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2016年8月 5日 (金)

余命1年日記 -2- 穿刺とは?                     (8月第1週 16 08 05)

今日は穿刺の話をします。

検査や投薬を別にすると、

今のところわたしが受けている

唯一の処置らしい処置が、この穿刺である。

おそらくこの日記では、

これからもしょっちゅう出てくると思うんで、

あの辛さをお伝えしておかないと、と・・・

 

 

 

「せんし」と訓む。

 

 

 

 

文字通り、

「刺して・穿つ(うがつ)」んであって 

お腹を針で刺して穴を開けて中身を出す。

自分で書いていても痛そう、と思う

 

実際、滅茶苦茶痛い。

 

 

なんでこんな痛い処置を

受けないといけないのか、

というと以前も書いたように

腹水が出るのである。

 

 

 

これが辛い。ということは以前も書いた。

 

 

肝硬変になると、アルブミンなどの

蛋白質を合成する機能が損なわれる。

 

血液中のアルブミンが少なくなると、

血管の中の血漿と外の体液との間での、

浸透圧の差が小さくなる。

そのため、血管の中の液体が、外に出て行きやすくなり、

亢進した門脈圧によって

門脈から体液がだだ漏れになっていく。

 

 

これが腹水。

 

 

というのがWikipediaさんが

言うところの「腹水ができる仕組」

だと思うんだけど、合ってる?

 

 

 

 

腹水だから腹が膨れる(水腫)ばかりか、

脚や手にむくみ(浮腫)ができる。

こうなると、どうなるかというと、

まず、呼吸ができなくなる。

腹水や膨満した肝臓に圧迫されて、

肺が小さくなってくるらしい。

 

すぐに息があがって、

ほんの200mしか離れていないコンビニまで

行くのがしんどい。

行ってもいいけど帰りがもっと辛い。

 

15分の外出から帰ってきたら、30分、酸素を口に当ててベッドに

ひっくり返っていないといけなくなった。

本来、歩いて15分のJRの駅まで、タクシーを使った。(本当)

 

 

 

 

お腹の底の方が差し込むように痛い。

背中や腰も痛い。

 

耐えきれずに鎮痛剤を貰ったが、

すぐに効かなくなる。痛い。

医者に原因を聞いたら、

「肝臓が膨れたり、腹水が溜まったりして、

腹とか、背中を圧迫してるんでしょう。

腹がへこんだら、直りますよ。」と

 

大変適当で楽観的だ。

 

しかし、これが正解で確かに痩せたら直った。

人間の体って、結構わかりやすくて適当だ。

でも、それまではけっこう痛い。

 

 

 

さらに、腹が膨れたために、体が全く動かなくなった。

仰向けに寝てしまうと、起きられない。

体が屈めないから、へそが見えない。

靴が履けない。靴下なんてとんでもない。

そもそも脚が浮腫んで靴に足が入らない。

パンツが穿けない。ズボンが穿けない。

腕も挙がらないからシャツが着られない。

要するに、ひとりで着替えができない。

 

足元が見えない。ものが拾えない。

急に振り返れない。

後ろに気配がしても、ベルを鳴らされても、

よけられる気がしない。

だから、子供や自転車が怖くて、歩道を歩けない。

ポケモンのあらゆるキャラクターよりも弱いので、

頼むから前を見て歩いてくれ。

 

 

階段が怖い。

特に下りの階段は手摺がないと降りられない。

 

だから、外出ができない。

体力が落ちているので、 長時間の打ち合わせも大変になったが、

こんなふうになっては、

打合せの場所に行くことすら難しい。

 

 

 

 

愚痴ばっかりだが、

体が動かなくなろうと、一人事務所だから

 

仕事の手は止められなかった。

 

 

 

 

 

言い訳になるが、もう少し事態がゆっくりと進んでくれたら

 

応援を頼むなり、丸ごと仕事を投げてしまうなり、

対処のしようがあったのだ。

 

 

 

しかし、同じ会社の後輩ならともかく、

独立した社会人に後輩とはいえ、「俺の仕事を手伝え。」とは、
なかなか言えるもんじゃない。
 

 

 

ヘドを吐くほど大変な仕事なのに、

足許を見られて数百万しか請負金がない。

人なんか雇えるか。という事情もあった。

 

 

どちらかというと、こちらが本音に近い。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうして、ぐずぐずしている間に

急速に、そして決定的に病状が悪化した。

 

上体を起こしてパソコンに向かうのも辛い。

これだけ苦しいのに仕事もできない、

QOLって、いったいなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

こうなったら、諸悪の根源である

腹水を減らさなくてはならない。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穏当な方法は、利尿薬を用いる一方

水の摂取を抑制する。

出す水を増やして飲む水を減らす。

腹中にとどまる水の量を減らそう、

というもの。 

 

アルブミンと一緒に利尿薬を用いて

より積極的に水を減らす。

 

この方法だって、

利尿薬の処方量が多すぎて、飲水制限をきつくしすぎた場合、

腎臓が悪くなるという副作用がある。

私も、血液検査の結果が悪くなって中断したことがある・・・

 

 

しかし、一番の問題は効果が出るまでに

時間がかかりすぎる、ということ。

効果が出ない場合さえある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで採られるのが穿刺という方法。

 

 

 

腹に中空の管を差し込んで液を抜く。

「腹の中に水が溜まってるんなら、直接抜けばいいじゃん。」

ということで、ガキの口げんかみたいである。

最高に頭の悪い方法だなと、思うが、

即効性があることは間違いない。

 

3l抜いたら、3kg体重が減る。

 

