はぐれサーディン・ラプソディ
名古屋港水族館のマイワシがたるんでいて
水族館の『売りもの』である、トルネードを造らず
群れからはぐれてしまう個体1つだけいるので、
天敵であるクロマグロ15匹を投入する、というニュース。
(朝日新聞のニュース)
天敵がいないから自分たちは襲われない、
とナメてやがるとのこと。
野暮な話だなあ。
はぐれマイワシ
左下の一匹。
マンボウといっしょ
『あー、石清水くんはどうもこの、社会性というか
みんなと一緒に行動する、ということが嫌いなようだ。』
『そうですよ。』
『いくら誘っても、水族館名物の「トルネード・サーディン」の
練習に参加しませんっ。』
『ははは、そこをうまくやってくれ。彼のお母さんが
PTA会長で、あれこれ手紙攻撃をしてきてうるさいんだ。』
『なんて言ってるんです?』
『うちの捕まろちゃんはいじめを受けています。
でっかいマンボウさんと仲良くしてもらってるのに、
プロレスごっこと称するいじめで死にそうです。』
『死んだらええんや、あんな奴。』
『そういうなって、あの親モンペだからうるさくってさあ。
な、上手くやってくれよ。』
『冗談じゃありません。』
『あいつのせいでマグロが入れられたらあたしたちは
命の危険があるんですよ?』
『うん、いやまあ。
食べられないようにはしてもらえるようにするから。』
『とにかくあの岩清水はしかとね。』
「帰りの食事会にも月イチの飲み会にも、旅行会も
連絡を回すちゃダメよ。』
『なんであたしたち、おばさん言葉になってるのかしら。』
『岩清水クン。』
『北条さん…』
『ね、一緒に練習に参加しよ?』
『…北条さん。…』
『なによ、泣かなくてもいいのよ。』
『君のためなら死ねる。』
『でぇー』
『なあ、急に水槽を替えられたけど、
このいわし食うてええんかなあ。』
『そりゃええやろ。これから毎日「もぐもぐタイム」やで。』
『水槽の下の方で見上げている、
幼い兄妹の視線が耐えられへんわ。』
『何ゆうてんねん。おーおー。例によって群れになって
魚影を大きくしようとしてやがる。』
『あんなもん、餌を集めるだけで、
数万年前からやっているから
わしらには大昔からわかりきったことやねんやけどなあ。』
『わしは右から行くわ。お前は左な。』
『あの下の方でマンボウと泳いでいる1匹はどうする?』
『あんなん無視や。』
『いわしは1匹やけどマンボウがおるで。』
『アホやなあ。マンボウなんて水ばっかりで逆さに吊らんと
捌けへんし真冬が旬やから、今、うまぁないで。』
『へえ、学があるな。お前。』
『知らんか、「マンボウの骨まで凍ててぶちきらる」って。』
『……』
『……』
『それ、「鮟鱇」やろ?』
『あ…』
『で、ですね。クロマグロ15匹は卑怯だ、と。』
『そうか?』
『体重にもよりますがクロマグロの餌の摂取量は5kgから8kg、
マイワシ100匹分です。』
『さすが天敵。』
『のんきなこと言ってる場合じゃありません。
マグロを15匹も入れたから毎日の「もぐもぐタイム」は
1500匹を虐殺するスプラッタタイムですよ?』
『馬鹿野郎っ。』
『ひっ。』
『「生命というのは他の生命を頂いて成り立っている。』
『…はあ。』
『残酷でも肉食獣の捕食現場を見せるのは
貴重な理科教育だと思わないか?』
『じゃあ、ご覧になりますか?』
『…うん。』
『いま、ちょうど門が開いて
腹を空かせたクロマグロが入ってきました。』
『…うん。』
『左右にフォーメーションを組んで襲いかかりますっ。』
『う゛ええええええええええ。』
では、今日の『集団行動」
『だからな?マイワシにしても
きちんとトルネードを取らなかったから
悪いわけだよ。』
『僕個人は「はぐれ・サーディン」の一派に責めが行くと思うんで
複雑ですが。』
『きちんと集団行動が取れればいいんだろ?』
『まあ、そうかな。』
『いわしはなんで右回転だ?』
『そりゃ、長年の風習でしょう。』
『はぐれいわしが出た、ということは
10年間しかない名古屋市水族館の中で
数万年の遺伝子を忘れたんだっ。』
『数万年の記憶を水族館ができて数年で忘れるもんですかね…』
『だから右回転とかあってもいいわけだろ?』
『はい?』
『それで右回転の群体と左回転の群体がスムーズに
交差するんだ。』
『ほう…』
『しかも魚だから3次元運動ができる。』
『だからなんです?』
『いわしが地底から浮き上がってきて
通常回転のトルネードと交差する。』
『それが出来れば名物になりますけどね…』
『日体大はできるぞ。』
『こういう「号令物」は嫌いですけど
ここまで完成度が高いと感動しますね。』
『傍で見ているくらいがちょうどいいさ。』
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