなあ。』

 

『く、くそっ。卑怯な理屈をっ。』

 

『おおう。これはうまい。

厚めにスライスしたレバーに軽く塩をして

ごま油とレモンをつける。

そうして口に放り込むと、わずかな生臭さが

レモンと油で消されて、なにより

このねっとりとした舌触りが…至高…』

 

『くそっ。俺も喰うぞっ。』

 

『山岡さん。新聞社の人がそんなことしちゃ

駄目です』

 

『おおう、うまい。』

 

『え?そう?』

 

『いやあ、うまい。うまいですなあ。』

 

『副部長っ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はい、田中さん。今日で血清の接種は

3回目だったね。』

 

『ええ、やっと…』

 

『じゃあ、これが「ベロ毒素血清注射済証」』

 

『じゃ、じゃあこれで私も生レバーが

食べられるんですねっ?』

 

『あー、はいはい。そうですよ』

 

『良かった…

たかが生レバーを食うために3000円の注射を

3回も…』

 

生レバーが感染するO-157の

血清療法が確立されたからねえ。』

 

『血清療法?』

 

『北里柴三郎が確立した伝染病治療法の一つだ

ベロ毒素に関しては適用が難しかったが…』

 

『あの、それで、生レバーは?』

 

『ああ、ウン。特別に許可された

スピーク・イージーでさっきの済証を出して、

合い言葉を言ってくれ。』

 

『合い言葉?』

 

『むこうが「なま」というから、

それに対して「レバー」と……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ではっ。本日ご紹介する商品はこちら。』

 

『おやおやあ?

これは生レバーじゃないんですかあ?

以前は冷凍でしたけれどもぉ。』

 

『本日ご紹介する商品は、なんと

「清浄生レバー・ニュー勘坂君」

なんですね。』

 

『は?』

 

『いい加減この名前使うのやめないと

可哀想かな?』

 

『わけがわからない人は、「食中毒 勘坂」で

検索チェケラウトだぜっ。』

 

『…えーと…』

 

『…失礼しました…』

 

『ふぐには毒がありますね?』

 

『はい。』

 

『で、このテトロトドキシンというふぐ毒

ふぐのえさであるプランクトンなんか

含まれる毒素が、河豚の体の中で生物濃縮

されて猛毒になるんです。』

 

『ははあ。』

 

『だから、えさも海水も

そういった毒素を含まないものにすれば

ふぐも毒を持たない。

法律のおかげで流通こそしてはいないが

すでに無毒のふぐ胆なんてのがあるんですね

 

『まさか、牛の無菌飼育をやるわけじゃない

でしょうね?』

 

『さすがにでかすぎるからそれはやりません。

でも、肝臓っていうのは、

再生能力の高い臓器です。』

 

『再生能力?』

 

『手術で半分に切っても復活する。

体を半分に切っても再生するプラナリアみたい

なもんです』

 

『それじゃあ、これは?』

 

『無毒の培養液で肝臓だけ育てたんですね』

 

『培養液?』

 

『みてみますか?ブラックジャックで、

切れ端だったピノコが浸かっていたのが

この液体さっ』

 

『うげえええええええ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日の三枚。』

 

 

 

 

 

 

敢えて7月3日に載せる、『うまそうな生レバー』

 

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どん

 

 

 

 

0000leba1

 

 

どどん

 

 

 

0000leba3

 

 

どどどん

 

 

 

 

あ、ちくしょう。

喰いたくなってきた。

 

 

 

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おこられませんように」カテゴリの記事

コメント

そこで売る物はすべて最良と思い込んでいる信者まで存在する
全国規模の流通店舗で神戸にもある会社ですが、
7月1日、そこで生レバーを見つけました

加熱用として調理方法が掲載されていましたが
紛れもなく生レバーです
面白半分、友人に写メを送ろうとしたら店員女性が飛んできました

「何の目的ですか?
 うちは撮影をお断りしております」

これでいい?などとよく家族に写メしているシーンを
見かけますが、写されると困る商品を売っているそうです^^

よく行く店なので食い下がることは我慢しました

投稿: FREUDE | 2012年7月 3日 (火) 22時37分

REUDEさん ありがとうございます。
そこまでして隠して売るんだったら、
合言葉でも言わせたら
いいんじゃかないかと思います。
ダ○エーにも困ったもんですな。

投稿: natsu | 2012年7月 6日 (金) 09時15分

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