賞を増やせばいいってもんじゃねえぞ。
80歳でエベレストに登頂し、世界最高齢登頂
の記録を更新した三浦雄一郎さんにちなんで、
安倍内閣が元気な高齢者を表彰する『三浦賞』
を創設する、というニュース。
『元気な高齢者?』
『林家パー子とか。』
『ぺーだって元気だぞ。』
『じゃあ、夫婦で受賞?』
『……』
『……』
『…与太話はさておき、だ。
その賞は高齢者限定なのか?』
『この記事を読む限り、そうみたいですね。』
『まあ、日本はこれからどんどん高齢者が
増えるわけだけど…
年齢制限のある政府顕彰ってなんか違和感が
あるな…』
『それに日本には、世界最高齢の人が
いるんですよ。』
『しかし単に高齢だというだけでは叙勲の理由
としては弱い』
『しかし男性の最高齢者木村次郎右衛門さんは
明治30年生まれの116歳。』
『明治30年?』
『日本海海戦の時に数えで9つですね。
その当時の世間の興奮を覚えている最後の人
かも知れません。』
『あー、なるほど。』
『しかもこの人、新聞を丹念に読むのを日課に
していたりして
ちっともぼけていないそうです。』
『そりゃすごい。』
『女性の世界最高齢、大川ミサヲさんも
明治31年生まれの115歳。』
『ほう。』
『確かに1年下ではあるんですけど、
木村さんが4月生まれで
大川さんが翌年の3月生まれだから、
学年としては「タメ」なんですよね。』
『じゃあ、事実上「同い年」だ。』
『単に、「高齢」を理由に叙勲することは
僕も反対ですけど、
ここまで突き抜けていたら、賞状の2・3枚
あげても国民みんな大喝采でしょう。』
『それで、二人を総理官邸に呼んで
安倍さんが賞状を渡そうとすると、
ぱしって払いのけて…』
『払いのけて?』
『年寄り扱いするんやないっ。』
『まあ、それはそれで痛快ですが、』
『大体なんで「三浦賞」なんだ?』
『え?そりゃ雄一郎さんが偉大だから。』
『芥川賞、沢村賞、ノーベル賞。
みんな死んでから出来てるだろう。』
『ノーベル賞は、ノーベルさんが遺言で作った
賞ですが。』
『あ、そうか。』
『その賞にノーベルさんの名前を冠したのは
後世のノーベル財団の人なんでしょうけど』
『存命中の人物名を冠した賞はないのか?』
『いくつかあります。』
『へー、なに?』
『特定の国家、団体に関わるんで
めんどくさいから取り上げたくないんですよ』
『……』
『……』
『しかし、雄一郎さんには悪いが、いまでこそ
「三浦っていえば雄一郎」って具合に出てくる
だろうが、あと20年もしたら、
みんなわからなくなるぞ?』
『「三浦?百恵ちゃんと結婚した人?」とか』
『「ロサンゼルスで奥さん殺した人?」とか』
『雄一郎さんより、和義さんを思い出す方が
難しいと思いますが。』
『……』
『……』
『しかし、国民栄誉賞もあるのにねえ。』
『そうだよ、
三浦さんを顕彰するんだったら
国民栄誉賞でいいじゃないか。』
『駄目ですよ。』
『なんで?』
『第二次安倍内閣になってから既に、
納屋幸喜さん、長嶋さん、松井ゴジラ、と
三人にあげてるんです。』
『納屋さんって誰?』
『横綱大鵬ですよ。』
『ああ。』
『これ以上あげたら、
「参院選目当て」っていわれるから、って。』
『業績と選挙は関係ないと思うがな。』
『とにかくこれで、「巨人・大鵬」に
賞をやっちゃったわけです。』
『三浦さん、料理は出来るのか?』
『は?そりゃ冒険家なんだから、
身の回りの事は一通り出来るでしょうが。』
『エベレスト山頂で卵焼きを作れば
良かったのに』
『へ?』
『「エベレストの気圧は地上の1/3。
水の沸点は50度以下になっちゃいますが、
バターは大丈夫。
コッヘルの上に飯ごうの蓋を裏返して乗せて
バターをじゅう。そこに卵を…」』
『「巨人・大鵬・卵焼き」ですか?』
『「おやあ?卵がカチカチになっちゃいました。
零下20度だから仕方ありませんね。」。』
『エベレスト山頂まで生卵を持って行く方が
大変だと思いますが。』
『じゃあ、来週も
「雄一郎のエベレストクッキング」をよろしく
来週は、登山家ならみんな大好き。
シーチキンラーメンだよ。』
『料理番組で取り上げるような
メニューですか?』
『ポイントは、低い沸点を補うための
ペットボトル圧力鍋と
ぱんぱんにふくれた缶詰を開けるための
爆破開缶法だよ。』
『あの、この与太話はいつまで
続くんでしょう』
『賞ばかり増やしたってしょうがねえ
ってえんだ。』
『自分がもらえないからって…』
『うるせえっ。』
『ひっ。』
『大体、国民栄誉賞自体がよくわからん。』
『それまでの総理大臣顕彰が
「学術・文化に貢献したもの」とあって
ホームラン世界記録の王さんにあげられないから
国民栄誉賞を作った、と。』
『歴代の受賞者にケチをつけるつもりはないが
そんな経緯だから、スポーツ選手と冒険家と
歌手と俳優ばっかりじゃないか。』
『黒澤明とか、映画監督もいますよ。
ビートたけしとか受賞の打診を受けてないのかな』
『反骨を気取ったって、
あいつは貰うような気がする。』
『あ、ナースコール。似鳥さんいってあげて』
『はーい、ミウラさんどうしましたー?』
『……』
『は?エベレストに行きたい?
あーっ。おねしょしてる。』
『……』
『はいはい、まずはおトイレ行きましょうね。
立てますか?』
『まあ、仮に賞が出来たとして。
やっぱり選挙目当てっていわれるんでしょう
かねえ。』
『国民栄誉賞を乱発してる内閣は
大抵レームダックになってからだ。
たった2ヶ月しか続かなかった宇野内閣も
賞をあげてる。』
『そういやみんな政権末期か、元々人気のない
内閣ですね。』
『野田さんなんか衆院選の選挙戦中に
吉田沙保里に賞をあげている。』
『露骨ですねー。』
『まだ、人気があるはずの いまの安倍内閣が
既に3人にも栄誉賞を渡しているのは
なんでだろう?』
『アベノミクス、とやらに
自信がないんじゃないですか?』
『あ、やっぱり?』
では、『今日の一枚。』
2013年のギネスブックに
『世界最高齢の人物』として載ることが決まり
認定証を手に微笑む木村次郎右衛門氏。
これで116歳?
俺の方が先に死ぬわ。
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