余命1年日記- 30- パンツを履く (11月第1週 2016 11.05)
半年ぶりにパンツを履いた。
何を言ってるんだ?一昨日の決意はどうした。 と思うだろう。
うん、僕もそう思う。
しかし、半年前に内科で入院した時
もはや全く立ち上がれず小も大も垂れ流し、という状態になった。
だから気が付くと、おむつがあてがわれており、
ある程度落ち着いてから看護師さんに、
『おむつがいつでも手に入るサービスがあります』と言われた時に
断る理由はなかった。
このサービスは、月毎に定額で枚数にかかわらず、
おむつが貰える、というもの。
外科に移った時、内科で契約してもらっていたサービスは
終わっていたので、(内科は退院だったから)
改めて計算してみると意外に高い。
毎日2枚くらい交換しないと得じゃない。
さすがに毎日漏らす段階じゃなくなっていたので、
この契約はやめ、病院のコンビニでおむつを買うようにした。
いや、おむつ自体をやめろよ。と思うだろう。
外科の看護師にも怪訝そうな顔をされたが
楽なのである。
そもそも毎日、せめて一日おきに洗濯物を取りに来るような
肉親がいればいいのに、いないのである。
親父は週に一回しか顔を見せず、
来ても人のベッドで昼寝をしている。
病棟の名物だよ。まったく…
まあ、3日と開けずに洗い物を取りに来い、
というのもかわいそうなので、
2か月程度はすでに必要のないおむつを履いていた。
だから、そんな私がおむつを捨ててパンツを履いたことは
サルが樹から降りた、くらいの進歩なのだ。
半年ぶりの「パンツ生活」は、すーすーした。
そりゃそうだ。
『水も漏らさない』ことがセールスポイントになるおむつを
今まで半年、着けていたんだもの。
涼しいな。
しかし、それはそれでいいことだったんだけど、
私は今でも毎日、利尿剤を服んでいるのである。
おしっこが近い。
漏らしはしなかったけれど、外科の診察中など、
危ない瞬間が何回かあった。
トイレが近いのは薬が効いている証拠なんだけど、
生活の上では困るな。
それとは別に、4日の外科の診察で、
無事に外科の治療を卒業した。
先生が腹と頸の手術痕を見て、
ついでにこの間、椅子から立ち上がる時に
こけて打った頭のたんこぶを見て、
『はい、これで終わりです』と言ってくれた。
脱腸での入院、というのは予想外で予定外だったわけだが
なんにしろ『完治』というのは気持ちがいい。
『来週のこの時間の診察は入れないでおきます』と笑って
「頭部外傷を受けた方への注意」という紙を渡してくれた先生に
お礼を言って『お世話になりました』と、頭を下げて診察室を出た。
その日の診療費は220円だった。
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