大正の日
7月30日は大正時代が始まった日。
この日、明治天皇が崩御。
明宮嘉仁(はるのみやよしひと)皇太子が践祚。
この日から、『大正』。
『大正時代』は1926年まで続く。
15年。短い。
大正って、どんなイメージなんだろう。
リアルタイムで大正時代を知っている人は、
もう殆どいないだろう。
(大正生まれの人は、いるだろうけど)
大正元年は1912年。
2年後に第一次世界大戦が起こって
戦場にならなかった日本は4年間儲け続ける。
『成金』なんていう言葉が生まれた。
100円札に火を点けて
『どうだ、明るくなっただろう』
経済規模の小さい日本では、終戦の3年後1921年に
反動不況が起こって猛烈なインフレが起こる。
(アメリカでは1929年のブラックサースディから)
そして1923年(大正12年)には関東大震災が起こる。
東京を中心に死者は10万人を超えた。
1918年からはシベリア出兵も起きる。
だからそういう意味で大正時代というのは
立て続けに起こった予想外の事態に翻弄された
慌ただしい時代に見える。
暗い時代のようにも見える。
どんな時代だったんでしょう。
大正デモクラシー、なんて言葉がある。
一応は普通選挙の制度ができて、
曲がりなりにも選挙による政権交代ができた。
米騒動なんてのも起こった。
人民による意見の発露、なんていういい方もできるが
単に貧乏だったんじゃないのか?
モボ・モガなんていう人たちがいる。
たんにファッションだともいえるが、
自由になった世相の反映でもあったんだろう。
これは21世紀の
リバイバル展というか
コスプレか?
ビアホールなんていうのが流行ったのもこの時代だ。
ダダイズムなんてのもあった。
関東大震災の焼け野原にMAVOという人たちが
好き勝手な建物を建てた。
雑誌 MAVO
アール・ヌーボーなんていうのが流行ったのも
この時代。
これは1900年築造だから
大正時代じゃないけど。
明治時代は『坂の上の雲』の時代だったんだろう。
『楽天家たちは…のぼってゆく阪の上の青い天に、
もし一朶の白い雲がかがやいて、それのみを
見つめているとすれば
それのみを見つめて坂をのぼっていくであろう』と
『坂の上の雲』のあとがきに書いてある。
明治時代って、そういう『かわいた昼間』の
イメージがある。
坊ちゃんの、最後の対決の場面は朝なんだけど
乾いた田舎道といい、まっすぐに晴れた空
といい、明治。
結果を知っているから、昭和に入ると世界恐慌で、
軍部独裁で、戦争で、という悲惨な歴史だった
ことを知っている。
だから戦前は、夜のイメージがある。
東京大空襲は真夜中だった。
その間にあるから、大正時代は
『街灯が似合ってきた午後7時』
という感じがする。
モボとモガが夕暮れのビアホールに立ち寄って
ダンスする。
うん、そんな人いなかったと思うけどさ
イメージとしては『黄昏』なんだよなあ。
アール・ヌーヴォーのくにゃっとした感じもそう。
これが戦後になると、
すかんぴんに晴れた午後のイメージがある。
個人的に記憶がつながってくる高度成長時代になると
なんか、『焼けたトタン板にあたった午後3時
の日差し』って イメージがします。
それからバブルがあって、これも夜。
ディスコでひらひら踊る。
そうして、長い不況があって、
いまは何時っすかねえ。
そうね、大体ね…
大体にもほどがある…
では、『今日の一枚。』
大正11年から使われた、
赤玉ポートワインのポスター。
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