余命1年日記 -49- えべっさん (1月第2週 2017.1.10)
5日に退院して、なにをしたっけ。
すでに退院から3日。
なにか生産的なことをしたのか、というと
実にこれが、まったくちっともさっぱり全然、なにもしていない。
昨日、8日は神戸は雨。
9日、雨は上がったけど低く曇っています。
関東の山間部では大雪だそうだが
昼間雨が降った後は、むしろ暖かい。
さっき、コンビニに行くために外に出たのだが、
『雨が降ると暖かい』という鉄則によって暖かい。
風がないのもありがたい。
うー、このくらいがいいなあ。
9、10、11日は十日戎。
西宮にある西宮戎神社が、日本の蛭子神社の総本山、
ということで、西日本には蛭子神社が多い。気がする。
近いところでは、兵庫に戎神社がある。
個人的には、地震の前後5年間ほど住んでいたので
毎年通っていた。
久しぶりに、ここに行ってみよう、と思った。
兵庫駅に着く。
昭和5年竣工の、この建物は柱の漆喰仕上げといい、
見事な名建築なのだが、
改装前に、ここにあった食堂はなくなってしまって
ローソンになっている。
かつては、高い天井の店で、真っ白な漆喰の室内で
黒いスーツのマスターが、
230円のトーストを出してくれたものだが。
駅を出るとすごい人。
南側に出て、左に向かって歩いて、200mほど離れた
蛭子神社に行く。
露店が楽しい。
たこ焼き、焼き鳥、焼きトウモロコシ。
匂いがいいけど量が食べられないから辛いな。
その場で飲める店もあって、
テントで風を塞いで、カンカンにストーブをたくので暖かい。
おでんなど、なかなか路上では食えないものを出してくれる。
日本酒も屋外では売らないよな。
むかし一度、このスタイルの店に入ったことがあるが
しかし、非常識に高いので驚いた。
寒さをしのぐために入るのはいいが、腰を入れて飲むのは
止めた方がいいと思う。
でも、食べ物屋ばっかりだなー。
むかしは、ここの露店で包丁を売っていた。
単に、その包丁屋のイベントだったのかもしれないが
割と大規模な露店で、我が家の包丁は
十数年前にここの露店で買った、出刃包丁だ。
もっとも、買った時は出刃包丁だったけど、
さんざんに研がれて、いまは刺身包丁のようだ。
新しく買おうかと思ったが、包丁屋自身がなかった。
だんだん遅くなる行列に沿って蛭子神社のそばまで行くと
ようやくえべっさん名物のお供え物が売っている。
関西で商売をする人の多くが、この十日戎に来て熊手を買う。
落ち葉掻きに使うあの熊手で、
『お客とお金をかき集めるためだ。』
という話を読んだことがあるのだが、どうなんだろう。
さらにそこに飾るいろんなもんを買う。
それは、えべっさんのお面だったり、おたふくだったり、
小判だったり、金の鈴だったり、
なんだかめでたくて縁起がよさそうなもんを、たくさんかざる。
これを、店の鴨居に掛けて、1年飾る。
飲食店だと、店の煙、焼き鳥だったりおでんやうどんだったり
様々な匂いがついてしまうので、
ビニール袋を掛けるのだが、8月くらいになると
白く濁って死ぬほど貧乏くさい。
だけどそんな『実家臭さ』が、『町の食堂』なんだよな。
したがって弊社事務所では、熊手は買わない。
なにが『従って』だ?
でも、ひとつだけ買うことを決めているものがあって、
それが、だるま。
達磨も、大きいものだと背丈ほどのものがあるのだが
うんと小さいものもあって、いま目の前にあるのが
高さ3㎝のもの。
かわいい。
兵庫に住んでいた時から10年以上買い続けているのに
いいことを起こしてくんないから、
ご利益のほどはあきらめているけど。
このだるまが来ると『新年が来た』って、思います。
例によって、人混みが怖いので
途中でお酒ではなくお茶を飲んで
結局は、お参りせずに帰りました。
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