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2014年2月12日 (水)

一枚の板チョコ

この物語は、今から15年ほど前の、 

とある高校での出来事から始まる。 



1年生ながら超かっこいい北海君にとって、 

2月14日は書き入れ時である。



うん、『書き入れ時』とか書いちゃう時点でだめだろう、とかいう

批判はぐっとこらえて先を読んでください。

しんどいのよ、どこまで長くなるか予想つかないし。



で、まあ、 

彼が、山ほどのチョコを抱えて、家に帰ろう、と 

下足置き場に行くと、そこに三人の女子が待っていた。 

同じクラスの淳子ちゃん、百恵ちゃん、昌子ちゃんだ。

淳子ちゃんが、おずおずと言った。

『あの、板チョコ…三人で一枚なんですが…』

『えぇ、どうぞどうぞ。』



受け答えがおかしいだろう、とかいう批判も

ここは、ぐぐっと飲み込んでください。

原作を忠実に再現するとこうなるのだ。

再現しなくていいだろう、というセリフを敢えて言わないのも

大人の度量、ってもんじゃないのかなあ。



『あの、できれば今食べてもらえませんか?』 

『それで、おいしいね、って言ってもらえたら。』 


超かっこいいがゆえに人目を気にする北海君は 

何の変哲もない板チョコの銀紙をはがし、 

『リボンくらいかけろよ。』と思いつつも、食べながら 

『おいしいよ』と言って微笑んだ。



で、まあ、

みんな予想してるだろうが彼は2年生なっても

一枚の板チョコを食わされる。

3年になったら、板チョコが二枚になった。




高校を卒業した北海君は地元の工場に就職した。
 

すると、卒業するのを待っていたかのように 

みるみると太り始め、髪の毛も危うくなった。

すっかり『モテキャラ』ではなくなった北海くんに

卒業して何年目かの、憂鬱なバレンタインデーがやってきた。


『よう、北海。お前昔はもてたんだってな。』 

『下駄箱の前で三人の女の子にチョコを渡されて、 

その場で食ったっていう「一枚の板チョコ」の話は 

高校の伝説になってるぜ。』


今年も意地悪な先輩が絡んでくる。 

もう、チョコなんかもらえないことを知っているのだ。 

そもそも工場にいるのは男ばかりだし

事務には数人の女子社員がいるが、 

彼のことなど見向きもしない。 

むしろ、陰で指さして笑っている。



『やめてくださいよ。』、と 

残り少ない髪の毛を引っ張られながら、 

『どうせ、今年もチョコなんかもらえないんだ。』 

諦めながら工場の外を見ていると、 

ここには、というか日本には分不相応な、 

ベントレーのリムジンカーが入ってきた。


北海君も意地悪な先輩も、いや工場中が見守る中で 

ショーファーがドアを開けて三人の女性を降ろす。


『ちょっと、ここに北海って子がいるでしょ。』 

あわてて飛びだして最敬礼する工場長に 

ミンクのコートを着た女が声をかける。

『はっ、たしかにっ。』


そこまで卑屈にならなくてもいいと思うが工場長は 

『おいっ。』と、裏返った声で北海君に声をかけた。




周りから突き飛ばされるように外に出た北海君は

三人の目の前で思い切り転んだ。

そして、帽子の飛んだ頭をあげて

ミンク、シルバーフォックス、ロシアンセーブルのコートを着た

三人の女性を見上げた。



三人は、北海君をねぶるように眺めまわすと

顔を見合わせて低く笑った。

そして、ミンクが

『ほら,今年は板チョコ三枚あげるわ』

と、北海君が見たこともないような高級ブランドのチョコを

投げてよこした。





『覚えてる?』


『は?』 と北海君。

『あたし淳子よ。』 とミンク。

『百恵よ。』とシルバーフォックス。 

『昌子よ。』とロシアンセーブル。


『あたし卒業してから京都の病院で働いて 

そこで開業間際の医者を捕まえたの。』 

『あたしは銀行員。』 

『あたしは実家に帰って土地を継いだわ。』


『はあ…』

 

『それで久しぶりに札幌に帰って3人で会った時に 

「今年のバレンタインは最高の贅沢をしよう。」って決めたの。』 

『この工場を探すのは苦労したわ。』 

『まさかこんなふうになってるとはねえ。』 

そうして、三人は再び顔を見合わせて笑った。



『さあ、そのチョコ。いま食べて 

「おいしいね。」って言ってごらん。』



















待てっ。

気持ちはわかる。


なにより書いている僕が

一番むかついてるんだっ。












念のため、『一杯のかけそば』全文。



























では、『今日の一杯。』













『あんた、サービスってことで三人前出してあげなよ。』

『だめだだめだ、そんな事したら、かえって気をつかうべ。』
 

と言いながら、親父は黙って、そばを大盛りにした。


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どうやって食え、と?













おまけ














SOBAYA





なぜタモリの写真が出てくるかというと、このひと若い頃

この曲を歌ってたんですね。(この歌は違います)

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そんな時代もあったよね」カテゴリの記事

コメント

おう、蕎麦屋か!

…ソバヤと聞くと俵星玄蕃しか思い浮かびません
関西でおいしい蕎麦を食べようとは
思っていないのであります^^

投稿: FREUDE | 2014年2月12日 (水) 08時38分

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