« ストリートビューで『顔見世』 | トップページ | 釣りはいらねえ-1円Suicaの嘘- »

2013年5月 9日 (木)

水素飛行船の日

5月6日はヒンデンブルグ号爆発・炎上事故の日。 

(Wikipediaの記事へのリンク)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒンデンブルグ号、というのは当時ドイツが誇った

世界最新鋭の飛行船。

 

 

 

何が世界最新か、というと,『ヒンデンブルグ号』を初めとした

ツェッペリン型は当時、世界最速の輸送手段で、

最大の航続距離を持っていた。   

 

 

それを可能にしたのは、

浮力を担当する水素やヘリウムのガスを入れた袋(気嚢)と

外形を支えるアルミニウムの鋼材を分離したこと。

 

 

 

 

浮力と外形を分離できれば

船体の自由度は増す。

速度は圧倒的に速くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一次大戦後から、第二次大戦までの戦間期に

飛行機の研究を禁じられたドイツでは

飛行船の研究が盛んになる。  

 

 

これにより、気球はガスの固まりであるまん丸型ではなく、

流線型に成形された外殻の形に合わせることが出来た。

エンジンを搭載し、プロペラで推進することで

飛行船は船舶以上のスピードをえた。

 

 

Wikipediaに『駆逐艦も追いつけなかった。』と書いてあるが

20世紀になると、パーソンズというおっさんが

蒸気タービンエンジンを作った。こいつ以降

小型艦なら、40ノット近いスピードが出たはずなので

飛行船も時速70km/hくらいは出たらしい。

 

 

 

 

ちょっとした自動車のスピードだ。

 

 

 

 

 

 

 

気嚢にしても、必ずしも一つでなくてもいい。

分割してもいいわけで漏気に対する安全性も

飛躍的に高まった。

 

 

しかも、飛行機と違って、浮力と推進力が分離されている。

ヒンデンブルグ号の事故を知っているから

『飛行船、怖い。』と思ってしまうが、

エンジンが停まっても墜落しない飛行船は

安全な乗り物でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、1937年のこの日、ヒンデンブルグ号は

ニューヨーク郊外のレイクハースト基地に着陸しようとしたところで

爆発・炎上してしまう。

 

 

この原因について、私がガキの頃まで

『ヒンデンブルグ号は不燃性のヘリウムではなく

水素ガスを積んでいたからだ。』ということが

本でもテレビでも言われていた。

 

 

 

いまは、Wikipediaでも

『いやいや、帯電していた空中のヒンデンブルグから

地上に不注意にケーブルを投げたから大電流が流れて

外販の金属が発火した。』と、必死に書いているんだが

 

 

 

着火の原因はともあれ、

中が可燃物の水素ガスなら

燃えるにきまってんじゃんよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、まあ。

誤解なのかなんなのか、

『水素は危険である。』という

イメージは、いまに至るまで我々に刷り込まれている。

 

 

 

ほんのちょっと、Wikipediaが生意気に言い換えた位では

世間の評価は変わらない。

フクシマの原発を吹き飛ばしたのは、

水素だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、このニュースだ。

 

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、

自動車、ガス・石油会社などが

東名高速の海老名SAに水素ガスステーションを

作った、というニュース。(産経の記事へのリンク) 

 

 

 

 

 

 

以前も書いたが、水素ガスの保管設備、というのは

なにぶん『危険物』であるから建築の制限が厳しい。

 

 

一昨年の段階では、ガス会社の敷地内だけにしかなく、

全国で12カ所しかなかったのだが、

さすがに、『何とかしろ。』ということで基準法の制限は緩んだ。

いまは、こうやって広がりつつあるらしい。

この、海老名SAで全国14カ所目だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

すくなっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAのガソリンスタンドなんて、

ガソリン、軽油、LPG、電気、そして水素と

燃料の博覧会みたいなもんだと思うが

そんなところでも、販売が許されるようになったらしい。

 

 

海老名は東名で一番大きなSAだと思うが、

これがやがて、神、中国、山陽の

各自動車道に広がれば

日本の人口の2/3くらいは

水素ガスの恩恵を受けられるようになる。

 

 

 

これからは水素ガスだ。

燃料電池自動車だ、ということらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ちょっと無理じゃないかなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電気自動車、ハイブリッド自動車くらいだったら、

汎用設備が使える、という意味で

先進国なら将来的な可能性もありそうな気がする。

 

 

 

しかし、水素自動車というと、

危険なインフラを

一から作らなくてはならない。

 

 

 

それを補ってあまりある、

環境への利点があるならともかく

水素を作るにも電気が要るのだ。

 

 

 

そもそも高速料金を払って水素ガスをチャージしに行くか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フクシマの悪夢がなければ、

まだ歓迎された技術かも知れない。

 

 

 

少なくとも、燃焼する時に出るのは水だけだ。

消費地における公害を防ぐことができる、

という意味では、むしろ中国あたりの

環境後進国で

導入されるべきかも知れない。

 

 

 

フクシマ以来、水素燃料自動車も電気自動車も

何か、出るタイミングを失ってしまっているように思える。

 

 

 

水素自動車に未来はあるんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、飛行船には

本当に未来はないのだろうか。

 

原理的に低速しか出せない、ということなら

逆に言えば、低空で、舐めるように空中をクルーズできるはずだ。

 

 

 

大量輸送にはむかないだろう。

高速輸送も無理だ。

 

しかし、離着陸の距離は飛行機と比較にならないくらい短い。

なんなら、厳島神社の大鳥居の前に

ふわりと降りることだって出来る。

 

 

だから、空中クルーズに徹底したら

まだ可能性があるんじゃなかろうか。 

 

 

 

飛行機旅行で何がたのしいって、

窓外の風景を眺めることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

積載量が少ない、という点は決定的な致命傷だが

なにも世界一周とかじゃなくて

JRがやっているような『九州一周』とか

『西日本一周』とかだったら

十分に競争できるんじゃないだろうか。

 

 

 

 

あんまり食材が積めないから無理かな?

『あ、おトイレは我慢してください。』とか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、同じようなことを考えた人はいるらしく、

21世紀にも飛行船はリバイバルしており、

ヒンデンブルグ号をうんだツェッペリン社が

ツェッペリンNTという飛行船を造っている。

 

 

しかし、時代に早すぎたのか、遅すぎたのか

いまはこの飛行船は造られていない。

 

 

日本でも日本飛行船という会社が導入したが

いまは会社そのものがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

むう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日の二枚。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆破した瞬間のヒンデンブルグ号。

788pxhindenburg_burning

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『炎が上がっているから水素爆発じゃない』と

言うんだが、やっぱり怖いよ、水素。

 

 

 

 

 

 

 

 

そういや、これも気球だったね。

魔女の宅急便のラストシーン。

00000000000000000000000000000000000

 

 

 

 

 

 

 

自重で折れてしまうはずなので、

飛行船はこういう頑張り方は

出来ないと思うけど。

 

 

 

 

 

 

 

にほんブログ村 その他日記ブログへ 

(クリックしてくださいな)  

 

 

 

 

 

|

« ストリートビューで『顔見世』 | トップページ | 釣りはいらねえ-1円Suicaの嘘- »

そんな時代もあったよね」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 水素飛行船の日:

« ストリートビューで『顔見世』 | トップページ | 釣りはいらねえ-1円Suicaの嘘- »