どんぐり投票の敗北
5月26日、東京都小平市で市内を通る都道の
未着工部分について、
住民の意見を聴くべきかどうか、
ということに関して住民投票が行われたが、
不成立だったというニュース。
で、
割と広く報じられたニュースなので
ご覧になった方も多いだろう。
『反対派』としては『市民パワーで
どんぐりの道を死守』
くらいのことを言いたかったらしい。
市議会が、住民の請求で一度は可決した条例に
『有権者の1/2を越えないと成立しない』という
一項を加えたことが『卑怯である』として
批判されている。
しかし、逆にいえば、50%の投票で成立し
その過半数で勝利になるんなら
有権者の1/4の『賛成』で
『市民の意見を聞け』となるわけだ。
したがって、50%を15ポイントも下回った
今回の投票は
結果からいえばはっきりと惨敗である。
このニュースを
『どんぐりの森を守るあたしたちって素敵』
という『意識の高い市民の皆さん』が
『うっはっはあ、道路建設万歳だっぺ』という
田舎議員の盲習に破れたという風に
捉える人もいるだろう。
あるいは、このニュースを、
『環境原理主義者』による『地域エゴ』
の惨敗だと捉えることも出来る。
しかしこの住民投票、そんなに単純なものでは
ないらしい。
もちろんこの日記としては、
きちんと明快な立場を出すつもりで
いまは、喉の奥からあふれそうな
罵詈雑言を押さえるのに必死である。
まず、今回行われたのは『住民投票』だが
地方自治法が定める『住民投票による』直接請求、
というのは二つしかない。
GHQがジャップを調べたら、こいつらには
『地方自治』の伝統がない。
だから憲法に一章を設けて『地方自治』を作った。
GHQからありがたくいただいた権利が
住民による直接請求。
その一つが、条例制定で、
この発議は有権者の1/50の署名が必要。
ただし、あくまでも『議会への請求』で
署名があっても、議会の承認を経なければ
条例は出来ない。
議会の解散や首長を辞めさせる『リコール』は
有権者の1/3の賛成が必要。
ただしこれもリコール請求のあとには
住民投票が行われ、
過半数の同意がないと解職されない。
今回の『住民投票』はそのいずれでもない。
リンクした毎日の記事を初め、
『都市計画道路の未着工部分について
住民参加で見直すかどうかの投票が行われた』
というが、正確ではなく
今回の投票がダイレクトに
都市計画道路の廃止に直結するかのような
報道は卑怯ですらある。
繰り返すが、地方自治法で認められているのは
『条例の制定の請求』(制定の命令ではない)
もちろん、そんなことは
『意識の高い住民』の皆さんはわかっていて
「東京都が立案した
小平都市計画道路3 ・2 ・8 号
府中所沢線計画…について、
住民参加により計画を見直すべきか、
又は計画の見直しは必要ないかについて、
市民の意向を確認することを目的とする。」
という条例の制定を先に請求して成立させた。
条例制定を請求しても議会が否決したら成立しない。
ところが三多摩は共産党や社民党が大好きなので
この条例を通した。
原典そのものはこうだ。
今回の『住民投票』は、この条例に基づいたもので
都の事業である都市計画道路の全域については
口を出せないけど、
小平市内での計画の見直しだけは、
住民の意見を聞くだけでも聞いてよ。という、
『意見聴取の可否』を質した
投票だったのである。
『投票率50%が開票の条件』とか言って、
良識ある毎日新聞に怒られたりしているが、
今回の投票が満票で『道路反対』だった
としても強制力はない。
もしも可決されていたら市長は都や国に
その結果を報告することが定められているが
具体的にどんな手段で
『市民の意見を吸い上げるか』の
方法についてはなにも決まっていない。
『意見を反映させるか』『させないか』しか
選択肢はないのだ。
だから、条例としてはとんだ片手落ちで、
この結果を『政治的』に利用すれば、
いくらでも悪用できる。
今回、『投票率』の一件で
マスコミにケチをつけられるような隙を作った
理由は、結果を見てしまうとよくわからない。
で、
ここから先は、怒濤の悪口に墜ちていくはずなので
こころを落ち着かせていこう。
まだ悪口じゃなかったのか?と
思うかも知れないが、
そんなに人間が出来てはいないのだ。
わかってるでしょ。そのくらい。いまさら何よ?
