2月19日は日本住血吸虫病の撲滅が
宣言された日。
(Wikipedia 地方病 (日本住血吸虫症))
日本住血吸虫というのは寄生虫。
うわーん
きもちわるいよう
で、
こいつが何をするか、というと
最終宿主として人間などの哺乳類を選び
血管に寄生する、という
予想外の行動をとりやがる。
人間に寄生すると肝臓に入り込みやがって
肝硬変をおこししかも門脈に卵瘤を作るので
患者は腹水が溜まって、
栄養が行き届かなくなる。
明治初めの頃、この病気の発生地では
徴兵検査に来た20歳の身長が140cmもなく、
腹ばかり膨れて
手足はがりがりだったそうである。
コイツの発生地はかなり限定されていて
特に山梨県での発生率が高く、
『地方病』と呼ばれた。
山梨県中西部
富士川の西岸は
『南アルプス市』という
名前になってます
こいつは古くからこの地域の人たちを
苦しめた。
しかし原因がわからない。
原因は寄生虫でしかも経皮感染、つまり
水に入っただけで皮膚に取り付かれて
寄生されてしまうのだ。
経口感染以外の寄生虫が知られていなかった
ころだ。わからない。
さらにこいつにはもう一段ギミックがあって
ミヤイリガイ、という小さな巻貝
蛍の餌になるカワニナによく似た貝が
中間宿主となって
人間に寄生出来るくらいまで育てて
池や川にこの虫を流した。
これもわからなかった。
だから感染経路がわからない。
逆に言えばミヤイリガイがいるところは
危険だ。ということが分かるまでには
果てしない時間がかかった。
しかし原因が分かると、この野郎、
ということで用水路に硫酸を撒く
石灰を撒くPPCという薬品を撒く 、
ということをやった。
ても根絶できない。
何しろ、こいつは貝のくせに水っ気があれば
草地に上がる、土手に潜る、果ては家の
藁葺き屋根に潜んだり
風呂場の窓枠に
びっしりと取り付いていたりしていた
そうなのである。
こうなるとちょっとしたシャイニングだ
こうしたことで、この地域では徹底的に
『水から離れる』ということを啓蒙した。
子供たちには水遊びをしないように徹底し、
大人は、水田だったら防ぎようないじゃん、
ということで用水路のコンクリート化、
用水池の埋め立てを進めた。
甲府リバーサイドタウンに家を買おうとする人は
そこがかつてミヤイリガイの大発生地の池で
あったことを知っておいたほうがいい。
当たり前だけど、この住宅街の分譲会社が
そのことに一言も触れていないのに腹が立った
で、まあ
治療薬、検便、抗体検査といった治療、予防から
徹底的に『水から離れる』『水をなくす』という
疫学的対応によって、この病気は撲滅された。
(ミヤイリガイ自体は根絶されていない。)
『水をなくす』というのは、具体的には
用水路や河川の護岸をコンクリで固める、
ということで
この県が金丸信などの金権政治家を
輩出してきたのには 、そんな理由もある。
水田をなくす、ということも徹底された。
真夏の水田の草取りに
ゴム合羽を着て行くわけにかない。
山梨県が、桃やぶどうなどフルーツの
産地であるのは
水田からの転換のためだったのです。
なんかワインがまずくなる話ですな。
で、
なにも山梨の人の悪口を言うつもりはないんだ
寄生虫ってのは身近にいるぞ、
ということ。
鮭にアニサキス、という寄生虫がいて
『究極のメニュー』として、
これの刺身を出そうとした山岡士郎が
海原雄山に怒られていたが、こんなのを見たら
嫌になるよな。
たらの腹から出るアニサキス。クリックで大きくなるけど自己責任で…
鮭に限らず生魚には海のものにも川のものにも
寄生虫がいる。
イカなんかにもいる。
イカから出てくるニベリニア。まあ、大きくなりますけどね…
もちろん食品としてきちんと流通しているもの
であれば危険はない…んじゃないかな…
腹が強ければ大丈夫。
加熱すればさらに大丈夫ですよ。
ってイカ刺し食えねーじゃん。
若い頃、大阪の居酒屋で蛇の生血を飲まされた
ことがあったが
爬虫類にはもれなく寄生虫がいる。
魚やイカの刺身や寿司を怖がる必要はないが、
確実に危険なものからは遠ざかろう。
2、30度の焼酎で割ったくらいでは
死なないので危険だ。
こんなのが脳みそに寄生しに来るから。
マンソン裂頭条虫
もうやだ
いまでこそヨーロッパ人も寿司や刺身を食うが
2,30年前までは
『オー、ワターシタチ、ロウフィッシュ、
タベマセーン。
ニッポンジン、カワッテマスネー。』
とか言ってやがって、
ああ、そうかよ。
じゃあ食うなよ。
マグロを獲るな、鯨は可愛い、だなんだかんだ
