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2016年8月25日 (木)

余命1年日記 -4- 病院日常1                (8月第4週 16 08 22) 

病院の朝は早い。

 

 

 

 

 

 

 

だいたい6時半くらいに、看護師さんがやってくる。

そうして、検査キットとパソコンを載せた

ワゴンをがらがらと押しながら

「おはようございまーす」と言って部屋の明かりを点ける。

 

この季節、5時すこし前から空が白んでくる。

北東に面した窓から、雲に映る桃色の朝日が

セミの声と一緒に入ってくる。

 

 

今日も暑そうたな。

病室の中は涼しいけど。

 

 

看護師さんは「〇〇さーん」と言いながら、

3人部屋なので、1人ずつカーテンを開けて

「お願いしまーす」と言って体温計を渡す。

 

と、同時に血圧を計るために腕に手早く帯を巻く。

シュコシュコと空気を入れるんだけど、

血圧180くらいまで目一杯空気入れる。

痛い。低血圧なのに。

さらに手首に指を当てて脈を測り、

終わると洗濯ばさみみたいなのを指に挟む。

血中の酸素濃度がわかるらしい。

慣れているせいもあるだろうが、

見事な手際である。

 

ここまでが一般的な「おはよう検査コース」。

私は腹水持ちだから、これに加えて胴回りと体重と

一晩のうちに溜まった尿量の測定がある。

そうそう、身体の水分の管理が必要だということで

最近はおしっこは尿瓶にしている。

 

体温、脈拍、血圧の測定は、このあとも4時間おきにある。

そんなにしょっちゅう測らなくても、

急には変わらないと思うけど。

 

 

 

 

 

8時前に、朝御飯がくる。

朝はパンで食パンの時はマーガリンがつく。

ごく小さく盛られたサラダと、牛乳。

これが標準メニューで、

蛋白質が足らない私には、1/6丁の豆腐とゼリーがつく。

 

昼は12時で、主菜として魚だったら煮付け、

またはフライたまに焼き魚、肉もある。今日は鶏だった。

それに小鉢が二つ。野菜の煮物と、菜っぱ。なぜか二つ。

デザートにゼリー。

そしてこれも、恐らく私だけ茶碗蒸しと、豆腐1/6丁。

さらにヨーグルト、プリン、果物。

 

夜は、夜8時。肉か魚料理。いちおう力を

いれてくれているらしい。今日は鶏肉のクリームシチューだった。

焼き飯なんて日もあった。

例によって小鉢二つとサラダ、そしてゼリー。

さらに茶碗蒸しと豆腐、ヨーグルト、プリン。

 

 

 

 

あー、めんどくせー。

 

 

 

 

食事ごとに献立のカードがついてくるので

ここ2日ほどのメニューを

ながながと書き出してみた。

味はまぁ、お世辞にもうまいとは言えない。

 

しかしこれは、入院して以来食欲がなく、

味覚がおかしくなっていることと、値段が360円であるのを

割り引いて見てあげないといけないだろう。

そういう目で見れば、随分頑張ってくれてはいる。

 

しかし、どうにも無駄が多い。

蛋白質やカロリーの不足を思いやってプラスアルファのメニューを

付けてくれたのもありがたいが、お陰で豆腐が3皿に

なったりしていたのは閉口した。

 

 

 

 

「食事のことばかり書いている紀行文の旅行は、

間違いなくつまらない。」 という台詞を読んだことがある。

 

 

 

暇なんである。

 

 

 

やることがない。

仕事はない。生産的なことは何も期待もされていない。

これはつまんないよ?

 

 

 

食事以外のルーティンの出来事としては、投薬がある。

毎食後と消灯前に、1回ごとの分量にして

看護師さんが持ってきてくれる。 

朝なんか10錠以上あるから大変だ。

 

昼頃に回診がある。

検査があった日などはすこし話し込むこともあるが、

入院してしばらく経つと

「どうですか?」

「はあ・・・」

といった具合で、緊張感がなくなってきた。

これは、土日にはない。

 

 

あと、3日おきにシャワーがある。

 

 

そして、1週間に1度か2度、血液検査と

穿刺がある。

これも土日にはない。 

 

 

 

 

 

ひまだなー。

 

 

 

 

 

入院当初はそれなりに緊迫していた。

 

なにより気持ちが悪い。腹が痛い。

体を起こすことができない。

 

しばらくは、夜寝られないで一晩中うなっていた。

同室の患者さんには申し訳なかった。ごめん。

 

