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2016年9月11日 (日)

余命1年日記 -6- 海へ行く       (8月第5週 2016 08 30)

退院して2日後、海に行った。

 

出たらどこに行こうか、と考えた時に

真っ先に出てきたのが海だった。

そして退院の日の朝。

病院の窓から見えた遠くの海が、

とても綺麗だった。

 

 

それならどこだ?と考えて素直に須磨にした。

紀伊半島の潮岬まで行って

太平洋や初日の出を見るなんて思い付けない。

須磨なら神戸市内のうちから一番近い。

電車だけで行ける。

 

 

もちろん一人だ。

 

 

須磨海岸は海を望む長さ2kmの海水浴場。

三宮から快速17分でJR須磨駅に着く。  

改札を出てすぐ右に海が見える。

日本一交通の便がいい海水浴場だ。

 

 

駅の外に出て、凄い陽射しを浴びながら

階段を降りるともう砂浜だ。

舗装の薄い細い道が、遥かに連なっていく。 

南を見ると幅30mほどの広い砂浜が、

真っ白な8月の太陽を浴びている。

真っ青な瀬戸内海が穏やかに広がっている。

 

海に向かって店が並んでいる。

筵の上で胡座をかきながら焼きそばを喰うような、

オールドスタイルな海の家もあるが、

オープンキッチンにバースタイルという、 

小洒落たところもある。

 

2kmの海水浴場を、店を冷やかしながら

歩いてみようかと思っていたのだが、

退院したばかりでやっぱり歩ける自信がない。

あきらめた。

駅から一番近いそういう店のひとつに入った。

 

店に入ろうとすると、

アロハみたいな薄っぺらなシャツを着た

若い兄ちゃんが寄ってきて

「いまフードないっすよ。」と、

あからさまに怪訝そうな顔をする。

平日昼間の時間に、海水浴場に不似合いな

おっさんが来ているせいらしい。

 

 

まあな。

 

 

ジンジャーエールを頼むと、

ちいさなちいさなグラスに

並並と注いでくれる。

口から迎えて飲み干す。

 

 

うまい。

 

 

もう一杯頼んで、

今度はゆっくり飲みながら店内を見ると

カウンターの上に雑然とたくさんの

ウォッカやリキュールの瓶が並んでいる。

上等な店ではないようだが夜も賑わうらしい。

そうして海の方を見る。

穏やかだ。

かつてみた記憶よりも、ずっと綺麗で青い。

 

 

空がきれいだな。

 

 

筆で掃いたような白い雲が

いくつか流れていたけど陽射しが強い。

海も青い。

須磨の海ってこんなに綺麗だったっけ。

 

砂浜はゴミだらけで、

刺青だらけのヤンキーがたむろしていたのに。

今でも頭の悪そうな連中はいるけど、

思っていたよりも少ない。

天気がよくても

平日だとこんなものなんだろうか。

 

 

海に来たのなんて何年ぶりだろう。

気持ちいいなあ。

 

 

 

さらにグラスを重ねて、

ここでもう少し飲みたい気もしたが店を出た。

浜辺に張り出したデッキに出る。

 

 

 

 

 

 

 

波打ち際まで行ってみようか。

 

もちろん泳ぐつもりなどないが

裸足になって足を浸してみよう。

 

そばを見るとちいさな女の子が、

海に興味があって波に触れてみたいらしい。

実際に恐る恐る近ずいてみるけどしかし、

ちいさな波が寄せてくると、

きゃあと言ってかわいく逃げる。

 

なんていう風景は当然にしてなく、

実際に遠くでキャアキャア矯声をあげているのは、

変な風船に抱きついて騒いでいる

バカップルだけである。

 

 

 

 

 

 

浜辺を歩いてみようか。

 

しかし実際に浜辺に並んでいるバカ5人は、

タバコを吸いながらビールを飲んでいる。

更にたった一人で取り憑かれたように

砂浜を猛然と手で掘っている、

やはり若い衆がいた。

しかし、それだけだった。

 

 

なにやってんだろう。

 

 

 

 

なんか、脱力した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてデッキの上からもう一度、

青い海と空を眺める。

やっぱり眩しい空を見上あげる。 

 

 

 

 

 

 

 

軽く目眩がした。

 

 

 

 

結局、その日はなにもしなかった。

そのまま電車に乗って帰った。

 

今度はいつ行こう。

 

 

と言いながら実はまだ行っていない。

これには大変な理由があるのだが、

それはいずれ別のお話で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあっ、

いよいよ残り332日。

悪魔の数字だ。

 

 

 

 

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まだ生きてます。

 

 

 

 

 

大丈夫。

たぶん。

 

 

 

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