東京ローズの日
太平洋戦争中、日本は連合軍兵士に対する
心理戦として、プロパガンダ放送を行う。
『ゼロ・アワー』と名付けられた、このラジオ
放送が始まったのが1942年のこの日。
(Wikipedia東京ローズ)
第二次大戦中の兵隊なんて男ばっかりなので
アナウンサーには女性が起用された。
セクシーな声と、流暢な英語は兵隊たちの心を
とらえ、顔も見えない彼女のことは
『東京ローズ』と呼ばれた。
内容は、
『日本に保護されている捕虜は幸せに暮らして
いますよ』、とか、
『あんたたちがやっている作戦なんて無駄よ』
だとか
『あんたたちの奥さんや恋人は今頃浮気してる
かもね?』という
うん、そりゃもっともだよな、
ということまで。
音楽に乗せて、DJのような調子でしゃべって
いたらしい。
玉音放送の前日、8月14日まで続けられた
この放送は、
当然のことながら連合軍の逆鱗に触れ
放送をした、ラジオ・トウキョウの担当者を
絞り上げるのだが
肝心の『東京ローズ』が出てこない。
ついにDHQは『出頭すれば5000ドル』という
占領下だから為替レートはないけどさ。
まあ、大体今日でいう30億円近い賞金を懸けた。
出頭してきたのが
尋問を受ける
戸栗さん
周辺に集まっているアメリカ兵の制帽がばらばらで、
つまり所属と部署の違う連中が、明らかに
覗きこむような姿勢をしているのに対して、
彼女が凛と背筋を伸ばしているのが気持ちいい
もっとも、彼女の意図もよくわからない。
『賞金目当て』だったという言う人もいるが
今となっては分からない。
そもそも、当時の日本放送協会(NHK)で
対外宣伝放送をしていた女性アナウンサーは
複数いて、当然『東京ローズ』も複数いた。
彼女は『東京ローズ』ではなかった、
とさえいわれている。
そして結局『賞金』は支払われなかった、という。
それどころか戦後彼女はアメリカで起訴される。
しかも『国家反逆罪』という、超一級の罪名だ。
彼女は、複雑な名前からもわかるように
アメリカ生まれの日系人だった。
(最後のダキノというのは、
結婚したフィリピン人の旦那の名字)
当然、アメリカと日本の二重国籍で、
『東京ローズ』時代には、国籍を変えるよう
当局から相当に迫られたそうである。
しかし、捨てなかった。
というか、彼女は日本が嫌いだった。
和式便所が嫌い、畳が嫌い、日本なんか不潔。
彼女が戦争直前に日本に来たのは
祖母の見舞いのため。
とどまったのは戦争のためで
早く、母国であるアメリカに
『帰りたかった』らしい。
逮捕された時の人定撮影で
うすら笑いを浮かべている人
というのを
この写真以外で見たことがない。
戦後彼女はアメリカに『帰国』した時に
逮捕されて、『反逆罪』で訴追される。
判決は、禁固刑と国籍剥奪。
さらに罰金1万ドル。
賞金もらっても追いつかねえ。
しかし、実際の扱いは意外に軽くて
6年後に釈放。
生前に国籍と名誉を回復されている。
2006年に90歳で死亡。
最近じゃねえか。
ドイツでも同じようなことをやっている
『枢軸サリー』という愛称で呼ばれた、
アメリカ国籍の女性。
彼女も、連合軍向けに煽情的で挑発的な放送を行い
戦後、逮捕。
やはり国家反逆罪で訴えられている。
判決は30年の懲役刑だったが10年あまりで出所。
そして国籍を回復。
この人も長命で、87歳まで生きている。
対照的だったのが、イギリス。
イギリス出身のドイツ人で
連合軍に向けて挑発的な放送を行った、
『ホーホー卿』ことウィリアム・ジョイスへの
扱いは厳しかった。
この人は逮捕されて1年後の1946年に絞首刑に
なっている。
どこの国でも、利敵行為というか自国への
明らかな反抗には 厳しく臨むだろう。
しかしアメリカがローズとサリーに対して
行った処罰に対して
イギリスきついなー。
まあ、日本だったら、
もっと、きつかっただろうけど。
ただし、国策で行われた、
『東京ローズ』や『ホーホー卿』の時代と違って
いまは、個人がネットで好き勝手なことを
垂れ流せる。
殺人予告とかをして逮捕される奴がいる。
三宮の地下街で小保方さんがやけ酒を飲んでいた、
とか書くと信じちゃう奴がいるのである。
(嘘ですよ。)
そういう意味でこの日記は『犯罪の水平線』を
目指していきます。
いくのか?
では、『今日の東京ローズ』
こんな歌だったっけ?
(クリックしてくださいな)
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