しかし穿刺では、たしかに腹水は減るが、

同時にただでさえ減っている

アルブミンをごっそり持っていってしまう。

その対策をしないで水だけ抜いたら、

余計、腹水を悪化させるだけなので、

採取した緑色のヘドロみたいな、

薄汚い腹水を精製して、これを点滴する。

これでアルブミンを補うなど、対策が必要だ。

 

 

 

しかし、欠点はあるにせよ腹水で膨れて

へろへろになっている人には、

一時的とはいえ、腹水が減らせる

というのは福音で、治療としても有効だ。

だから、私も弱りきって病院に来たとき、

真っ先に穿刺をされた。

 

はじめてだったのに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あと、私のように腹水の原因が肝硬変などの、他の病気の場合、

腹水をある程度なんとかしないと、

本来の疾患に対する治療が手付かずになる。

 

穿刺が行われる、もうひとつの理由である。

 

 

 

 

わたしはこの2週間で、すでに6回、穿刺を行っている。

「いま日本で一番、腹に穴を開けている男」であろう。

日本一が言い過ぎだったら、「東灘区一」でもいい。

そんなことをベッドの上で考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、先生に穿刺をしてもらった。

 

そう、これを書いている今日がまさに、穿刺の日だったのだ。

 

 

 

それから30分もしないで書かれた、

この文章は世界初、穿刺界に燦然と輝く

「穿刺ライブレポート」の鏑矢である。

 

後続はいないだろうけど。

 

 

 

では、瞠目して御覧いただこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、腹を出して仰向けに寝る。

穿刺するのは、わたしの場合は右の脇腹。

穿刺予定の場所をシートやガーゼで確保し、

ポータブルエコーの機械をセットする。

 

先生が俺の体の右側に回り、エコーを見る。

臓器の隙間に針を刺すので

そんなことをするらしい。

ゼリーが冷たい。

 

 

 

さらに先生は、穿刺する場所の回りを、

赤い消毒液がついた脱脂綿でつまんで

穿刺する場所の回りを丁寧にくるくると拭く。

そうして、脱脂綿を変えてもう一度、

あわせて2度、丁寧にくるくると拭く。

 

なぜか決まって必ず2度だ。

そういうルーティンのようなことは

自信がないのかと思うからやめて欲しい。

 

そのお祈りが終わると、先生は、指ほどの長さがある針を取り出す。

中空になっていて、中に金属の針、

その外側にドレナージするための

シリコンのドレーン管がある。

見るとぞっとする。

 

先生はこの針を中腰に構えて、

慎重に位置を決めると、

2・3秒溜めをつくってから、おもむろに

「じゃ、行きますよ。」と言う。

溜めなくていいってば。

そうして、ぶすりと刺す。

 

 

 

 

 

 

 

 

痛え。

 

 

 

 

 

 

 

握っていた両手の親指が食い込むほど痛い。

痛いまま針は2秒ほど進んで止まる。

果てしなく長い2秒だ。

 

 

 

ここで終わりか、と思うと、針の外側のドレーン管を

腹腔までねじ込むために、

針をお腹の中でうりゃうりゃ動かすから、

それだけはもう、お願いですから、勘弁してください。

 

 

 

 

 

痛ってー。

 

 

 

 

 

しかし、これで針先をテープで固定すれば一段落する。

あと、全部終わって抜くときがまだ少し痛いが

クライマックスは刺すときだ。

本当に握った拳に爪の痕が残るくらい痛い。

 

最近は、一回の穿刺で4l抜くので、1時間以上かかる。

ドレーン管を抜く。痛い。

回りをもう一度消毒して、清潔なガーゼで覆って

テープで外気と遮断したら完成。

傷はあえて塞がない。覆うだけ。だから、

最初のうちはずいぶん浸出液が漏れた。

 

穿刺した直後は、実に気分がいい。

腹はへこんでいる。

ヘルニアみたいになっていた出臍がへこんでいる。

胸の肋骨の一番下のやつが触れる。

腹水でパンパンに張っていたのが、柔らかくなっている。

 

 

ベッドから起きて、足許を気にせずに

空を見て散歩したいくらい気分がいい。

そのくらい久しぶりに感じた「軽さ」なのだ。

もちろん、実際にそんなことをしたら

立ちくらみでぶっ倒れるから、やらない。

 

一回穿刺すると、当日と次の日は、

外出ができないので、寝ているばかりだ。

楽しみは、体重と胴廻りの寸法の測定。

ところが、これが計算通りに減ってくれない。

 

水を4l抜いたら、4kgは体重が減っていないといけないのだが、

当日は機嫌よく減ってもすぐもとに戻ったり、

あろうことか増えていたりする。

胴廻りも同じで、ちょっと減ったか、と思うと、すぐに増える。

 

よほど、俺の体は腹水を溜め込みたいらしい。 

 

 

 

そんなこんなで一進一退。

それでも穿刺が終わったあとのリバウンドが

最初と比べて小さくなったようだ。

呼吸の苦しさも大夫楽になってきたじゃないか。

と、小さなことからこつこつと、心を奮い立たせているのさ。

 

 

ふー・・・

 

 

だけど、いま苦しんでやっている穿刺は、

「肝硬変の治療」という大命題から見たら、

まだ、入口にすら立ってないんだぜ?

 

 

 

 

・・・むー・・・

先は長いぜ・・・

 

 

 

 

 

今日で、もう7日目。

「一進一退」どころか迷走する治療の行くえ。

 

今日も穿刺。 

したがって、今日も安静。

 

オリンピック飽きた。

お酒飲みたい。

あーあっと。

 

 

 

 

 

ちっとも緊迫しない次の展開を刮目して待て。

「約束の1年目」まで、あと358日! 

 

 

 

 

 

長え!

 

 


 

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