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2013年9月16日 (月)

イプシロンとH-IIロケットの間

小型衛星用の、固体燃料衛星ロケット

イプシロンの打ち上げが成功した、というニュース。

(毎日新聞の記事へのリンク)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     
『なんで、小型ロケットを作るんです?』

 

『衛星というのも多様化していて、大型から小型のものもある。 

投入する軌道高度も、様々だ。 

ISSに荷物を届けたようなコウノトリみたいな用途もあるし、 

大型衛星の需要もある。』

 

『だから、Hシリーズは大型化してきたんですよね。』

 

『その一方で、小型衛星の需要も多い。

廉価で打ち上げられる分野に関しては日本は弱い。』

 

『それで、イプシロン。』

 

『後はまあ、糸川博士以来の固体燃料ロケットの 

技術を途絶えさせたくない、とか。』

 

『カッパ、ラムダ、ミューっていった、ギリシア文字のシリーズは

東大宇宙研が作ってて、Hシリーズとは違ったんですよねえ。』

 

『うーん、糸川さんは大戦中に陸軍機の開発に携わって

陸海軍の縄張り争いに苦しんだはずなんだがなあ…』

 

 

Hii_series                

 

H-IIファミリーと

イプシロン

 

70pxepsilon_rocket_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しかし、またえらい差があるなあ…』

 

『H-IIBの揚重能力が低軌道で19t、静止軌道で8t

イプシロンがそれぞれ、1.2tと0.75tだから大体1/10ですね。』   

 

『こうすりゃいいんだよ。』

 

Hii_series4_3      

 

 

 

『なんですか?これは』

 

『衛星コンテナを

10個にしてみた。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どういうことです?』

 

『だから衛星ビジネスは

軌道や用途、容量なんかで多様な要求があるわけだ。』

 

『ええ…』

 

『だから用途に応じてコンテナを最大10個用意する。』    

 

『無理でしょ?』

 

『無理かな。』

 

『衛星を用途ごとに打ち分けるって…』

 

『「あら、あんたは静止衛星ね。」 

「あんたは低軌道衛星ね。」 

「あらあら、あんたは火星まで行くの?」って

それぞれ撃ち分けるんだ。』

 

『…無理でしょう…』

 

『ICBMなんかは、いくつも弾頭を積んで目的ごとに 

撃ち分けてるじゃないか。』

 

Peacekeepermissiletesting    

ICBM

『ピースキーパー』の

大気圏突入。

 

 

 

 

『でもICBMは弾道ミサイルでしょう。

方向を決めて、ぽんと放り出してやればいいんです。

軌道ごとに打ち分けるって、

コンテナにロケットや燃料を積むんですか?』

 

『H-IIの最上段もロケットじゃないか…』

 

『それに、「多弾頭の打ち分け技術」なんてのを開発したら、

「ほら、イルボンはICBMを作る気だ」って騒ぐ国がいますよ。』

 

『うるせえっ。』

 

『ひっ。』  

 

『あの国みたいに、まともに 

ロケットも飛ばせない国と一緒にするなっ』

 

『ほぼ国名は特定されますが…』

 

『あの国は単に、「出来ない」んだっ。 

日本は「出来るけどやらない」んだよ。』

 

『…まあ、ね。』

 

『そんな「ロケットの軍事転用を許さん」とか

社会党みたいなこと言ってるから、

日本最初の人工衛星「おおすみ」は

誘導なしで打ち上げさせられたんだぞっ。』

 

『Wikipediaの「おおすみ」に投稿した人も

悔しかったみたいですねえ…』

 

『いまじゃ、社民党なんか党本部ビルからも追い出されて、

しかも国会議員は政党要件ぎりぎりの5人しかいないから

次の国政選挙で、それが衆参いずれであろうと

必ず政党じゃなくなるから、ざまあみろだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『でもね、こんな風にロケットを分割したら

H-IIロケットの本来の意味が無いでしょう。』

 

『じゃあ、衛星の用途に合わせてコンテナをいくつも作る。』

 

『H-IIBが運べる容量一杯になるまで

注文を受けて発射を伸ばすんですか?