言いやがって。
ふざけんな、馬鹿野郎。
そうは言っても、ヨーロッパの歴史は
食中毒との戦いの歴史でもあった。
イタリアにプロシュートという生ハムがあって
この中にはとんでもないビンテージ、
1年とか2年ものとか8年もの
というのがある。
生ハムなのになぜ腐らないかというと
熟成の前に塩漬けにするのである。
なにしろ中世ヨーロッパでは春から秋まで
森の中で豚を放牧する。
豚は、下草を食ったりどんぐりを食ったり
トリュフを見つけて取り上げられたりしながら
秋までに太る。
それを〆て、樽に入れて塩漬けにする。
これで1年食うわけで大変な量だと思うのだが
当然夏場には悪くなって臭くなる。
『胡椒というのがあったら
美味いんじゃがのう』ということで
胡椒が欲しくて地球を征服しちゃうくらい、
あの連中は、食品の劣化には神経質だった。
当時のヨーロッパの都市は壁に囲まれていて、
一義的な意味としては防衛なのだが
そんなにしょっちゅう敵が来るわけではないから
普段は検問をする。
その対象の一つに食品があった。
小麦粉に砂を混ぜて目方を増やす、
とかそんなヤツもいたが
肉は困る。悪質な肉を塩漬けの樽に混ぜ込んで
目方を増やして、それが流通してしまったら
ただでさえ、肉の劣化にヒヤヒヤしている
市民は堪らない。
ボツリヌス菌なんか入っていたら
街ごと全滅である。
ボツリヌス菌による中毒は、
菌が出す毒素によるものなので
『寄生虫』ではないが豚にもちゃんと寄生虫がいる。
恐ろしいのが有鉤嚢虫というやつで
コイツは消化管に寄生するが、
希に脳みそに寄生することもあって、
こうなると死ぬか廃人だ。
猫の脳に寄生した有鉤嚢虫。だから自己責任でっていったじゃない。
うー、気持ち悪い。
だからあいつらは生肉を食う伝統がなかったのだ。
『生ハム』と言いながら塩漬けなのは
説明したとおり。
パンチェッタなんていうベーコンは死ぬほど辛い。
だから、カルボナーラなんかで
こいつを小さく切ったやつを炒めて
パスタと卵を合わせて結構ちょうどいい辛さになる。
というくらい、辛い。
『ロウフィッシュ、気持ちワルーイ』と言って
いたセリフには
1000年の歴史があった。
それがいまや、『寿司、サイコー』だ。
うんこ載せた軍艦巻きを食わせてやろうか。
どんな食物にも、寄生虫はいる。
そんなことを過度に心配していたら
何も食えなくなってしまうので
適当にやる位でちょうどいいんでしょう。
しかし、自然の中にも寄生虫はいる、
ということも
この病気は教えてくれた。
住血吸虫の場合も、まっさきに魚が疑われ
次に、水が疑われた。
だから、魚は焼いて食え、
水は湧かして飲めということが徹底される。
それは正解だったのだが、経皮感染という
意表を突いたルートで来たもんだから
わからなかった。
なにしろ煮炊きする水を煮沸すれば
そこからは、原虫や虫卵は除去されるが、
翌朝、井戸水で顔を洗ったら感染するかも
しれないのだ。
農作業で田んぼに入る、子供が川遊びする、
となれば、ほぼ確実に罹患した。
で、
こういった病気の困ったことは、
発生地にかなり顕著な地域性があるのだ。
日本住血吸虫病の例で言えば山梨県。
ツツガムシ病は、山形、秋田、新潟、に発生が多い。
ツツガムシというダニが媒介するリケッチアと
いう細菌に冒されることで体中がただれて死ぬ
当然、縁談などで差別が起きた。
詳しくは書けないが、結構ひどい差別があった
らしい。
だから、寄生虫はどこにでもいるんだよ
病原地の出身者を差別しても、なんの解決にも
ならないし
お互い不愉快になるだけだろう。
なんだ、てめえ。達観したこと言いやがって
と言われるかもしれないが、
それは私の内蔵が腐りきっているからである。
(以下120文字自粛)
だから信頼している。
通常運転には、もう少し時間がかかりますが
しばらくご容赦を。
では、『今日のハリガネムシ。』
昆虫にも寄生虫がいる。
これは、カマキリに寄生するハリガネムシという虫を
取り出した映像。
ほぼ同じことをこの動画の数年前に
『探偵ナイトスクープ』が取り上げており
内容は、ほぼ同じです。
『ナイトスクープ』『ハリガネムシ』とかで検索したら
当時の画像が出てくるけど自己責任でどうぞ。
でもこれは確か、初出をテレビで見た記憶があるんだが
ショックだったねー。
あんなでかいもんがカマキリの腹にいるのか、と。
うーん…
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