まず先に、今回の反対運動を主導している
皆さんの話を聞いてみようじゃないか。
で、
今回の計画。
(クリックで大きくなります)
そして、反対派の皆さんの意見の要旨。
(クリックで大きくなります)
立ち退く家も200戸以上あるそうだ。
都市計画決定された道路だったら、
計画道路内の新築・増改築は原則として違法
なはずだが、50年耐えてきたのか?
ふう。
批判する相手の意見も一応載せる、
という姿勢は評価して欲しい。
そのあと、ぼろくそに書くんだけど。
さて、
小平市、といってもそんな田舎町知らん
という人が多いだろう。
ここだ。
西武線で西新宿から23km
人口19万弱
市域の南北の幅は2km弱
で、
三多摩ど真ん中のこの街には生意気にも
19万の人口がいる。
ただしこの人口は、何回かの『世代』に別れている。
念のためにいうと、ここでいう『世代』とは
血縁の系代を示すものではないですよ?
まず第一世代は、明治時代までに
このくそ田舎にいた連中。
武蔵野台地というのは水の便が悪く、
だから、玉川ブラザースが用水路を造ったり
するのだが
基本的には関東大震災までは
国木田独歩が遭難するような雑木林だった。
ところが、この連中のうちの何割かは
いまもここに住んでいて大地主だ。
俺が近郊住宅地の中途半端な地主を憎むことは
親の敵が束麻呂だったというくらいに許せない。
中途半端な田舎町の地主というのは
『生産緑地』という、栗なんか植えて
『てめえ農業やるつもりなんかないだろう』と
ガソリン撒いて火をつけてかちかち山に
してやろうか?
というふざけた土地を持ち、いき遅れた娘は、
『うちは大地主です。でもほとんどが
市街化調整区域で売れません。
でも『線引き』が変わったら
地価は30倍くらい変わります。
彼氏は婿養子に来るのが当然ですよね』という
脳みそにコクゾウムシが沸いてるんじゃねえのか?
という『お悩み』を発言小町に投稿したりする。
親父は地主で、馬鹿なんだけど自分の資産が
天賦のものじゃない、ということは
うすぼんやりとわかっているから、
『地目が宅地じゃ税金がかかって仕方がないなあ』
ということで、『うちは坊主で宗教法人だか
保育園をやろう』と、社会福祉法人格もとって
違法建築すれすれの保育所を造る。
宗教法人と社福法人の二つの法人格を持っていたら
ジョーカーを2枚持ってポーカーをするようなもので
節税という名の脱税が、やり放題だ。
さらにそこには別の娘が通って、当然ボスママで
『あの人嫌いだからみんなでイタリアンにいこー』と
あぜ道を軽自動車で30分飛ばして
サイゼリアに行くのである。
第2世代は、関東大震災後に焼け出されてきた連中で
さすがに小平市内での固有名詞を出すのは
まずいのだが、
三多摩は都市基盤が整っていない分、
『学園都市』なんていって
『環境がいいですよ』と客の袖を引いた。
国立や成城のように実際に大学を
引っ張ってきた街はともかく
『大泉学園』なんて学校なんかありゃしねえ。
とにかく、
このとろくさい焼け出されが第2世代。
第3世代は、ベビーブーマーが結婚して
所帯を持った1970年代以降で、
『なあ、家を買おう。』
『まあっ、素敵。どこ?松濤?原宿?田園調布?』
『小平だよ。』
『えー?どこー?』
『ははは、こないだ市になったばかりだからな。』
『買いものはー?』
『車を買うよ。車なら公設市場まで30分だ。』
『まあっ。素敵。サニー?カローラ?』
『ははは、隣の車がちいさく見えるぞ。
愛知工業のヂャイアントだ。』
『なに?それ…』
地上最大のオート三輪
ヂャイアント
1600cc
そして、第4世代が、今回の運動の
メインストリームとなっているであろう人達である。
『都会で暮らすのも疲れちゃったわ。
まあ、この街なら雑木林もあるし、
どんぐりも落ちてて
自然があって素敵じゃない。』
『あら、小川もあるのね。』
『そうよ、玉川上水よ。
ここに幅36mの道路を渡すなんて許せないでしょ?』
『そんなふうに塞がれちゃったら
夏目漱石も自殺できないわねえ。』
『あら、玉川上水で自殺したのは芥川龍之介よ。』
『さっすが、和恵。インテリねー。』
……
耳の穴にどんぐりを詰め込んで
脳みそに毛虫を突っ込んで
わしゃわしゃしてやりたい。
全世代に喧嘩を売るあたり、
おまえ、三多摩嫌いだろう。
といわれたら、
