スコットランド独立と、ヨーロッパ人の国境意識
2014年9月18日(日本時間19日)、イギリス北部、
スコットランドの『独立』をめぐる住民投票が行われた。
(Wikipedia 2014年スコットランド独立住民投票)
いろいろあったらしいんだけど、
イギリスの首相であるキャメロンさんが『独立派』に譲歩し、
『じゃあ、住民投票して、
独立賛成が多かったら独立していいよっ』
と、まるで小平市のどんぐりの森、のようなことを認めてしまった。
結果は、以下の通り。
『独立反対55・25%、賛成44・65%、』
(読売新聞の記事へのリンク)
順当か?拮抗か?
スコットランドといえば、サッカーやラグビーの
世界クラスの大会には、『イングランド』と別に
『ナショナルチーム』を仕立ててくる。
独立しなくてもいいんじゃねえの?と
ジャップは思う訳ですよ。
今日のテーマは『ヨーロッパ人は国境の垣根が低い』ということ。
なんで、スコットランドが『独立』したいのか、というと
そもそも17世紀まで、イングランドと仲がわるかった。
イギリスと気軽に呼んでいるが、正式名称は
超えらそうな名前。
したがって、オリンピックの入場行進なんかでは
『UK(United Kingdom)』ということで、『E』じゃない。
スコットランドは、北海道とほぼ同じ面積で
そんなに広い地域ではない。
人口も北海道とほぼ同じで、
『もうお前、北海道でいいんじゃねえか?』
いや、まあ酒も麦もうまいしさぁ。
青い部分がスコットランド
黄色が北アイルランド、
赤がウェールズ
白がイングランド
うん、17世紀、18世紀とかそんな昔の事言うなよ。と思うが
『スコットランド独立運動』は、いま現在まで続いているわけです。
そして『連合王国』の構成国の一つ、北アイルランドでは
1998年のベルファスト合意まで、結構派手なテロが続き
ユナイテッドキングダムからの離脱を争った。
しかし、地図を見てもわかるように
北アイルランドはもちろん、アイルランド全土でさえ
面積でいえばスコットランドより小さい。
もっといえば、イギリスの面積は日本の6割、人口は半分。
なんで、そんな小さな国が、分離だ、独立だ、というと
彼らの『国境意識』が日本とは違う、ということなのだろう。
ただし、そうやって騒いだところで、
経済の基礎がないとどうしようもない。
ところが1960年代末、この『大ブリテン島』の東沿岸に
巨大な海底油田が見つかった。
北海油田、というやつで現在も採掘されている。
で、
この北海油田の評価が
今回の『独立投票』のカギになったという。
Wikipediaの書き方なんかは、ぼろぼろで
『いやもう、北海油田なんかあきまへんわ、
新しい油田も見つかれへんし
廃止になった油井の撤去費用だって巨額だ。
壊さなかったらシーランド公国みたいのが山ほど増えまっせ、と。
(シーランド公国)
まあ、北海油田は、開発以来50年近く経っており、
東半分のノルウェー鉱区ではじゃぶじゃぶ新しく油田が出るのに
西半分のイギリス鉱区は、天然ガスもふくめてもう枯れちゃう。
なんだそうです。
そうはいっても、現在のところ、
イギリスはエネルギー自給国、どころか純輸出国ではある。
(諸外国のエネルギー事情)
資源の利益配分を
めぐって紛争を起こした国、地域
というのは世界中にある。
ブルネイは、じゃぶじゃぶ石油が出たけど
マレーシアに参加しなかったために、
20年以上にわたる内乱の末、完全独立した。
(外務省 ブルネイ・ダルサラーム国)
戦前に大油田が見つかっていたクウェートも
じゃぶじゃぶ石油が出たけど、
イラクに参加しなかったために、フセインの侵略をうけた。
(外務省 クウェート国)
でも、こうやって独立を維持している国はハッピーで
ブルネイもクウェートも、教育や医療にお金はかからないし
ブルネイのスルタンは世界一の金持ちだ。
いいなー。
しかし、資源があっても、内戦が続く、となると悲惨だ。
アフリカでは石油が出ない、と信じられていた時代があった。
そりゃそうだろう。
スエズ運河のむこうのサウジ、アブダビといったところでは
どばどば石油が出るんだ。
まるっきり石油が出ないエジプトが
観光で食っているのは事実だし
スエズ運河の支配権をめぐって、
博打のようなスエズ運河接収に出たのも理由がある。
(フランスの原発依存率はなぜ高いのか?)
1960年代までの例外がナイジェリアで、
ここは、国土の南東部に油田がある。
アフリカの西側
人口は日本よりずっと多くて
1億8千万
東部の民族と、首都がある西部の民族の
歴史的な対立も深かったのだが、
『権利の配分が不平等だ。』ということが
理由の一つとして起きたのが『ビアフラ戦争』。
(ビアフラ共和国)
戦争そのものの経緯より、内陸の砂漠に追い詰められた
ビアフラの人たちが多数の飢死者を出したことで有名だと思う。
ビアフラの子供
この戦争に関して、原因が『資源だけだ』といってしまうと
ビアフラの人に怒られてしまいそうだが、
もう少し南のコンゴ共和国(昔のザイール)では、
金・銀・ダイヤ・コバルト・銅、と
溢れる程の資源があったせいもあって
もっと凄まじい内戦が起こった。
石油が見つかった南スーダンは、つい最近独立した。
世界中にそんな地域がある。
スコットランドどこに行った?
と思ってるだろう。
大丈夫、僕はもっと思っている。
なんで『住民投票』から10日以上もたって公開できないのか、
というあたりを多少は、慮ってほしい。
金も入らないのに…
日本最大の天然ガス埋蔵量を誇る千葉県が
独立運動を起こさないのは、なぜだ?
ということを考えてみても面白いよ。
(なつやすみ 千葉県の独立)
『TDR』と成田空港の完全封鎖をやれば、
案外、楽勝で『高度な自治権』が得られるような気がする。
ふう。
スコットランドの話に戻ると、
独立しても国土の規模は北海道。
名物はネス湖とネッシーとスコッチウィスキー。
石炭があるので産業革命の時には発展したのだが、
いい酒ができるくらい泥炭地帯で、北海道よりも緯度は北で
エンクロージャー運動のおかげで羊さんがめーめー。
要するに、農業では食えないわけです。
いまさら石炭の時代でもないし、観光かあ?
ネッシーでてこねーもんなー。
北海油田にかけよう、と。
まあ、くりかえすけど『油田』だけが独立の理由ではなかったはず。
いろんな不満なあったとしても『国家』としてやっていく『見積書』の
中には、この資源の配当利益の計算があったはずだ。
だから『国』ってなんだって話なわけです。
ヨーロッパの国、ってよくわかんないんですよ。
そりゃまあ、領土があって国民がいて、政府があって
よその国が承認してくれたら、承認国にとっては『国家』です。
(モンテビデオ条約 (1933年))
だけど、すごい小さい国がある。
そもそもイギリス自体小さい。
面積で日本の6割、人口で半分です。
日本がいくら少子化したって、あと50年は
『国民全員総当たり指相撲大会』とか『じゃんけん大会』とかを
やっても、圧勝なわけですよっ。
モナコ、という国がある。
観光とカジノとF1で有名だ。正式な名前は、モナコ公国。
一番えらい人は『大公』といって、先代の大公は
かみさんの女優に高い鞄を持たせたりしていた。
『モナコ大公』なる人物はナポレオン戦争まで
フランスの庇護下にあった。
だからフランス王、皇帝という人物が保護者になる。
その後、イタリアに売り飛ばされそうになったら
『国土の95パーセント』をフランスに切り離す、
という豪快な独立政策を採って独立した。
だから、現在のモナコ大公は
フランスの支配を離れて世襲制である。
フランスとスペインの間にアンドラ、という国がある。
この国の国家元首は、スペインのカタルニアのウルヘル司教と
フランス大統領の二人いる。
訳わかんねー。
そして、このカタルニア地方でも、独立をめぐる住民投票が
行われるかもしれない。
(読売の記事へのリンク)
つくづく『国境の垣根』が低いんだな。と思う。
というか、意識が違うのだろう。
だから、ヨーロッパ人は、第二次大戦後半世紀もたたずに
EUをつくることができたのかもしれない。
いいことか悪いことか、という問題ではない。
もうなんか、国際郵便の宛先でも
「EU スコットランド州エディンバラ市』とかで
いいような気がする。
でも そんな話をはじめたら、
また長くなるので勘弁してください。
スコットランドはしばらく収束するかもしれないが、
それに刺激されてカタルニアのように独立を目指す国もある。
こんな事例が続出したら、ロシアが『それみたか』という顔で
東部ウクライナ諸州の独立を図るかもしれない。
環海の島国だった日本は、
国境の意識に疎かったが
尖閣の問題などで、
鋭角的にそれを知らされた。
だって、無人島なんだもん。
では、『今日のScotland the Brave 』
ちなみに行進している皆さんが履いている
スカートのようなものは、
キルト、といってスコットランドの伝統衣装。
ひざ丈でタータンチェックだから、あらぬ勘違いをしてしまうが
こいつら全員男。
しかもノーパンのはずである。
まあ。
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