それじゃ商売になりませんよ。』

 

『しかしお前、イプシロンとの差が10倍って 

極端じゃないか?』

 

『まあ、ねえ…』

 

『衛星の大きさや高度、軌道によって打ち分けるロケットって

案外需要があるような気がするんだがなあ…』

 

『それだけ注文が来ればいいんですけどね…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

『そこでな?』

 

『まだ続くんですか?この与太話…』

 

『NASAが小惑星を捕まえて来ちまう、っていう計画を 

持っているらしいんだ。』

(ナショナルジオグラフィックの記事へのリンク)

 

『直径7m以下、重さ1000t以下の小惑星をロボット宇宙船で、

地球のそばまで引っ張ってくる…』

 

『これから衛星は 

「打ち上げる時代から、持ってくる時代」

になるかも知れん。』

 

『いや、持ってきたって、そこに観測機器を運んだり

据え付けたりしなきゃいけないんでしょう。』

 

『でもお前、「土地」があれば、宇宙飛行士と資材を運んで 

「建設」させることも出来る。』

 

『直径7mで?』

 

『でも、老朽化しているISSの運用は2020年に終わる。 

後継基地の計画はないんだし、 

案外リアリティあるんじゃないか?』

(JAXAのページへのリンク)

 

『小惑星そのものも研究できるし?』

 

『資源も見つかるかも知れん。』

 

『復活の日みたいに、変な宇宙ウィルスとか出てきませんか?』

 

『日本もひとつ捕まえてきて、

「マイ星」を持てばいいんだ。』

 

『星の王子様みたいな話ですね…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『でも、さっきリンクした、NASAの計画にしても

アメリカ単独でやるのかどうか…』

 

『ISSには日本もヨーロッパもロシアも参加しているから

国際協力になるような気がしますが。』

 

『でも中国は、独自にやるだろうな。』

 

『ああ、あの国はやるでしょうね。』

 

『静止軌道に小惑星を置いてそこに観測基地と

攻撃基地を作るんじゃないか?』

 

『いまでも一杯の静止衛星軌道にそんなもん置かれたら迷惑です。』

 

『「我が国の領宙を侵すな。」とか言って。』

 

『星の王子様の時代でいたいですねえ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、『今日の一枚。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イプシロンの原型となる固体燃料ロケットを

開発した糸川英男は、

戦時中、陸軍機の設計をやらされていた。

 

 

代表は、いま有名な零戦と並んで

有名な 一式戦闘機、隼。

(もっとも、堀越二郎のような主任設計者ではなく空力設計の担当者だった。)

 

Kato_hayabusa_sentotai_poster
    

一式戦の活躍を描いた

国策映画

加藤隼戦闘機隊。

公開は昭和19年3月

 

 

 

 

 

一式戦 隼、と言うのは極端に後世の評価が分かれる機体で

後で載せるディスカバリーチャンネルの映像や

いくつかの本が、この機体をべた褒めしている。

 

かと思うと、リンクしたWikipediaの記事のように

それほどには高性能ではなかった、という文章もある。

 

糸川さんが開発したのも蝶型フラップといって、

一種のブレーキであり、

図体の割に非力な一式戦の運動性能を高めるための

苦心の作だったらしい。

 

 

実際、

この飛行機が高い評価を受けたのは

画像のように、

陸軍が熱心に宣伝したからでもある。

 

 

アメリカへの宣戦後、真珠湾、フィリピン攻撃、マレー沖海戦と

立て続けに大戦果をたたき出す海軍航空隊に陸軍は焦った。

 

戦果がなかったわけではないが、大陸で二流の中国空軍に

戦果を挙げても、いまいち受けが悪い。

 

そこで、ニュース映画などで、大いに活躍を喧伝されたのが

『加藤隼戦闘機隊』。

ビルマやマレー半島に進出した陸軍航空隊の活躍を描いている。

 

もっとも、この映画は加藤中佐(戦死後 少将)の

死後に公開されている。

 

と言うか、終戦1年前の公開では

海軍への対抗心、と言うよりも『国民への言い訳』だっただろう。

 

 

 

 

 

 

そして、この映画が公開された時、

糸川さんはすでに軍の研究を離れていた。

 

 

 

 

 

 

 

傑作機であった零戦の後継機を生み出せなかった海軍と違って

陸軍は三式戦 飛燕四式戦 疾風、と

コンスタントに後継機を出したおかげで、一式戦は

海軍が時代遅れになっても使い続けないといけなかった

零戦の半分の生産機数しかないが、これでも

陸軍機では最大で、終戦まで使われた。

 

搭乗員の評判は悪くなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隼の話から教訓なんか

引き出すつもりはありません。

そんな時代もあったね、と思うだけ。

 

 

でも、いまのロケット開発は、

この方向でいいんかな、という気はするんですよ。     

 

 

 

 

 

 

おまけ      

 

 

 

 

 

 

 

日本の極秘軍用機開発。 

最初に、糸川さんの一式戦の話が出てきます。    

 

http://youtu.be/NAsDXlKzdbc

 

 

 

   

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