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2015年6月20日 (土)

国家が不動産屋になっていく

財務省が、東京大手町の国有地を売却するにあたって、

ツインタワーを建設してから売ることにした、というニュース。

(読売新聞の記事へのリンク)









国家が不動産屋になっていく。









このニュースだけでは今ひとつディテールがわかりかねるのだが 

土地そのものは2万平米。


所有者は、国以外に日本郵政と、NTT。

これは、ここに東京国際郵便局や逓信博物館があったから。


ここに35階と32階のツインタワーを建て、床と底地を売る。







不動産屋という人達は土地を手に入れ、 

そこに付加価値をつけて売り飛ばす。 

付加価値分が彼らの利益になる。


『付加価値』として、もっとも一般的なのがそこに建てた建物。

マンションの折り込みチラシを見ると、下の方に小さな字で

事業主として不動産会社の名前が書いてある。

分譲完了まで、彼らがそこの地主。


建物があれば、

土地以上のはるかな価値で売り飛ばせる。


一般人が、めでたくマンションを手に入れると 

自分が買った分の部屋の所有権と、 

部屋の床面積相当分の土地の区分所有権というのが貰える。

ところが、300戸のマンションうちの1戸分の

土地の区分所有権を貰っても『だからなんだ。』というもの。


売り飛ばすことはもとより、家庭菜園にすることさえ出来ない。

逆にいえば、マンションの購入者は

勝手に処分できない土地の費用を払うためにも

数十年のローンを組まなければならないわけだ。






悪魔の商法だ。







今回の、大手町の土地処分に関しても、建物を建てて

その分の価値を収益にしようとしたもの。


従来は、国有地の処分は更地での売却だけで

上物の建設費と売却益の差額は、うまうまと森ビルなんかの

不動産屋に吸い取られていたわけだから、それはいい。


だけどね。

というのが、このへそ曲がり日記。







ああ、本題まで長え。








まず、ビルを建てて分譲する以上、用途は局限される。

今回の事例でいえばオフィスビルだ。


今回の敷地に関して、用途制限や建築協定、 

容積率の移転の有無など調べる気は起きないのだが 

商業地域であれば、ビルの用途は

オフィス、住宅、ホテル 、商業施設というあたりだろう。


ところが、それぞれの建物は一度その用途で造られたら

別の用途に転用するのは難しい。

『住宅のような空間』を目指して、階高や間仕切りを細かくした

赤プリは、オフィスへの転用が出来なくて

縮みながら解体された。


いまの建物は、昔と比べると余裕を持って建てられている。 

むかし、御堂筋のオフィスビルが百尺(31m)の 

高さ制限に合わせて 

無理矢理フロアを詰め込んでいたようなことは、もう、ない。


だから、オフィスからマンション、あるいはホテルという転用は

不可能ではないのだが、逆にいえば

『なんでそんなことをする。』ということになる。




であれば、

国有地が転売される時にビルが建っていれば 

その用途まで含めて国家が指定していることになる。






いいのか?






しかもその志が、『この地区はかくあるべし』という 

高らかな思想の下にあるなら良し、でもおそらく、そうではなくて 

『このあたりやったら、

賃料はこのくらい取れまっから 

坪○○円の値段も損やおまへんで。』という、 

反吐が出そうな不動産屋根性であるだろう、と思うと 

涙が出ちゃう。






まだある。






こういうふうに、建物まで分譲する以上、その床面積は 

あらゆる緩和規定や空中権なんかを買いまくって 

その土地のMAXであるはずだ。 

市場への影響を考えているんだろうか?


もちろん、今回の2万平米だけなら丸ノ内地区全体から見たら

大したことはないのだろう。


しかし、この手法が他の地区でも 

適用されるようになったらどうなるか? 

国が開発する2万平米が地域のオフィスの賃料を

一変させてしまうかも知れない。

ところてんのように古いビルを廃墟にしていくかも知れない。


地区によっては、ビルとして売却できる自信がなければ、

建物の開発や売却そのものをやめてしまうかも知れない。

そうなれば、『売れるところ』だけ再開発が行われるという傾向に 

国家が手を貸すことになる。






いいのか?






不動産屋に街作りを任せるとえらいことになる。 

大阪、梅田近辺は大阪駅のリニューアル、阪急百貨店や

周辺地区の再開発ですっかり変わった。 

『なんぼなんでも床が過剰だろう。』と思ったら 

早速、伊勢丹がはじかれて撤退した。


それにも懲りずに、阪神百貨店も超高層になるし

いまは、少し南の肥後橋のあたりで朝日新聞を初めとする

オフィスビルが、『昭和30年代かよ』という勢いで

立ち上がりつつある。

遠くない将来には、梅田貨物駅の再開発にあわせて、

周辺の倉庫街などが一気に建て変わる。

梅田貨物駅跡地が何になるのか知らんが、ここも変わる。



どう考えても、大阪にそれだけの床面積を消化する体力は 

ないと思うので、あと20年もしたら廃墟ばかりになるだろう。


いまは売れるかも知れないけどさ。









ばいざうぇい








国が、公有地の供出を自粛した時代もある。 

昭和末期、バブル景気での地価の狂騰を見た国鉄が、 

赤字圧縮のために不要な貨物駅、操車場その他を 

売却しようとした。


ところがこれに対して大蔵省が

『その程度の土地を分譲しても「焼け石に水」だ。

地価は下がるどころか高騰する。』として反対。


売り抜けどころを見失った国鉄清算事業団は 

バブル後の不景気で、売るに売れない土地を抱えて破綻した。






だから、土地を抱えていることがいいことだとも思わないのだけど

バブルに手を貸すよりは良かったのかも知れない。


今回の、『国有地におまけをつけて売却』というのは 

そこらへんのところ、どこまで考えているんだろう。



そしてなにより、せめて国家が扱う以上、

売れる売れないの不動産屋論議ではなく

『この街はこうなって欲しいなあ。』という

理想の下に行われて欲しいのです。













ふう。






















では、『今日の一枚。』










東京ミッドタウン

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防衛庁檜町庁舎跡地であったこの土地を、更地のまま売却

森ビルが再開発して、こんなことになった。


周りの街区と比べると、

ばかばかしくなるような密度の違い。


『不動産屋とは、実にうまみのある商売だ。』、ということが

わかるとともに、

これなら、お国が自らやってみようかな、と思うのも

わかるような気がする。






でも、だめ。






         

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