その通りである。
ふう、言いたいこといっちゃった。
住民投票が悪い、といっているわけではない。
市街地に30m以上の道路を通すのは乱暴だ。
都は小平市を挟む6市の交通量が
25年で30%以上増える、と言うが
そんなことはあるまい。
という主張は理解できる部分もある。
その一方で『既存の府中街道の3倍の30m』
というが、それなら既存の府中街道は
片側1車線である。
そりゃ渋滞もするだろう。
現に大渋滞だそうである。
亀岡の馬鹿野郎のように
無免許で歩道に突っ込むこともある。
そして、なにより
『住民の意見を聞け。』というのは、
この人たちの場合
『無期限に延期せよ。』
というのと同じ意味だ。
人の話なんか聞くつもりはないのである。
現に、この人たちは、南北の府中街道の
移設拡幅だけではなく、ほかの都市計画道路に
ついても『全てNO!』である。
『小平市には…24本の都市計画道路があります。
すべて、50年前の1962年に計画決定されました。
…ところが小平市は、2009年度から…
武蔵野美術大学周辺部分の3・3・3号線を、
24億円余りをかけて(全額東京都の予算)
建設し始めています。
動く気配のなかった計画が、
補助金が下りて一気に動き出すというのも、
都市計画道路の一つの側面です。』
と、さっきのHPにも書いてある。
つまり『あらゆる道路に、NO!』なのだ
文句があるなら、
何故50年間放っておいた。
『いや。50年前には住んでなかったから。』
というのは言い訳にならない。
いくらでも選挙の機会があっただろう
まさか住民票を移して3月、経ってないとか
『水道は公園で、トイレはコンビニで』とか
言うつもりじゃないだろうな?
なによ。
美人はうんこしないのよ。
直接請求で『住民の声を聞く』という条例を作って
それに基づいた住民投票で負けたから、と言って
『開票もしないのは卑怯だ。』とか
言い出すのはおかしくないか?
なんでそんなめんどくさいことをする。
市議会なり市長なりの首をすげ替える権限が
市民である君たちにはある。
そうすれば、
都の予算で造る道路であっても
その執行を止めることが出来る。
何故2度も住民投票をする?
『でも、ほら。議会とか市長は第一世代の人達が…』
とか言うんなら、君らの田舎町の
その古い体質こそをただせ。
そもそも関東大震災まで、いや戦後になっても
君たちの街は田舎だった。
これは悪口じゃなく、事実だ。
下水、学校、保育園。あなたの街は、
社会基盤が貧弱だとは思いませんか?
道路もそう。
道路は広域のものだから、その整備は
必ずしも小平全市民の生活に
ただちに資するものではないかも知れないが
そうやって『うちの町に道路通すな』なんて
ことをやっているから、
地下数十メートルに環状道路を造って
トリッキーなジャンクションを
中途半端な土木知識の連中が
『うぉー、かっけー』とか、興奮して見に来る。
1km辺りの建築費が数百億円とか
ナウル辺りの貧乏国なら、
またそれで100年働かなくなっちゃうような
そんなお金を掛けて道路を造るのは
おかしいでしょう。
『その場所はやめてくれ。』という議論なら
まだ理解できる。
でも、
『こんなきれいな森をなくすの?』
という
『情緒』がスタートラインだったら、
とてもじゃないがつきあえない。
では、『今日の三枚。』
問題の道路予定地の雑木林
どんぐり、というから
シイの木かと思ったが
そうでもないようだ。
小平市の樹は『ケヤキ』である。
ケヤキの木というのは
成長が早くて
20年も経つと
天を掃くが如き
見事な樹形になる。
そりゃ50年経ちゃ、雑木も育つさ。
50年の意味ってのを考えようぜ。
おまけ。
念のため、玉川上水で入水自殺したのは
太宰治ですよ。
三鷹駅近くの太宰治入水地にある碑文。
この辺は桜が植わってたらしい。
(クリックしてくださいな)
| 固定リンク
「おこられませんように」カテゴリの記事
- 怒られない脅迫状(2015.09.24)
- 注釈の多い日本記録(2015.03.31)
- 予測された死(2015.03.21)
- はやく博士になりたい。(2015.03.18)
- 剽窃の時代(2015.03.13)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント