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2015年4月 3日 (金)

ぱっぱらぱっぱー

正露丸のCMに使われている、ラッパのテーマ曲の 

商標登録が出願される、というニュース。 

(毎日新聞の記事へのリンク)








どんなのか、というとこんな。




聞いてしまえば、日本人ならみんな『ああ、あの…』と

思い浮かぶ曲だが

ニュース記事にするに当たって文字に起こす時に

『ぱっぱらっぱっぱー』ときたのには驚いた。


まあ、もとの曲を知ってるからわかるけど…






実はこの曲はオリジナルではなく、このメロディ自体に原曲がある。

それがこちら。

(旧日本陸軍喇叭 日課号音 食事)


陸軍で兵隊さんがご飯を食べる時に吹いた。

食事の間じゅう吹いたらしいので、喇叭手がかわいそうだが

『早飯、早ぐそ』が皇軍の伝統で、5分もあれば

食器を片付けてしまったらしいから、下痢を起こしそうだ。

しかし、この曲が止瀉薬、つまり下痢止めの正露丸のテーマ曲。


ちなみに海軍さんもほぼ同じ曲を使っていたが

こちらは音符が多くて喉に詰まらせそうだ。

(旧日本海軍喇叭 日課号音 食事)


現在、徹底的に旧軍の伝統を排除した

陸自はこの曲を使っていないが、

海自はいまでも、ご飯の時に使っているはずである。


大幸薬品のサイトにも『ぱっぱら』で載っているから

これでいいんだろうが

旧軍の喇叭譜がもとになっているなら『とてちたて式』に、

『てってててって、ちっちちちっち、てーちてーち、とーとーと』

にするべきではなかったか?。










で、

なんでこの曲が正露丸のテーマになったか、というと 

この薬の不思議な歴史にぶち当たる。


この薬の正体は木材の中に含まれる木酢酸の中にある

クレオソートという成分。


木酢酸は古くから防腐剤として知られており

強力な殺菌作用があるところから、軍の注目を受け 

ここからクレオソートを抽出して丸薬にしたものが

消毒薬、内服薬として採用された。


時あたかも日露開戦の直前、大阪の中島商店によって

『征露丸』と名付けられ、販売権が取得されたこの薬は

なにしろ腹痛から虫歯に詰めれば匂いで痛みが気にならなくなる

もとい、痛みが取れる、と万病に効き

戦争が終わったあとも国民薬として広い支持を受ける。


旧軍の信号譜が採用されたのも、軍部御用達だった歴史と 

無関係ではないだろう。

(軍への納入は中島商店の独占ではないが。)







ところがこの薬には中島商店以外の多くのメーカーがあって

いまもある。

これでは困る、ということでこの薬の歴史には

『商標の正統を争う』という側面があって、

いまもある。

                  

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だってこんなにあるんだぜ

(クリックで大きく)





さっきも書いた通り、正露丸の主成分は木から採れる

クレオソートという油。

これは、やる気があればご家庭でも採れる。


用意するものは、どこのご家庭にもあるヤカン。

これに、やはりどこのご家庭にもある

割り箸を適当に折ってたくさん入れ、

ヤカンの蓋に目張りをして火に掛ける。

時間が経つといい匂いがしてきて

割り箸が炭化していることがわかる。

ここで、とある方法を使って炭に火をつけると

ヤカンの注ぎ口から出てくるのが水蒸気と木炭ガス。

これをさらに、ここでは言えない方法で不完全燃焼させ

このガスを、車のエンジンに導くと木炭エンジンになる。


然るべくペットボトルかなんかに導いてやると液化して

下に水、上澄みに茶色い液体ができて

茶色いのがクレオソート油である。


この乾留油を、小麦粉かなんかに混ぜ、

お好みの漢方の粉末を混ぜて練って丸くすると、

あら不思議、自家製正露丸のできあがりである。





もちろんこんなものを人に処方しても販売しても犯罪なので

決してしないように。

自分で飲んで腹をこわしても、物笑いになるだけで

誰も同情してくれないので

絶対にやめておくように。

そもそも、これをつくるためにヤカン一個をだめにし

家やマンションを焼失させる危険があるので

本当にやめような。

(木炭ガスは可燃性です。)






まあ、こんな原始的な方法じゃないにしても、 

正露丸というのは比較的小規模な設備で作れてしまうのだった。

かつては数十社、いまでも十社以上がつくっているはずである。

だから、中島商店の権利を買い取って

戦後すぐに大幸薬品となるメーカーは、

なんとか自らの『特殊な地位』を認めさせたかった

(もっとも、正露丸市場における大幸薬品のシェアは9割を超える)


まず、1959年に『正露丸』を商標登録する。

もちろん、他社から苦情が出て裁判となる。

『俺たちも、軍隊に納入していて大幸さんの独占じゃない』と。


1975年、商標の登録そのものは認められることになったが、

『正露丸』は一般名として普及しており 

『普通名詞』だ、ということで 

他社の使用を差し止めることにはならなかった。




そこで、1951年のラジオ放送開始とともにながれていた

信号喇叭の曲に合わせてパッケージに

旧軍の喇叭をモチーフとしたマークをつけた。

(意外だったのだがマークの登場のほうが遅くて1969年。)

(大幸薬品「ラッパのマーク」の歴史)


他社のパッケージがひょうたんとかだったので、

ここで差別化しようとしたらしい


冒頭に紹介したTVCMは、80年代のものだがしきりと

『ラッパのマークの正露丸』と、それで一つの商品名のように

連呼しているのは、そこを強調したかったらしい。


しかし、それでも納まらなかったらしく

2005年に『黄色の箱に、正露丸のロゴ』というパッケージは

似すぎていて類似商品による不正競争に該当し、違法。

と慰謝料を求める裁判を起こすが2008年に最高裁で敗訴。


余程無能な弁護士を雇っているとしか思えないが

この裁判では、あんまり『ラッパのマーク』のことは

焦点にならず、『正露丸』の名称が争点になったそうだ。


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左、大幸薬品のラッパのマーク

右、和泉薬品の

   ひょうたんのマーク



さて、ここまで見てくると

今回の『ラッパのテーマ曲』の登録商標の

意味もわかるでしょう。



音を商標にして、なんとか他社を排除したい、ってか?

もう、シェア9割なんだからいいじゃん。


うーん。


正露丸が爆発的な伸び』を示すこともなさそうだし。

























では、今日の二本』











しかし、音が商標登録かあ。 

その音源の作者、あるいは使用者でなければ 

認められないわけではなく、原則として 

先願主義なので俺も、あなたも出願できる。


『使用の実態がない。』とか言われないために

ブログのテーマソングにしておくことくらい必要かも知れないが。


Macの起動音とか、駅の発着音とか

登録できたら、大金持ちじゃないか?












でも、これはいやだな。





ファミマの入店音。

なんか暗いでしょ?


会社勤めのころは、朝、買い物をするたびに

嫌な気持ちになった。

『今日もいちーにち頑張れよー』


帰りには、

『あと、6じかーん後また会社ー』


うわーん。おまえに言われたくねえよ。












おまけ












山手線、列車発車音。
             




こういう音源は『音楽』としてがちがちに保護されてるんだろうが。







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