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2013年5月 1日 (水)

3億円5セント硬貨物語

本来、製造が終了している筈の『1913年』と刻印された

5セント硬貨が317万ドル(3.1億円)で売れた、というニュース。

(読売の記事へのリンク)

 

 

 

 

 

 

 

         

売れたのは、1883年から1912年まで製造されていた、

リバティ・ヘッド・ニッケルという5セント硬貨の『1913年版』。

アメリカの造幣局の職員が違法に製造した。

確認されている『違法5セント』の『本物』は5枚だけだそうだ。 

 

 

 

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自由の女神の頭

(リバティ・ヘッド)の

下に1913と入ってる 

 

 

 

 

『偽造の5セントの本物が3億円』という、

バカボンのパパのセリフみたいな状況に頭がくらくらするが

このコインの歴史というのが、とても面白い。

 

 

 

リンクした読売の記事は簡単すぎてよくわからないが

かなり詳しいabc7NEWSの記事などをベースにして

再現してみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

では、どうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、今回3億円で売れたこのコインは2003年から10年間

コロラドの貨幣博物館という所に展示されていた。

 

 

所有者はバージニア州に住む姉弟。

このコインがどうして生まれ、

彼らがなぜ手に入れるかの経緯は以下のようだったそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このコインはフィラデルフィアの造幣局に勤めていた

W・ブラウンなる人物によって、5枚だけ『偽造』された。

 

 

 

どうせ偽造するなら

もっと高額のコインにすればいいのに。

 

 

 

製造年を変えて打刻するための金型の制作費も

バカにならないと思うので、以下の話は

眉毛をつばで濡らしながら読んでください。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん、いくら5セント硬貨とはいえ『偽造』は違法なので

ブラウン氏は時効になる1920年まで待って、その年に

シカゴで行われていた全米貨幣協会の展示会に持ち込んだ。

 

 

これを買った人物は、ちょっと調べたけど、わからない。

いくらで買ったのかもわからないのだが、

後で述べるように、それほどの金額ではなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

『5枚一組』になったこのセットは、

その後1942年まで、所有者を転々としながらも一緒だった。

 

 

そのうちのひとりが、投機で成功し

『アメリカ一の金持ち』になったけど『世界一のケチ』でもあった、

へティ・グリーンというおばさんの息子。

 

 

このおばさんはケチでケチで、息子が脚に怪我をした時

病院に連れて行かなかったもんだから切断する羽目になった。

 

 

 

 

 

 

このシカゴの展示会まで、

『1913年製造のリバティ・ニッケル』の存在なんか

コレクターにさえ、知られていなかった。

 

 

偽造者が直に持ち込んだんだから当然だけど。

 

 

 

後年、この5枚が高値で取引されるようになって

『偽物の偽物』、つまりブラウン氏以外の

1913年製リバティ・ヘッド・ニッケルが現れたりする。 

 

 

『偽物の本物』を鑑定するべく

『ブラウン氏の5枚』が集められたが、それも

文字の欠損があったりして、偽造品としては質が悪かった。 

 

 

 

しかし、そんな真贋定かならぬこのセットに

遺産の一部をぽんと投じた、ヘティおばさんの息子は

母親譲りの投機家なのか、あるいは

よほど母親を憎んでいたのだろう。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1942年以降は、ばら売りされて、

それぞれに数奇な運命をたどる。

 

 

ノースカロライナ州の、ウォルトンさんというコレクターが

そのうちの一枚を、3750ドルで手に入れたのが

1940年代のなかば。

 

 

この金額から逆算すると、偽造者である

ブラウン氏が手にした金額は大したことはなかったと思う。

単純に5倍にしても2万ドル弱だ。

 

 

ブラウンさんにしてもウォルトンさんにしても

まさか自分が手にしたことがある、そのコインが

 

購入価格の850倍、

硬貨の額面の6340万倍の3億円以上で

遠い将来に取引されることになるとは

思ってもいなかっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウォルトンさんは1962年に自動車事故で死んでしまうのだが

彼は車に、この『1913 リバティ・ヘッド・ニッケル』だけではなく

数百枚のコインを積んでいたというから、相当なコレクターだ。

 

 

 

 

 

 

で、

 

これらのコインは鑑定に掛けられ、

この『1913 リバティ・ニッケル』は

偽物と判定された。

 

 

 

理由は、製造年が偽造されている疑いがあることと、

材料の銅とニッケルの比率が本物と違っていたから。

 

 

製造年は意図的に偽造されているから当たり前だが、

ブラウン先生、コインを作る原版を自前で調達したために

材料の比率を間違えたらしい。

 

 

 

従って、このコインは『無価値である』として、

ウォルトンさんの娘のメルヴァ・ギブンスという女性に引き渡された。

 

 

ギブンスおばさんは親父の古銭趣味に興味がなかったらしく

封筒に入れたまま、クロゼットの中に放り込んでいた。

 

 

その後、このコインは1993年の彼女の死まで

誰からも顧みられることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、ギブソンおばさんの死後、

彼女の息子であったライアン・マイヤーズ君が

遺産整理のために雇った弁護士が

このコインのことを知っていた。

 

 

 

既に一部のコレクターの間では知られていたらしい。

 

 

 

そして弁護士のくせに、実物を見せると

『5000ドルで譲ってくれ』と言い出した。

 

 

そんなこと言ったら、

ライアン君も『おかしい』って思うよなあ。

彼は、『ほかの姉弟の意見も聞かないといけないから。』

と断った。

 

 

当たり前だ。

 

 

なんて交渉の下手な弁護士なんだろう。

『いやいや価値なんてないですよ。』といって

ウォルトンさんからギブソンおばさんに相続したように

ただ同然で手に入れることも出来たかも知れないのに。

 

 

無理かな?

 

 

この『ブラウン氏の1913 リバティ・ニッケル』は、

ギブソンおばさんが死んだ頃から、一般にも知られるようになり

値段が急騰する。

 

2003年には、そのうちの一枚が300万ドル、

2005年には別の一枚が450万ドル、と

今回の一枚と同程度、あるいは

それよりも、はるかに高い値段で取引される。

 

 

隠し通せなかっただろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライアン君と、姉のシェリルさんは2003年に行われた

全米貨幣協会の世界博覧会に、

ウォルトンさんのコインを持ち込む。 

そこには、残りの4枚の『ブラウン氏のコイン』が展示されていた。

 

 

1942年以来60年ぶりに一堂に会した『リバティ・ニッケル』は

専門家によって鑑定され、そこでウォルトンさんのコインも

めでたく、『本物の偽物』 と認められることになる。

 

 

1913の刻印の下に共通の傷があったそうなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

以来今日まで、コロラドの貨幣博物館にあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

abc7NEWSは、このオークションの後に

この姉弟が語ったセリフを紹介して終わっている。

 

 

 

ライアンは

 

『僕はこのコインを手放したくはありませんでした。

これは、あなたがフリーマーケットみたいなところで

簡単に見付けられるような物とは違うのです。 

なによりもこれは、あまりにも長い間

ぼくらの家族だったのです。』

 

 

 

 

 

シェリルは

 

『みんなが訊くわ。

どうしてあたしたちが10年間も

このコインを持っていたのか、って。 

売ってしまえば

莫大なお金が手に入ったのに、って。』

 

 

 

 

そしてコロラドの博物館の展示の前で

 

 

 

 

『これで、40年間の誤りが正されたのです。

こうやって10年間、博物館で公開したことで

祖父、ウォルトンの願いは尊重されたのです。』 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、最後にもう一度、読売の記事に戻って、

このオークションで3億円を手に入れた後の

この姉弟のセリフ。

 

『収益を投資に向ける』 と意気込んでいる。

だそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この姉弟が、速やかに あぶく銭を失って

すってんてんになってくれることを

切に願う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元は5セントじゃねえか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日のエラーコイン』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の場合、貨幣の製造工程というのは

こんなことになっているらしい。

(造幣局のウェブサイトへのリンク)

工程自体は、いまのアメリカも似たようなもんだろう。

 

 

 

職業倫理として、偽造するような職員はいないと思うが

この工程だったら、たとえ内部犯行でも

偽造なんか無理だろうな、と思う。 

 

 

しかし、それでも型を抜く(圧穿というらしい)時にずれたり

模様を刻印(圧印)する時にずれたり、

そういったエラーコインが出る。

 

 

その中には、厳しいチェックをくぐり抜けて

市中に流通しちゃう奴があって、

コレクターズアイテムになっている。 

 

 

ケースによっては古銭屋で額面以上の値段がつくそうだ。 

 

 

 

 

 

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穴がずれている五円、五十円

というのは珍しくないが

ここまで豪快だと気持ちいい。

値段不明

 

 

 

 

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穴ずれ+フデ五という

二重のレアアイテム 

40000円 

 

 

 

 

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穴がない時もある

136000円 

 

 

 

 

 

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模様がずれることもある

値段不明

そもそも お前いくらだ?

 

 

 

 

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こんなのばっかり

集めている人もいる

これでまとめて600円 

 

 

 

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縁が立っちゃうこともある

(クリックで大きく)

1500円 

 

 

 

 

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コインじゃないけど

表と裏を同じ面に刷っちゃった

千円札。

値段不明

 

 

 

 

 

 

 

まあ、間違えちゃうことはあるよね。

にんげんだもの。

 

 

 

しかし、この わらしべ姉弟は、

なんか許せない。

 

 

 

 

 

 

 

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(リンクしてある原文を見てもらったらいいけど、

相当 適当に翻訳しています。)

 

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