 

しかしこれが、容態が安定してくるとやることがない。

勝手な話である。

 

そもそも私が入院していたのが『急性期病棟』というもの。

救急車で運ばれて、かわいい奥さんに『あなた、しっかりして』

かなんか言ってもらえる人が入るべき場所である。

間違っても旦那の見舞いに来て、第一声で

金の心配をする渡辺直美などがいてはいけないのである。

そうして体中に点滴やら排尿やら管をつながれて

ダースベーダーのようにシュコーシュコーと言っている人が

お似合いなのだ。

 

全力で直さなければならないのである。

私のように、一日中オリンピックを見て、

寝ていてはいけないのである。

 

 

 

 

今回、私がお世話になったのは3人部屋。

もちろん急性期病棟だ。

 

部屋は、六甲山のほうに向いて北東に面している。

午前中は陽がさして眩しい。

奥行が3.6m、間口が5.4m。天井の化粧石膏ボードを数えた。

3人で12畳だから、まあ合格点である。

 

 

同室の患者さんはどちらもおじいさん。

親しく話をしたことはないが、

どちらも80歳を超えていそうな雰囲気だ。

 

病棟全体で見ても、年寄りばかりである。

 

お婆さんもいるが男女同室にはしないらしい。

艶っぽい話などないだろうが。

診察してくれる先生が、みんな『あなたは若いんだから』と

言うので、馬鹿にされているのかと思ったら

『内科病棟では圧倒的に若いです。』と言われて

ちょっと愕然としたことがあったが納得した。

 

 

なるほど。

 

 

従って耳が遠い、ちょっとボケているなんていうのは当たり前。

入院患者の枕もとには緊急の際に看護師さんを呼ぶ

ナースコールのボタンがある。

ところがこれの仕組みを理解しない爺さんがいて

用事があるたびに天井に向けて声をかける。

 

コールしてもすぐに対応できない看護師が

天井のスピーカーから『○○さん、どうしました?』なんて

聞いてくるのを勘違いして『天井にはナースがいる。』

と幸せなことを思っているらしい。

 

いい加減うるさいのだが、隣のベッドの爺さんは

私より過激で天井ナースの爺さんが声を上げると

『うるさいわっ。』と怒鳴りあげる。

私も、何かお気に召さなかったらしく

怒鳴られたことがある。

 

病室が平和だと思ったら大間違いだ。

 

 

 

 

 

 

平和な病室もある。

一人部屋、というやつで南向きの部屋で、

神戸の海と町が一望にできる。

夜景など最高だ。

 

もちろん『差額ベッド代』というのを支払わなければならない。

私ごとき貧乏人が立ち入ってはいけないのだが

一度、その最高級の部屋で昼寝をさせてもらったことがある。

 

例の『天井ナース』の爺さんの容態が急変したのだ。

そこで、機器やスタッフが部屋に入るからしばらくよそへ行け、と。

 

そうしてナースが連れて行ってくれたのが

その病院の最高級の個室、なのだそうだ。

 

部屋の広さは20畳以上か?

以前見た相談室のように腰壁の部分に重厚な板を張り、

壁や天井は漆喰。

 

扉は腰板と同じ色に塗られた分厚い木製。

これが、床から天井まで不必要に背が高い。

窓枠は太い木製で、サッシは鉄製。

便器やベッドはほかの病室と同じものが入っているが

洗面台なども昭和の香りがする。

 

なんか、私なんかより

北大路欣也が横たわっているほうが似合いそうな部屋だった。

 

ちなみにお値段を聞くと、

1泊あたりの差額ベッド代が1万7千円。

 

大部屋に入院するだけでも

1泊1万円は吹っ飛ぶはずなので

この部屋の料金はいくらかかるんだろう。

いったい、どんな奴が入ってるんだろう、と思って覗くと

ごく普通の爺さんと婆さんなんだけどね。

 

うーん…

 

 

 

 

 

 

まあしかし、今回の入院はちょっと長かった。

およそ1ヵ月半。

そんなわけで、一度退院します。

 

お金のことを考えても、我が家の経済では

入院生活を続けることは無理なので

娑婆の空気を吸ってきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

では、いったんおしまい。

どうも中途半端な文章で

まだまだ書きたいことはあるけど、また。

 

 

 

 

さあ、残り340日。

急迫する次号の展開を待て。

 

 

 

 

 

 

 

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